シロナとクロイス ペアの1回戦目
シロナとクロイス ペアの1回戦目
対戦相手は何処から見てもおかしいと思ったのは観客だけではないだろう、シロナもクロイスもその様子が尋常ではないと感じていた。
「貴方大丈夫ですか?」監視官
「だいじょ…ぶ」
「彼はいつもこんな感じなんです~」変身魔族
「それならば良いが、棄権はしないのだな」
「大丈夫ですって~」変身魔族
「それではお互いに10メートル下がって」
「はじめ!」
様子がおかしいと言うより敵の前衛はまるで誰かにあやつられているようだ、動きも表情もぎこちない。
まるで薬かそれとも魔法でも使用しているのか、目の動きも正常な人の動きでは無かった。
誰かに操られているようにしか見えない、まあそういう戦い方をするペアだと思っていればおかしくはないのだが。
この状態でどうやって試合をするのか、観客もシロナ達にも不安がよぎる。
「行きます、ディフェンスアップ、バリアー、アクセル、ホーリーウィンド!」
「転移!」
「ガイン バキャン!」
「なんだ?」
「ふふふ、甘いわよ」
「ドンドンドン」
瞬間移動で敵の魔術師を叩くつもりだったが、瞬時に前衛がクロイスの目の前に移動し振りかぶった剣を受け止める。
「バリア、ダークバインド、ポイズンシャドウ」
「ホーリーガード」
「フニュン」
「面倒ね…」
「このぐらいは当然」
「いいわ、とっておきを見せてあげる」
お返しとばかりに魔族の闇魔法が数種シロナの足元へ飛んでくるが、すぐに聖魔法で相殺する。
だが、敵もそれを見て新たな魔法を使うようだ。
それは変身魔法と言うより憑依魔法とでもいった方が良いだろう、目の前の前衛職の体が大きく膨らみまるでオオガ(大鬼)のごとき様相に変化していく。
「なんだと!」
「勝てるかしら?」
「勝てるわよ、ホーリーレイン、パーフェクトキュア!」
「そんなもの…」
「効くわけ あら」
「ウオー」
シロナの魔法をその身に受けた前衛の姿がどんどん元に戻って行く、1分と断たないうちに姿が戻るとそのまま地面にしゃがみこんでしまった。
魔族の魔法職が前衛に掛けた憑依魔法がシロナの聖魔法2連撃を浴びたとたん、魔族が放ったであろうとっておきとみられる魔法がキャンセルされてしまった。
その様子を見てすかさずクロイスは魔法職の元へ転移し一閃。
「残念だな」クロイス
「ドゴン!」
「ぐへ!」
「勝者シロナシーランド&クロイスコーパスウェザラート!」
「ま 負けた」
「どうして…」
「シュン!」
「この者は妾に任せよ」
いつの間にかペアの試合会場にマーシャが瞬間移動していた、このまま控室に帰らせると魔族達が何をするか分からない。
「このことはまだ内緒じゃ良いな」
「はい姫様」
そう言うと負けた魔族と人質の前衛職をひょいと持ち上げる、転移魔法でマーシャは敵の参加者と一緒に消えてしまった。




