ダンジョン飯(持ち込み小屋)
ダンジョン飯(持ち込み小屋)
27階層は結局通常攻撃をメインに自分達には防御魔法をかけて対処、あちらから勝手に突っ込んでくるのでこちらからは普通に前進していくだけ。
逆に一人だけ進みすぎると両方の斜め横から総攻撃を喰らうので4人で前と横を守りながら攻撃して行く戦法。
天井が低いわりに次の扉までの距離が300メートル以上あり、結構時間を食ってしまった。
《ようやく扉に着いたか、後ろからは攻撃してこないようじゃな》
《再出現までの時間があるからですね》
《端の方にいたアミアミエビは攻撃してこなかったな、索敵範囲はさほど広くなさそうじゃ》
扉を開いて28階層の手前にある魔法陣に着いた。
《よし食事にしよう》
《食べ物は?》
《あー妾はストレージ魔法を使える、要するに魔法倉庫と言うやつじゃ》
《私も使えますがマーシャ様の倉庫は特別です》
だが肉や野菜を食べるには海の中での調理と言う事は無理に等しい。
火を使った料理も野菜を盛り付けるのも海の中では安定して用意できないからだ。
《どうします》
《結界魔法でこの部屋全体に空気を満たそうと思う》
《なるほど》
《…》
《まあ見ておれ》
まずは扉側の壁全体を見て海水が出入りしていないか確認する、ダンジョンの扉は一度閉まると引き返せないようになっているが、扉を開いたまま留まると開きっぱなしにもできる。
但しその場合魔物が再ポップして攻撃される可能性もあるが、次の部屋に入ればほぼ隔離された空間になるのを確認できた。
《これならば後は海水分離とストレージへの収納魔法で海水は全部格納できそうじゃ》
《ほんとうか》
《分離、海水収納、リリースエア》
たて続けに魔法を使用すると海水が徐々に引いて行くように無くなって行く。
そしてその代わりに空気が発生して部屋全体に満たされて行く。
「どうじゃ」
「おおー」
「マーシャ様、空気までストレージに?」
「海の中で息ができるようにするには必要かと思ってな」
魔法で出来なけりゃ科学で何とかしようとしていたマーシャ、要するにボンベ方式の呼吸システムを作ってしまおうかと思っていたが、その必要が無かったと言う事で。
空気だけはインベントリーにかなりの量蓄えられていたりする。
「面倒なので小屋を出すぞ、少し端に寄って待っておれ」
「はい、お二人も下がっていて下さい」
「あ おう」
「壁際にですね」
部屋の広さはクラールダンジョンより広い約1,6倍、これならば2部屋ぐらいの山小屋を出しても広さとしては問題ない。
「ハウスバージョン25リリース」
ストレージから出された小屋の中には料理の道具一式揃っている、特に火を使う道具は料理をするには欠かせない。
「どうじゃ」
「おー」
「すごい」
「その前に二人とも少し変身魔法で小さくなってもらおう」
その小屋の高さは4メートルほど、入口の扉は縦2,5メートル横幅1,5メートルぐらい。
海竜族の大きさだと中へと入る事が出来なさそうだ。
「分かりました扉の大きさに合わせれば宜しいですね」
「その通りじゃよろしく頼む」
そう言われてしまえばシャーズも従うしかなくなる、現在の姿は身長3メートル横幅は2メートル近くあり、どう考えても小屋の中へ入っても窮屈になる。




