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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第5章 サザールダンジョン攻略・前編
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宴の後

宴の後


宴と言っても参加しているのは王族数人と部下のマーマンやマーメイド達、目の前に出されたのは全て海の幸、寄生虫が心配とか言えない所がこの世界の醍醐味だろう。

まあ塩味が最初から効いているので、味は普通だと言っておく。

海水がよく口の中に入ってこないなと思うが、そこは魔法で処理しており何とかなるのが不思議だった。

全て魚の切り身であり生だと言う所が残念で仕方がない、郷に入れば郷に従うと言う事が今回はすごく残念な気がする。

(普通に食べられれば刺身も美味しいのじゃがな…)


《明日になればダンジョンの扉が開く、部下に呼びに行かせるのでそれまで部屋で休まれよ》

《本日はごちそうになった、では明日》マーシャ

《ごちそうさまでした》ロキシー


マーメイド2名に先導され先ほど休憩していた部屋へと戻って来た。


「マーシャ様、作戦は?」

「明日、あの姉弟に詳しいことを聞いてからじゃな、まあ何処まで攻略したのかは分からぬが、あの調子だとせいぜい2階層ぐらいと見ておいた方が良かろう」

「情報が少なすぎますね」

「アクアは何か知らぬのか?」

「ここのダンジョンはクラールダンジョンとは別のダンジョンマスターが製作したものです、我々のような魔造武器キメラを製作したのは全部同じ能力を持つ転生者となります、それぞれに担当しているマスターが違うので、ダンジョン内の詳しい事までは分かりかねます」アクア

「それぞれに分担があるという分けですね」

「何か雰囲気だけでもつかめぬか?」

「やってみます」


同じ素養を持っているレプリカである魔造武器キメラの水龍剣アクア、その能力はウンディーヌと同じという所まで行かないのだろう。

だがアクアが水先案内としてここにいるのは偶然ではなく必然のような気がしてならない。


「細かい地図は手に入らなそうですが全体の規模は把握できました」

「それで?」

「全100層からなる水中ダンジョンです」

「まあもらった指輪がそれ用じゃから、階層さえ判れば後は難易度じゃな」

「メインは水魔法ですね」

「うぬ、火魔法や土魔法ではうまく操ることも攻撃することも難しいと言う事になる」

「いくつか魔法具も用意しておく方が良いかもな」


ここの水温はやや高めのようだ、体感温度は25度前後、本来の温度よりはやや高め。

海流に沿って流れてきたときは20度ぐらいの体感温度だった。

海の下100メートルを超えた世界で海水温25度は魔法を使わないと保てない。


「ゴンゴン」

《どなたかな?》

《アローリアです》

《どうぞ》


マーシャ達が滞在する部屋に現われたのは海王の娘アローリア300歳を超えていると聞いて少し驚いたが、この世界の年月が流れるスピードはマーシャ達がいる世界と違うと聞いて不思議な気分だ。

目の前に現われた海王の娘は25歳前後にしか見えない、マーメイドではなくシードラゴンと言った方がしっくりくる。

それに普段の姿は変身魔法を使用しているのだろうマーメイドに寄せて変身しているのが分かる。


《この姿は変ですか?》

《いやこの世界の住人がどんな姿をしていても妾は驚かぬ、海釣りも昔はよくやったからな》

《海釣り?》ロキシー

《いや何でもない》


生前親に連れられ休みの日には海釣りによく行った事を思い出した、もちろんその後魚の捌き方までレクチャーされたことを覚えている。

目の前の王女は肌には所々鱗が見えるが半分以上はツルっとしたイルカやクジラの皮膚に近い。

顔は人族よりに寄せて変身魔法を使用しているようだ、口と鼻はあるが形は少し大きめであり耳が無くえらが大きく出ていたりする。

一瞬エラとヒレが混同してしまう、目の前にいるアローリアは二足歩行で歩けるように姿を変更している。


《王女は変身魔法も得意なようじゃな》

《おほめ頂きありがとうございます》


何故そう感じたかと言うと先ほど宴で初めて会った時と今ではいくつか変化していたからだ。


《この姿はお客様の姿をまねした形です、私達はこの世界に隔離されているのと同じですので、先ほどの姿も本当の姿ではありません》

《それはどう言う事じゃ?》

《父から聞いたことですが、我ら海洋獣人族はその性質が他の人族や獣人族とかなり違う為、受け入れられない可能性が高く、もし見つかれば戦いの原因になると教えられてきました》

《確かに異質な生物と言う事が相手に対して恐怖心を与えてしまい、排除する対象となる可能性はある》

《そうなのです、ですからお二人の姿を見てできるだけ同じ姿に近づける事が我らには必要な事なのです》

《なるほど変身魔法が必須なのじゃな》

《弟はそう思っていないようですが…》

《それで姿に差があったのですね、なるほど》ロキシー


海王の姿は彼女に近かったのだが息子はそこまで人を意識した姿では無かった、まるで姿を人族へ近づけるのを嫌っているような感じがした。


《別にそこは構わぬ、個人の自由じゃ》

《ありがとうございます》

《それだけを言うために来たわけではなかろう》

《はい相談事とは弟の事です》


アローリアの相談はマーシャ達にはあまり考えられない相談事だった。


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