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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
大会トーナメント 中編
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魔王国から帰還

魔王国から帰還


魔法学園の教師に見つかった時は、少しびっくりしたマーシャ。

別に恐れはしないが、剣を偽物に交換したすぐ後だったので少し罪悪感が頭をよぎる。

まあそのおかけか久しぶりに説教されてしまったが、王族だからと言って怒りもしない教師なら残念な奴と言える。

相手が皇族であろうともしっかりと説教してくれるところは、どの世界の教師でも見習って欲しい部分だろう。

いくら褒めて育てる事がもてはやされていたとしても、悪い事をしても怒れない大人ばかりになってしまう世の中は勘弁してほしい。


「すみません私のせいで」ロキシー

「いやこの時間にうろうろしている生徒がいれば怒って当然じゃ」

「そ そうですよね」

「何も王族だからと言って、どんなことも許されてしまっては収拾がつかぬからな、妾は別に怒ってはおらぬし魔法学院にも良い先生がいると判ってほっとしたところじゃ」

「そうなんですか…」

「何じゃロキは怒られるのが嫌いなのか?」

「いえそんな事は無いですが」

「悪いことは悪いと言ってもらわんと、歳を取ってから苦労してしまうぞ」

「それは年齢を重ねているのに知らなかったら恥ずかしいと言う事でしょうか?」

「そう思わないか?」

「確かに、若いうちなら知らないことも仕方ないですけど…」

「王族と言う肩書に臆して何も言ってもらう事が出来ないと、それこそ悲しいと思わんか?」

「そうですね、まだまだ知らない事の方が多いのですものね」

「悪いことも良いことも教えてもらわぬとな、全てが生きて行くための経験となるわけじゃ」

「はい 分かりました、なんだかマーシャ様ってまるでお姉さまの様です」

「そ そうか?」

「そろそろ戻らぬと…」

「そうですね、帰りましょう」


魔法学院の聖堂から教師に追い出され2人で歩いていた。

魔法学院には寮もあるが、王族や皇族は基本的に学院には通って来ているらしい。

魔法学院の校舎には必ず転移門が設置されており、学生は各家庭から転移門を利用して通っている。

ちなみに転移門が無い場合、上級魔術師にでもならなければ転移魔法を使用することはできないらしい。

要するに魔法力が高くないとどこでも行けるようにならないと言う事、ロキシーも上級になった事でようやく転移門を使用せずに王国から魔王国へと転移できるようになった。


「転移王国迎賓館前」


一度ロキシーが宿泊している王国の迎賓館へと転移し、明日のトーナメントの事で少し話してからマーシャは寮へと帰還した。


「シュン」

「姫様!遅いです~」フラン

「お帰りなさいませ」カチュア

「遅くなってすまんな」


時刻はいつの間にか12時を過ぎており2人共に寝ずに待っていたようだ、先に寝ていても構いはしないのだが。

一応メイド学友と言う立場であるがゆえに、マーシャより先に寝てしまう事は出来ないと感じているのかもしれない、それにフランは自分の妹分であるカチュアの手前、お手本となる行動を見せていたようだ。

確かにお付きの従者と言う形、主が危険な場所へと赴いているのに自分だけ寝ていると言うのはいかがなものかと言う事だろう。

まあカチュアは既にそういうことはちゃんと教わっているのでフランが教えずとも問題はないと思われるのだが。

フランは学友と言う立場もあり待つと言うよりどちらかと言うと心配の方が勝っていたのかもしれない。


「それでどうだったのです?」

「特に何もないぞ、ロキシーと少し話したぐらいじゃ」

「明日の試合の事ですか?」

「魔王との話はすぐに済んだからな」

「そっちの方はどうなったのですか?」

「一応報告だけした形じゃ、魔王にしてもらうことも特にないからな、全部こちらに任せると言っておったぞ」

「魔王様も無責任では?」

「いや丸投げしてもらった方が楽じゃ、あまり色んな人物が関わると余計な問題が生まれてしまう、おぬしだって自分の仕事に横から手を出されていい思いはせぬじゃろう」

「確かにそうかもしれませんが…」

「それよりも もう寝た方が良いぞ、明日の試合は勝つつもりなんじゃろう?」

「そうでした、それでは私はこれで寝ます」少し憤慨気味

(なんか心配して損しているような気がするのはなんで?)


まあこれはいつもの流れであり、4年前から殆ど変わっていない。

マーシャもインベントリーから寝間着を取り出し訪問着から換装する。

一応魔王国と言うので、もしもの時の為バトルスーツとまではいかないが冒険者が着るようなドレスを作成して着替えてから行ってきた。

少しフランは怒っているようなそぶりだが、もしかしたら自分も魔王国へ行きたかったのかもしれない、昔なら絶対行きたくなかった場所だったはずが、いつの間にか彼女の中から魔王や魔族に対する苦手意識が薄れてきているのかもしれない。

機会が有ったら次回は無理やり連れて行ってやろうと思うマーシャだった。


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