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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
サザールダンジョン攻略・後編
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サザールダンジョン31階層(魔法陣)

サザールダンジョン31階層(魔法陣)


30階層のボスを倒し、先へ攻略を進める為には休まなくてはいけなくなった。

30階層のボス戦で受けた毒攻撃は思ったより3人の仲間を傷付けたようだ、普通のケガならばヒールですぐ治せるのだが。

神経毒は体の動きを阻害するだけではなく、内臓の動きまで止めてしまう効果があったようだ。

このダンジョンでは実際に死ぬことは無いが、ダンジョン内部で死んだ場合1階層の転移魔法陣へと戻されることになる。

他のダンジョンと同じようにドロップ品の中には転移クリスタルや帰還石もあるのだが、それらを使用する場合マーシャも一緒に戻らないと又30階層手前に戻され、30階層ボス部屋攻略から始めなければならなくなる。


『ご迷惑をおかけしました』

『あれはしかたなかろう』


31階層手前の魔法陣の部屋にて休憩中、顔色は戻ったが体調は最悪と言った所だろう。

ヒールやアンチポイズンなどの魔法で回復できるのはここまでであり、細かい体調を元に戻すには自然に任せた方が良い場合もある。


『本日はここまでの様じゃな』

『…』

『そのような顔をするな、ここまで来られたのも奇跡に近いのじゃ』

『今日の後悔は明日からの働きで埋めればよい』

『防御魔法の切れ目を突かれてしまうとは…』


子ガニに10回以上続けざまに特攻を仕掛けられては普通ならば仕方のない話。

特に海竜族は魔法も中級までしか使用できなかったりする。

上級魔法でも10回以上短時間で攻撃されればあっという間にガード回数を超えて破られてしまう。


『それにしても姫様はお強い』

『まあな、だが常に修行を欠かさないことが強さを維持するには必要じゃ』

『魔法だけじゃなく身体能力の強化も か…』

『両方やってそれでも完ぺきとはならぬ、だから常に修行じゃ』

『そうですよね』


スキルや魔法に頼るだけでは、いざという時に誰かを守ることなど出来はしない。

自らは敵との距離を測りながら、常に全体を見て作戦を立て無傷で戦闘を終える事を目指していく。

味方を守りながら戦うと言う事は単独で戦うより難しい、なにせ自分には目も手足も2つしかないのだ。

その2つの手足をフルに使ったとして、同時に何人も守ることなど出来はしない。

だが自分の行動で他の者を奮起させ防御力を増やすことはできる、自身の能力を常に高めて作戦を練ることで仲間を守りながら敵を攻略することができると言う物。


『あんたはずっとそうやって来たのか?』

『シャーズ』

『構わぬ、妾とて姫と言われるのは少しこそばゆい、いっそ呼び捨てでも構わぬ、じゃが呼び捨てるのであれば妾を超えるぐらい強くなってもらわねばな』


マーシャにそう言われると、確かに肩を並べるぐらいにならねばならぬと考えてしまう。


『頑張ります、でもやっぱりマーシャ様と呼ばせていただきます』

(まさに聖女様、いいえ勇者様、それとも戦女神様なのかも?)アローリア

『本日はここで休もう、無理をして一人でも欠ければ元も子もないからな』


マーシャは31階層手前の魔法陣で初日を終わることにした。

当初は20階層と言う予定が途中で40階層まで行けるかもと言う判断をしたが、やはりそんなに甘くは無かったと言う所。

ここは海洋ダンジョンであり、ほぼ全ての階層が海の中というダンジョン。

このまま次の階層へといけなくもないが、そうするとマーシャが一人で戦う場面以外思い浮かばない。

30階層ボス部屋で受けた毒は即効性と言うより遅効性なのだろう、治るのもやや遅い様な気がする。

ならば先へ進むことを焦らず慌てず今日はここで休むのも必要だと感じた。


毒のせいか夜食の後はマーシャ以外はすぐに床へ着いた、もちろんマーシャとロキシーはストレージ魔法で持ち込んだベッドを使用する。

当然のことながらその前に風呂&シャワーを使用してからだ。


「明日は早めに攻略を始めよう」

「はい」


まだ時刻は午後8時、結界魔法で小屋の中は普通に呼吸ができるようにしてある。

アローリアとシャーズは変身魔法とサイズ変更魔法で、現在は限りなく人に近くなっている。

床にはベッド2つマットレス2つを敷いて寝る事に。


「これは楽だ」

「おぬしら寝る時は?」

「我らは海藻を敷き詰めるだけだ」

「あまり乾燥してもいけないのです」


要するに海水の中ではあるが頭の部分には空気を纏って寝るようだ、海の中でも呼吸ができるのは魔法のおかげであり。

魔法が無い場合は呼吸を止めて行動できるのは約2時間ぐらい、その代わり急激な動きはできなくなってしまう。

今回、彼らの為に結界魔法を流用し海水の布団を作成してある、昔作ったクッションの変化版と言った所、これならば皮膚が乾燥することも無いだろう。


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