武術の第4回戦第一試合
武術の第4回戦第一試合
その戦いはほぼ拮抗していると思われた、手数ならばカバネルの方が上回っていたが。
その攻撃を左右に全ていなしていく、コッドの持ち手にはやや反った細い剣が握られている。
その戦い方はテンマルに似ているが、剣の振り方はまるで違う。
彼の場合は居合式ではなく相手の剣先を全て見切ってしまうように見える。
相手の剣先、一番遠い部分を自分の剣の剣先ではじく事により自分の体に向かって来る攻撃を全部そらすのだ。
カバネルの剣はまだ軽いと言って良い、今回も右手に剣を持ち左手には小型の盾を持っている。
攻守にバランスの良い戦い方だが、決定力には欠けていると言って良い。
体もそう大きくないカバネルには大剣を持ち一撃を狙うにはまだ修行が足りない。
現在は剣技より魔法具でアシストしている部分が多いので剣術で上回る教師の剣を盾で受ける事で、致命的な点数を与えずに済んでいるが。
徐々に相手の剣を盾で防ぐことができなくなって行く。
「スピード」
「そう来たか、それじゃこちらも駿撃!」
シュトロゼック流は細剣を使う剣術の流派、盾を用いる通常の剣術より早さや見切りを重視する。
魔法も同じように見切りや速さに振り分けるので相手が追加のアシストで速さを上げたくなるのも仕方が無いのだがそれは悪手となるだろう。
いくら手数を増やしてもその癖や動きは見切られているのですぐに対応されてしまう。
さらにお得意の駿撃(素早くスキを見つけ突く)、ほんの小さな隙を見つけてはそこをピンポイントで突く技。
「シュシュッシュ」
「う く う」
「ここもだ それっ!」
「カシュ!」
「くそー」
「今のは良かったぞ」
カバネルは止めの一撃だけは何とか避ける事が出来たが、同じように何回も攻撃されればどんどんダメージが重なって行く。
「もう終わりか?」
「くっそー」
「キャイン ガイン ビシュビシュ」
さすがに剣術の教師だ、カバネルの額から汗が滴ってきてもコッドの顔には余裕さえもうかがえる。
「そろそろ頃合いかな」
「くそl」
「シュンシュンシュンビシュビシュシュ」
「グアー」
「バタン」
「ハーハーハー体が…」
「もう少しペース配分を考えないとね」
【勝者コッドシュトロゼック】
「わー」
試合時間は14分と少し、相手に当らない攻撃に焦り手数を増やしたところで体力を消耗してしまい、そこを看破されたうえで反撃されなすすべもなくなった。
相手が先生と言う所がミソだ、勝てない訳ではないはずなのだが魔法具やアシスト魔法に頼りすぎてカバネルの剣術の方は今一になっている、彼の成長具合が分かるそんな戦いだった。
決してカバネルが弱すぎるという分けではない、年の功であり剣術の腕が違い過ぎたと言う事だ。




