宴じゃ
宴じゃ
待つこと数時間、マーメイドが2名ドアを叩く音がする、返事をすると今まで引いていた海水が徐々に部屋の中へと満ちて行く。
水龍剣アクアに魔法を再度かけてもらい、また海水の中へと潜って行く。
そしてロキシーには水中の中でも移動できる魔法を少し教える事に、息はできても水中で移動するのは又違う魔法を使わなければならない。
実は彼女カナズチだったりする、先ほどまで気絶していたと言う事もあり。
水の中での移動にやや戸惑っていたが、ここから先はダンジョン攻略も海の中なのでそれらの水魔法を覚えておかなければ攻略など出来ないからだ。
《ジャンカジャンカジャジャン》
どうやら音楽を奏でているようだが、水中の音はまるで壁を伝うようなエコーがかかるようで、それが音楽だと判るまで少し時間がかかった。
《まずは挨拶からじゃな、わが名はポセイダス海王である、こちらが我が娘》
《アローリアと申します》
《こっちは我が息子》
《シャーズだ》
《アルフレア王国第三王女、マーシャと申す》
《初めまして、私魔王国第二皇女のロキシーと申します》
海王の右に王子のシャーズが座り左に王女のアローリアが座っている。
《やはり判るか?》
《お后様は?》
《今はここに居らぬが、いずれ会う事になる》
《何か理由があるようじゃな》
《今は話せぬがそのうち分かろう》
《お前みたいなやつをダンジョンに…》
《シャーズ、口を慎め!》
《…》
《さっそくだがダンジョンは何処じゃ?》
《本当にセッカチじゃな~》
《本当ね》アローリア
《人族の姫よ、物事には順番がある、この世界には他の地域から異分子が侵入してから数日たたぬとダンジョンの扉は開かぬようになっておる》
《そうなのか、中々面倒なシステムじゃな》
《シス?》
《こちらの話じゃ》
《本日中に攻略は無理なのじゃ、そこは我慢していただこう》
《時戻りの真珠と言う物が本当ならな》
《父は嘘などつきませぬ》
《まあまて、始めて来た客人じゃそうとげとげしくならずとも良いじゃろうガハハ》
「パシャンパシャン」
そう言うと海王は大きなヒレ付きの手を叩き何か合図をしたようだ。
《これは?》
マーメイド2人が貝殻のような入れ物を持って来た、その中には白い指輪が見える。
《その指輪は魔法の指輪じゃ、水中での移動が楽になる》
《海王の指輪です主》アクア
《どうやってこんな人族の娘が水龍様を手なずけたのか、わけわからん》
《アクア。おぬしそう言う位置付けだったのか?》
《厳密にはレプリカじゃったはずじゃ、ガハハ》
《私は聖水龍ウンディーヌ様を模して作成された魔造武器のキメラです》
《それは初めて聞いた、キメラと言うのは知っていたが、なるほどもしかしてサザールダンジョンのボスと言うのは?》
《さすがじゃ、その通りサザールダンジョンのボスとして鎮座しておるのが聖水龍のウンディーヌじゃ》
《俺達の母だ!》
《なるほど、妾がこのレプリカを手に入れた事が納得できないという分けか》
《私達もこの世に生を受けて300年、一度も母に会っておりません》
《300年?》
《この世界の時の流れは現世とは違うのでな、ガハハ》
《俺は303歳》
《私も303歳》
ダンジョンコアとして生き続ける聖水龍ウンディーヌだが数百年に一度、海王と出会い夫婦になると数人の子をなしてから数日後元のダンジョンコアに戻ると言う、この世界だけのルールがあるらしい。
《アクアの姿はおぬしらの母の姿と同じという事か…》
《レプリカとはいえ人族の手に渡ってしまうなんて》
《アクアは妾がクラールダンジョンのパーフェクト攻略の褒賞で頂いたものじゃ、別におぬしらから取り上げた物ではないじゃろう》
《マーシャ様それでも悔しいのでは?》ロキシー
《そうかなるほど、それでは王子と王女をダンジョン攻略に連れて行けと言う事じゃな》
《さすが話が早くて助かるぞ、ガハハ》
《別に手を貸すという分けじゃないからな》王子
《シャーズ、手を貸さないと先へは行けないでしょうに》
《もしかしてすでに試したのか?》
《こやつらわしの制止も聞かずにダンジョンに入って数分で逃げ出してきおった、ガハハ》
《という事は海王殿も?》
《ガハハ》
まあそうなるだろう、まるでどこかのおとぎ話のようだ。
それもごちゃ混ぜに近いが、海王のスペックは魔王と比べても遜色ないぐらい。
特にディフェンスがめちゃくちゃ高く1万を超えていたりする、それでもダンジョン攻略に失敗したと言う話になる。




