サザールダンジョン30階層のボスに手こずる
サザールダンジョン30階層のボスに手こずる
最初は簡単だと思っていた30階層のボス攻略、足の長さもさることながら、その甲羅のでかさも50メートル以上はあった。
その中に子ガニを内包しているとは思っていなかった、さらに毒の棘持ちと言うおまけまでついているとは。
『マーシャ様…』
『こちらはまかせよ』
『ぐ…』
下手に動かれては返って邪魔になる、飛び出してきた子ガニの数は約100匹。
その大きさは50センチほどだが、素早く動き回られるとどこから攻撃して来るのか分からなくなる。
甲羅の色が変わったのが子ガニを解き放つ合図だと最初から分かっていれば対処できたが。
いかんせんこのダンジョンを攻略した者など未だにいなかったのだから仕方のない話。
『もう少しじゃ』
「バシュン」
「ビシュン」
最後の子ガニを切り伏せて、弱っている親ガニへとマーシャは攻撃の矛先を変える。
『これで最後はお前だけじゃ』
双剣をインベントリーへとしまうと、今度は槍を取り出す。
槍と言うには少し変わっている、刃先が1メートルほどあるランスと言うタイプ。
穿孔ランス:SクラスRタイプ、突き刺されると穴が開く魔法のランス。
直線的に攻撃すると100メートルほどの渦状攻撃になり、攻撃ライン上の生き物は全て穴を穿たれてしまう。
防御及び硬度無効化(魔法防御は半減)、STRに+100
『これならば硬い甲羅でも穴が開くじゃろ』
足もそうだがカニの甲羅も10階層の亀の甲羅と同じぐらい硬さがあった。
10分でようやく7本の足を4人で捥ぐことができたが、足1本破壊するのに3分以上かかった事になる、それも関節部分をしつこく狙っての事。
『これで終わりじゃ』
「ビシュシューシュシュシュ!」
甲羅の真上から突き刺した穿孔ランスは1発で下まで突き抜け海底にも穴をあける。
それを数回繰り返すことでやっと帝王ガニはその大きな甲羅を海底へと沈めた。
「ズズン」
約25分、ここまでやってきて一番時間をかけた戦闘となった、まさか2段攻撃があるとはだれも予想できなかっただろう。
それに初めてボス部屋にボス以外の敵が含まれていたことになる。
今後の戦い方もそういうイレギュラーな攻撃を想定しておかないと、いつか痛い目を見る可能性もありそうだ。
『大丈夫か?』
『はい』
重力魔法で3人を安全な場所へと運んでいく。
アクアの浄化魔法で毒は既に残ってはいないのだが、海中を泳ぐにはもう少し回復してからと言う事になる。




