魔族の戦略
魔族の戦略
マーシャが入学し1年が経とうとしている頃、王国宮廷騎士団長率いる混成部隊は北の砦を守備していた。
国境線が近く人の往来もそこそこある地域だがここ半年は検問を通らなければ通行を許可していない。
特にこちらへ入る人間は厳しくチェックしていた。
「おい止まれ」
「はい」
「行先は?」「荷物を調べろ」
「はっ!」
「行先は王都セリアでございます」
「積み荷は?」
「交易品でございます」
「隊長積み荷におかしなものはありません」
「よし!通っていいぞ」「よし次!」
魔族の偵察部隊は商人のふりをしてアルフレア王国へとすでに10人以上が潜入していた。
国境線には砦しかないがそこから3人一組で境界線に沿って定期的に警備はしていた、商人を装って入国してしまえばわざわざ危険を冒す必要もない。
現在ガリアナ魔王国の中枢ではアルフレア王国と戦争をするべく作戦を練っていた。
「将軍、報告申し上げます」
「申せ」
「アルフレア王国ですが現在軍備の増強はされていない様子です、又国境の警備ですが守備しているのはアルフレア王国警備軍と周辺諸侯の私兵からなる混成部隊とのことです」
「こちらの用意はどこまで進んでいる?」
「はっ! 現在歩兵2万騎兵5千獣魔兵1万です」
「あちらの戦力は?」
「多く見積もって歩兵2万騎兵5千です、多くは首都周辺に駐屯しているため奇襲をかけるならば即落とせる可能性がございます」
「いやそれは甘すぎだ、お前たちも知っているだろうあの国には魔法や剣術にたけた英雄と呼ばれた戦士が10人いる、すでに伝説と化したが生きていればまだ80歳前後」
「ですがその年では恐れるに足らないのでは」
「その者たちは無力になろうとその弟子や子供の動向次第では同じような脅威となる」
「確かに」
「そのためにスパイを送り込んで探らせているのだ、戦いとは戦うまでに何をするかで勝敗が決まるということを忘れるな」
「はっ!」
「兵の数だけはそろったが…英雄や勇者と呼ばれる者1人で戦況は簡単にひっくり返る」
「それは我々の側も同じだが、慎重に用意を進めなければ勝てるものも勝てない、我々に負けは許されないのだからな」
この日から王都セリア近辺では妙な噂が立ち始める、お化けや怪物が出没すという。
この噂は周辺の町へも広がった、人々は噂する魔族のせいではと…




