食堂でのお話
食堂でのお話
マーシャが寮に戻るとそこにはチームマーシャの女子だけではなくアマンダや他の大会参加者まで待っていた。
「皆どうした?」
「姫様本当ですか?」
「何がじゃ?」
「西地区の選手に魔族が紛れ込んでいたと言うのは?」
リリアナやフランではなくこの大会で1回戦不戦勝で勝ち上がったサリーナがマーシャに質問を浴びせた。
「うぬ、そのようだが?」
「この後、どうなるんですか?」
「2回戦は不戦勝が何組か出るが大会そのものはそのまま続けることになる、途中で中止はしないと言う話じゃ」
「ホッ」
「何じゃおぬしは優勝できるとでも思っておったのか?」
「あ いえ、できればそうなりたいと…」
「なかなか気合だけはあるようじゃな」
「いいえそんな…」サリーナ
「まあうまく勝ちあがる事が出来れば良いがな」
食堂を見回すとそこにはもちろんチームマーシャの女子、リリアナもフランもそしてダーラもいる。
「明日の組み合わせ次第でしょうか?」
「できれば…」
「不戦勝で勝ち上がりたいか?」マーシャ
「いえいえ、そのような事はございませんが」
「まあ妾が目を光らせておる、ズルは許さんが正々堂々勝てばその力は認めてもらえると思うぞ、それに力を認めさせることができれば王国軍からのオファーもある」
将軍や副将軍が全員そろって審査員を引き受けているのはそういう事だ。
最低10位以内に残る選手、4回戦目へと勝ち抜けることができる、優秀な選手にはそれぞれの部隊から熱烈な引き抜き合戦が大会後に行われる。
それは当然なことだし、マーシャもそれを気にしてはいない。
チームマーシャにいる男性陣がもしそちらへ行きたいと言うのであれば、逆に推薦しても良いとさえ思っている。
女子は今の所、軍属になろうと言う者はいないが、別に引き留める事は無いと思っている。
「そういう伝手もあったのですね…」
「当然あり得る事です、私はマーシャ様の元でこの先も精進しようと思いますが」リリアナ
「わ 私も同じです、軍属なんてこき使われるだけでしょうし」フラン
「あ 我らはマーシャ様の下僕ですのでこちらの軍属になることはあり得ません」フロウラ
メイド従者の4人はそろってうなずく。
「それにしても魔族にまだ我が国に敵対する者がいたなんてね」アマンダ
少し離れたテーブルで取り巻きと話していた第一王女アマンダが口を開く。
「多分、大会が終われば敵対している魔族達が本格的に動き出すかもしれぬ」
「それで、マーシャはどうするの?」
「終わったと同時に魔王と相談するつもりじゃ」
「そう 何か手伝えることが有ったらいつでも言ってね」
そう言うと取り巻き数人を引き連れアマンダは自室へと立ち去って行く。
「ふー」
「おぬし、他にも聞きたいことがあるのでは?」
「マーシャ様、私もお仲間に加えて下さい」サリーナ
「やはりそういう話ですか」リリアナ
「よいぞ、但し今後のダンジョン攻略は2チームに分ける、そのための試験をするから覚悟をしておくように」
「試験ですか?」
「うぬ もしかすると妾はB級以上のダンジョンを攻略することになる、そちらへ連れて行く者は厳選する」
「試験って私達もですか?」フラン
「したいか?」
(フルフル)
「大会後の試験は1軍と2軍に分ける為じゃ、既に1軍でも大丈夫な者はある程度決まっておるが、今後チームに新しく加わるであろう者はそこまで力が備わっていないじゃろう」
「まずは力を見て、2軍で鍛えてもらうって所ですか?」
「その通りじゃ、ダンジョン攻略も効率よく行わなければな」
ダンジョン攻略、マーシャは次の攻略先はB級ダンジョンを考えているが、そこはすでに魔族側の攻略部隊が攻略している。
そこを外せばA級ダンジョンかC級ダンジョンの攻略に的を絞ることになる、どちらにしても仲間と共に攻略していくには今のままではうまくいかない可能性がある。
魔王国のどのダンジョンを攻略するのかは前もって魔王にも伝えておかなければ、いきなり魔族の土地へこちらの王国から攻略隊の人間が訪れた場合、そこでいらぬ問題が巻き起こる可能性はできるだけ排除しておくに限る。
もちろんマーシャ単独でダンジョン攻略をするのであればさほど問題は無いのだが、それでは皆の訓練にはならない。
「姫様お食事は?」
「おお忘れておった」
リリアナが気を利かせて本日の夕食を頼んでくれていたらしい、テーブルの上には本日の日替わり定食が置かれて行く。




