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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第5章 サザールダンジョン攻略・前編
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母を慕う

母を慕う


相談とは、もし攻略が進んだとしても弟を最深部である100層、大海竜の間へ連れて行かないでほしいと言う。


《弟は母を恨んでいます》

《それはどうして?》

《私達姉弟を母が捨てたと考えているのです》

《何年かは一緒にいたのだろう?》

《私達姉弟が母と一緒にいたのは2年です》

《種族による成長度合いがあるから2年が短いかどうかは妾には分からないが…》

《獣人族の一部は1年で大人になるものもいます》ロキシー

《そうなのか?》

《ええかなり差がありますが最低でも5年で大人の儀式を受け早いものは8年で兵士となる獣人達もいます》

《確かに成長が早い一族は自分だけで生きる事を学ばなければならぬ者達も多いと聞く》

《弟は母に逢いたいあまりに、憎しみを募らせてしまったのではと…》

《愛と憎しみは紙一重とも言うようじゃな》

《愛するがゆえに…》

《それからもう一つ、この言い伝えが本当ならダンジョン攻略が成功すれば、我らはこの隔離した世界から解き放たれると聞いています》

《そうなのか?》

《※外界から麗しき天女現れ海底の巣窟を光あふれる住処と変える時、海の生きとし生けるものはその束縛から解き放たれるであろう》

《マーシャ様の事ですね》

《妾の事か?》

《ええ、そうとしか思えません》

《開放か…おぬしは開放してもらいたくはないのか?》

《私は…》

《不安なのじゃな》

《弟は排他的な考えをしています、母の事もですがこの世界と外の世界の隔たりが解放されると他の種族にご迷惑をかけてしまうかもしれません》

《それはいま語れることではないと思うがな》

《ですが…》

《まあ、そこは妾に任せられよ、弟殿がどのくらいの力を持つのか分からぬが、妾と行動を共にすればおのずと自分の小ささが分かるじゃろう》

《大丈夫ですよ、マーシャ様はわが父の魔王様より強いのですから》


そう聞いて少し信じられないと言うような顔をするアローリア、確かに人族の姫とはいえまだまだ体つきは少女と言える。

だが、未来の事はダンジョン攻略が終わらなければなんとも言えない、伝承で語られている事が真実ならば。

ダンジョン攻略がこの世界が他の世界との共存を図るべく定められた変革の引き金になるのか、はたまたダンジョン奥に居るであろう彼らの母が解放のカギを握っているのか、今ここでそれを語ることなどできない。

明日はサザールダンジョンの攻略に挑む、まずは彼らの力がどの程度なのか?一番の心配事はそこだろう。

もし彼らが同行する事でダンジョン攻略に支障をきたすならば早いうちにお帰りいただくことも視野に入れておかねばならない。

色々と問題がありそうだが、果たしてマーシャはサザールダンジョン100層を攻略する事ができるのだろうか。


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