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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
大会トーナメント 前編
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魔族の作戦は失敗

魔族の作戦は失敗


決着はそれほど長くかからなかった、ジャベリン魔伯爵が弱いという分けではない。

カユーラの肩書は今でこそマーシャ付きの従者だが、元は魔王国では誰もが恐れる暗殺部隊、その力量はやはり噂以上だった。


「ギャイン バキン ドズン!」

「ぐはっ」

「これでおしまいかな…」

「ブシュ!」

「無念」

「勝者カユーラビラット」

「わー」

「さてと、姫様に報告するかね」


カユーラが審判に断りを入れて、気絶したジャベリンを肩に担ぐとそのまま会場の治療室へと向かう。

その途中、マーシャが転移魔法を使いやって来た、この時点ですでに大会に出場予定の変身魔族は全員捕縛済み。


「終わったようじゃな」

「はい姫様」

「全部片付いたみたいですね」

「うぬ、人質は全員解放、魔族はこやつで最後 全員捕縛完了じゃ」


いつの間にか会場で待っていた魔族も試合会場の控室で待っていた魔族も各個捕らえられて行き。

残っているのはいつの間にかジャベリン魔伯爵一人だけと言う所だった。


「さすが姫様」

「おぬしもやるではないか」

「そ そーですかねー姫様に言われるとなんかこそばゆいと言うか…」

「勝ち抜けば良い物を褒美に取らせるつまりじゃ、気を抜かずにな」

「あ ありがとうございます!」


昨年マーシャに手も足も出せないばかりではなく、目の前で暗殺部隊張りの拷問を見せられたカユーラ。

魔王国では掴まった軍属など奴隷に落とされたならば過酷な労働ばかりか、目を覆うような扱いを受けるのが普通だった。

まさか自分が捕まるとは思わなかった彼女だが、実際につかまりそして使徒になった今は。

魔王国で暗殺部隊にいるよりも現在の方が何倍も良い暮らしをしている。

もしまだ軍の暗殺部隊にいたのなら、彼女は常に死と隣り合わせの生活を強いられていたはず。

今は仲間と一緒にクエストをこなしたりブティックの店員をしたり、魔王国にいたら望むことなどなかった生活をしている。

しかもマーシャからは別に王国に害をなさなければ魔王国に帰っても良いとまで言われている。

そう言われている彼女だが、暗殺部隊に所属したのは彼女に故郷や親などと言う物が無かったからだ、もちろん親戚がいるのかも分からない。

彼女の出自、魔王国では一番多い奴隷階級の孤児であり、拾われた先で各種の暗殺術を教えられ育ったと言う経歴を持つ。

最初の身分は奴隷だった、その身体能力のおかげで体術や暗殺術を身に着けると。

メキメキと頭角を表し20歳で軍に入隊、その時同時に奴隷階級から一般階級に格上げされた。軍属になる利点それは優秀な成績を上げ入隊することで奴隷階級から解放されると聞いたから。

その後4年で隊長格まで登って来た、奴隷階級から這い上がった者達からすればヒーローに近い。


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