アリシア・カールペア
アリシア・カールペア
二人の立ち位置は現在やや微妙だ、一応婚約に向けてやり取りはしているが。
カールは結局中等部の時にマーシャには勝つことなど出来ず、1年間下僕としてアリシアに権利を譲渡されたという情けない状態を続けていたのは皆が知る所だ。
だがアリシアにとってカールは初めての彼であり彼の外見だけはすこぶる良かった。
アリシアから見るとそこだけをとっても捨てるにはもったいないと言う状況だ、だがこのペアに出場して結果を残せなければ婚約への話は白紙に戻さなくてはいけないと言う王様からの指令が出ていたりする。
カールは侯爵家の次男であり、王家としてできれば爵位持ちの長男との婚姻が望ましい。
カールが婚姻の前に何か手柄を立てていればさほど問題は無いのだが、学院での成績もさほどパッとしないのが現状で、今の所飛び級なども無い状態。
周りの爵位持ちや王族がとびぬけている事で、彼はやや割を食っているだけなのだが。
そのようなことなどお構いなく皇族の伴侶として比べられてしまうのだから可哀そうな立場ともいえる。
来年になる前にどこかのダンジョン攻略部隊にでも強制参加させると言う、実家からはそういう話まで出ていたりする。
「38番アリシア様39番カール様、対しますは65番ジェロー様66番ドロス様」
「はい」
「はい」
「間違いございませんね」
「おう」
「はい」
「用意は宜しいですか?」
「大丈夫だ」
「こちらも宜しいですわ」
「では始め!」
相手のペアは冒険者の中堅所と言った所か、まだ20代の前半と言った所。
もしかしたらこのペアも婚約している可能性がある。
「さあ行くわよ、私達なら大丈夫!」ドロス
「カール、私たちの力見せつけてやりましょう!」
「ああ いくぜ!」
「ディフェンスアップ、フィジカルアップ…」
双方にバフ魔法がかけられ前衛の戦士が中央で剣を交える、どうやらどちらも力量は拮抗しているように見える。
「ギャイン」
「グッ」
「このー」
「ドン!」
一度仕切り直し、双方が共に距離を取る、その間に後衛であるアリシア、そしてドロスが攻撃魔法でお互いに攻撃し合う。
「ビシュンビシュンビシュン」
「ドズンドズンドズン」
だがこれといってどちらも決め手に欠けている、そしてどんどん時間が過ぎて行く。
「くそー」
「バシュンバシュン」
「ギャリン」
「はあはあ」
「時間切れです」審判
一応一つの試合で制限時間が10分と定められている、決着がつかなかった場合はポイントの優劣で勝負を決めると言う規則になっている。
そしてかろうじて3ポイント勝ったアリシアとカールだが、彼らは2試合目で負けてしまい退場することになった。
残念ながらカールはこの大会後地方のダンジョン攻略部隊に参加し、そこで強制的に訓練することが決まるのだった。




