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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
大会トーナメント 前編
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本線トーナメント開催

本線トーナメント開催


朝8時10分、朝の食事を済ませた一行は学院のコロシアムへと足を運ぶ。

前日とは違い、いつの間にかいくつもの垂れ幕が下がっている。これは各地の爵位持ちが今回の大会へ協賛していると言う証であり。

大会出場者へと渡される賞金や賞品への資金提供を誰が、どれだけ多く行っているのか知ってもらう為でもある。

その紋章を見ればどの貴族がより多く資金を提供し潤っているのかが分かると言う物。


「大会中は毎日やってるよー」

「うまいよー」

「サー寄って行かねー、この剣は南のクラック諸島産の魔鉄で作った業物だ」


本戦トーナメントが始まると会場の外も露店がかなりの数になってきている。

見に来る王都市民だけでも数千人を超すだろう、一応会場は不壊の魔法を掛けてあるのでちょっとやそっとでは崩れることなど無いが。

試合ではかなり危険な魔法を使う選手もいるので、観客席にはガード魔法や結界魔法の重ね掛けで強化してある。


「わー」

「もうかなり人が入っていますね」

「うぬ 早めに登録を済ませた方が良いかもな」

「それでは受付に行ってきます」フラン

「そうだな 妾も審査員席へ行くのでな、おぬしたちは観客席でおとなしく観戦するのだぞ」

「はい姫様」


朝8時半、少し早めに到着したマーシャ達、9時近くになると込んできてしまって登録が遅れる可能性もある。

既に出場選手登録のゲートには列ができており、中には選手ではないものが衛兵に連れられて行く風景も見られた。


「マーシャ様」グラムス将軍

「おはようございます姫様」

「うぬ おはよう」

「ささ こちらへ」

「姫様麗しゅうございます」

「先日はありがとうございます」

「たまたまのことじゃ構う事は無いぞ」

「こちらにトーナメント表をお持ちしました」


審査員のいる正面ブースには魔法の紙に書かれたトーナメント表が貼られ目の前のテーブルにはその表を空間魔法で投影する画面が置かれていた。


「これはよくできておるな」

「投影魔法とシステム魔法をくみ上げ板状にしたものです、こちらで出場選手の細かい情報や出身地などが表示されるようになります」


それはまるでモニターの様、もしかしたら転生者が作成したものかもしれない。

魔法のあるこの世界は、生活様式自体は少し古いが、それ以外は生前の世界とあまり違いが無い。

まあ物事の考え方は古臭いままなので、慣れないとどこからがこの世界特有の事なのか、どの部分から転生者が作り上げたのかが判断しにくい。


「試合開始は何時からになる?」

「一応午前10時を予定しております」

「問題は起こっておらぬか?」

「今の所問題はございません」

「分かった」

「姫様昨晩はどちらへ?」

「それを聞くのか?」

「申し訳ございません…」

「知るとおぬしらも妾の作戦に加わると言う事になるのだが?」


そう言いながらじろりと発言をした将軍の顔を見る。


「申し訳ございません、わが隊の斥侯部隊を展開して王都全域を調べていた折、学院寮で事件が起こったと報告を受けました」

「私の所にはそんな話来ておりませんでしたが…」アーリョワ将軍

「…」

「今更な話だな、マーシャ様のいる寮に攻め入る者など魔族の間者しかおらぬ」グラムス将軍


そして将軍職がこちらをジッと見るので、やれやれとでもいう感じでマーシャが昨晩の事を話して聞かせる。


「はー?」

「だから嫌なのじゃがな…」

「それで大丈夫なのですか?」

「何がじゃ?」

「魔王国の北部吸血族の城にケンカを売ってきたのでしょう!」ジョリーン将軍

「ケンカというか、やられたらやり返されても仕方がないじゃろ」

「そ それはそうですが…」

「妾が対処せずに、おぬしらにこの話を振ったら最悪の場合、戦争になるかもしれぬ」

「…」


将軍5人と副将軍達もしばし黙り込む、確かにマーシャが対応を全て王に報告した場合、魔王国との友好関係ヒビが入り魔王は王国からの苦言に対して、魔王国の貴族達に責任を取らすための行動を起こさなければならない。

それは魔王国が徐々に内戦の危機を迎えると言う事になり、王国では国境線に今の数倍の軍隊を派遣しなければいけなくなってしまう。


「では姫様は、国同士の事ではなく個人的な恨みだと言う事に?」

「昨年ハンクル魔将軍を黙らせ戦いを終わらせた事に納得いかない魔族はたくさんおる、だがそれに文句があるなら小細工などせずに堂々と魔王に進言すれば良い話じゃ」

「と言う事は魔王には話さず自分達が王国に攻め入って、自分たちの力を示すことで魔王国の主権を手中に収めようと言う事か?」

「多分そういう考えでほぼ間違いは無いじゃろう」

「姫様はこの先どうなさるおつもりで?」

「時期が来るまでは放っておくつもりじゃ」

「そんな悠長な…」

「まあ確かにベノム城が姫様の下僕になったも同然ならば、文句を何時行ってくるのか分からぬが、放っておけばそのうちしびれを切らせて何か言ってくるであろう」

「その話は外に出すことができないから、いずれは直接連絡して来ると言う事ですね」

「殺そうとして逆に攻め入られたとか、恥ずかしくて他の者には話せないだろう」

「そういう事じゃ、だからこの話はできればおぬしらにも他言無用としておく」

「かしこまりました姫様」


全員がこちらを見ながらうなずく、話を広げてしまうとどんどん事が大きくなってしまい、魔王の立場も悪くなってしまう可能性がある。

マーシャとしてはあまり魔王国との関係を悪くしたくはない、だからと言って悪者を放っておくこともできない。

放っておいて誰か犠牲者が出てからでは遅いと思うが、今の所マーシャが一番の敵だと思わせておいた方が所犠牲が最小で済むだろうと言う考えでことを進めて行く。

王様には後日結果をお知らせすれば良い、今はとりあえずこの大会を無事終わらせることが第一だ。



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