サザールダンジョン90階層
サザールダンジョン90階層
35階層、選別の間によって90階層まで飛ばされたマーシャ、本人にとっては願っても無い事だが。
上手く立ち回らないとロキシーとは一緒に現世へと戻ることができなくなってしまう。
何故ここに転移したのかを考えて見るマーシャ。
(何か見落としたのか…)
(面倒な、35階層手前の魔法陣の部屋か…)
壁の染みだと思っていたのが文字だったとは、確かに32階層でいきなり地上に出たのは変な感じがした。
(もしかして36階層から先は地上と海中に分かれるのか?)
そう考えるとこの選別には何らかの意味と条件があると推察できる、マーシャが送られたのは90階層手前の転移魔法陣であり。
その壁には(35階層から至る、勇者以上)と書かれていたりする。
マーシャはいきなり一人で90階層のボス部屋前へと送られて来たが、やはり彼女の考え方は一味違うようだ。
(できなくはない、いやそれこそ好都合じゃ)
今は守るべき仲間もおらずその必要もないのだ、一人でならばどんなダンジョンでも攻略できる自信がある。
但し、今回のような罠と言うやつは、いくら強くても頭が良くても引っかかってしまうとどうしようもできない場合がある。
ここまで至るのに、最初のトラップはグラッダによる人質の罠であり、それこそ逃げることなど出来ない唯一の仕掛けでもあった。
敢えてそう言った罠にひっかかると言う手が無いわけではないが、その場合最悪のシナリオも覚悟しておかなければいけない。
(まあこのダンジョンはワープ先が魔法陣じゃからまだましな方じゃな)
楽観的な見方だがマーシャは勇者どころか神の代行者なのだからこのような状況などたいして問題にしていない。
ここから先はボス部屋を除いて上手く行けばトラップによって99階層へと進めると言う最短コースもあるのだから。
『ロキシーは大丈夫じゃろうか?』
『多分大丈夫だと思います』アクア
(主様は心配性なのです~)フレア
『しかたないじゃろ』
『まさかこういう仕掛けだったとはな…』
(でもここまで来れば100階まですぐだよ~)
『そうなのか?』
(36階からはトラップが必ずあって~中には99階まで行けるトラップもあるよ~)
『という事は…99階で待てばいずれ合流できると言う事か?』
(あったまいい~主だいすき~)
サザールダンジョン5階で手に入れたパーフェクトクリアアイテム、火炎剣である炎竜のフレア、どうやらここのダンジョンの情報を結構熟知しているらしい。
サザールダンジョンの仕組みと言うか、35階層から先はいくつかのルートに分かれていると言う。
魔王国に存在するダンジョン、殆は攻略が進みその内部は明らかになりつつあるが、ここサザールダンジョンだけは今まで誰も情報を持ち帰ることができなかった。
ようやくマーシャ達の手で少しずつではあるがこのダンジョンの情報が明らかになって行く、トラップをうまく利用すれば生きている限り99階層まではたどり着くことが可能になる。
死に戻り以外で戻るようなトラップはダンジョンの構成上ほぼ無いと考えて良い。
わざわざやり直しさせるような事をしなくても無理をすればいずれ死んで1階層へと戻されるのだから。
ならば基本的にどの階層でもトラップでワープした場合は先へ進む罠以外は無いと言う事になる。
『ならば皆がいずれ訪れる事を信じて99階層へと進むとしよう』
『はい』
(わーい)
90階層のボス部屋の扉は30階層までのボス部屋と比べてかなり巨大だった、天井の高さが20メートル以上ありそうだ。




