サザールダンジョン31階層は砂の上?
サザールダンジョン31階層は砂の上?
翌朝簡素な食事、簡素と言っても4人で軽く10人分は作るが、調理時間30分約食事時間20分と少し。
昨日と同じようにあっという間に海竜族は4人前ずつを平らげる、どうやら人族の食べ物を偉く気に入ったようだ。
『では進もうか』
『はい』
『おう》
『まいりましょう』
小屋をストレージへとしまう事で再度海水布団を作らなくて済む、ストレージの中であれば時間は止まる。
結界魔法は魔力に比例するので魔石を使用して魔法を付与しない場合通常2時間もすれば解けてしまう。
マーシャの場合24時間は持つが、一応魔力の込め方などで効果時間は調節できる。
「ギギー」
31階層の扉が開くとその先にまた扉があった、これまでの通路とは少し違う事に一行は少し違和感を感じる。
『あれ?』
『潮が引いて行くようじゃな』
先の扉に差し掛かるが、どうやら潮が引くまで開く様子が無い。
『この先は陸地か?』
『あり得ますね』
『そう言えばおぬしらは海の中で暮らしておるのじゃな?』
『はい』
『ならばあの火山があった島は使用しておらぬのか?』
『俺達はあそこには入れないんだ』
『実は陸地には結界が有り我ら海洋獣人は入れないようになっているのです』
『そうか、確かにそうでなければ陸地を開拓しておるはずじゃな』
『何かありそうですね』
『まあ初めて尽しのダンジョンじゃ、この先驚くこともあるかもしれぬな』
潮が引いて目の前の扉が開くとそこは砂浜だった、その長さは1kほどだが先の方には洞窟の入口のような扉が崖に張り付いている。
そして砂浜だが、どうやら砂の中には生き物の気配が。
「空を飛べば簡単だが、一応何がいるのか確認して置こう」
そう言うとマーシャは穿孔ランスをストレージから取り出すと向こう側の扉へ向けてやや斜め下に向けて振り下ろす。
「穿て剛槍!」
「バシューン!」
やや斜め下に放たれた魔法のランスが100メートル先まで、風を切り割き砂を巻き上げ進んで行く。
すると砂の下にいたのであろう生き物がその姿を現す、砂は乾いているがそれは表面だけで巻き上げられた砂の下にいたのは海サソリだった、その大きさは50センチほどだが一回の魔法攻撃で数匹をやっつけたらしい。
ちょうど100メートル先の辺りにいた海サソリは魔核に姿を変えていた。
「4匹か、ならば重力魔法の方が速そうじゃな」
「それならば私も」
「道を作るから我らの後を付いてこい」
「お おう」
「はい」
ロキシーと協力して幅3~4メートル長さ1kの遊歩道を造成する、とはいってもまるで地雷原を確かめながら歩くような感じだ。
ロキシーが5メートル先まで丁寧に魔法で砂を押し付けて行くと、海サソリが砂から出て来るのでマーシャが重力魔法を使い5トンの荷重をピンポイントで同じ場所に4×4のタイルを作るように魔法が砂へ放たれる。
「ズズン!」
「ズズン!」
重力魔法の揺れに驚いたサソリ達、自分のテリトリーがあるのか作った道を外れる場所のサソリはすぐに砂の下へと隠れてしまうようだ。
「これなら難しくないですね」
「うむ、だがさすがに日の光が眩しい」
外気温も30度を超える為、海竜族には少しきつそうだ。
「あついぜ」
「肌が…」
約14分、歩くスピードに合わせて魔法を使用しているのだが、それでも日に焼けてしまいそうなぐらい砂浜は熱くなっている。
「これを持っておれ」
2人に渡したのは傘、それもブティックで販売予定の魔法の傘だ。
UVカット100%と言う、お肌にとてもやさしい仕様なのは間違いない。
この世界、王国では元から傘は存在している、但し傘と言っても布や素材はマーシャが生前いた地球のような傘とは違い円形ではなくまるでテントのような棒に括り付けるような傘。
元々魔法を使用すれば傘など使う必要のない世界。
だが逆に傘をファッションの一部として使える可能性をマーシャは考えた、傘を使用した優雅な物腰はファッションアイテムとしてなら行けるはず。
生前どこかの絵画を見たことを思い出した、その絵には貴婦人たちがフリルのついた傘をさしていた事を覚えていたからだ。
「これはすばらしいです」
「分かるか、おぬしにも」
まあ差しただけで日光を遮るだけでなく涼しくもなる春夏専用の傘、他にも雨の日専用の傘も用意してある。




