宝箱の罠
宝箱の罠
62階層で大魔ワニをまとめて屠ったロキシー。
だが出口は見えず、ドロップしたのは3つの宝箱、なぜ3つなのかそしてどういうことなのか彼女には意味が分からなかったが、意を決してその一つに手を伸ばす。
(えーとこれかな)
それは普通の宝箱であり、一番無難な選択をした。
「カチャ」
中にあったのは巻物、鑑定してみると。
任意階層ジャンプの巻③:3つの階層から選択できる、31階層62階層93階層。
※転移魔方陣ではなく直接ダンジョンへと転移します。
(え~これも魔法陣じゃないのね)
まあそんな楽にダンジョン攻略できれば苦労はしない。
だが普通の宝箱それを開けてみてもまだ2つの宝箱は残っている。
(次も開けていいのかな…)
恐る恐る今度は銀色の宝箱へと手を伸ばす。
「カチャ」
今度は鍵が入っていた。
(なんの鍵?)
金色のカギ:ダンジョン内のカギ付き扉はすべてこれで開錠可能。
(そうなんだ…)
よく考えると今まで鍵のある場所やお宝はなかった気がするのだが。
(まだ金色の箱がある)
よく見るとその箱には鍵がかかっているようだ。
(もしかしてこれで開けるのかな…)
まあ流れからして開けない選択肢はないだろう、いつの間にかロキシーにはそれが罠ではないか?という可能性が消し飛んでいた。
(いいわ開けちゃいましょう)
金色の鍵を鍵穴に差し入れ、そしてゆっくりと右へ回すと。
「カチャ」
宝箱を開けると中から煙、いや水蒸気があふれ出てきた。
「シュー」
「なにこれ!ケホッケホッ」
辺りが白い靄で包まれると、今度は浮遊感が襲う。
いつの間にか床、いや凍った水面がなくなり一気に下へと落下していく。
「キャー」
「バシャン」
何秒間落下しただろうか、たどり着いたのは93階層の転移魔方陣だった。
(ここは?)
62階層から93階層へとたどり着いたロキシー、一気に30階層を進んだわけだが。
これではダンジョン巻物の活躍する場面がないなと思ってしまう。
(巻物って意味があるの?)
そういわれてみればどうだろう、まあ選択肢が多くなるということで人の迷いを増幅する。
そういったことに使われているのかもしれない、迷いは時に弱さを浮き彫りにする。
だが一人の場合どうだろうか?すでに先へ進むと自分に誓った。
そういう場合この選択肢というやつはあまり効果がないのではと感じるのだが、それがロキシーにどういった迷いを抱かせるだろうか。
(93階層?)
壁には注意書きがいろいろ書き込まれているのだが、この階層からはまた水の中らしい。




