予選トーナメント開始
予選トーナメント開始
食事を終えて大会会場である学院の中央コロシアムへと訪れた一行。
外苑の真ん中にある入場口ではすでに入場者確認が行われていた。
「それでは姫様私はこれで」
「うぬ、頑張るのじゃぞ!」
「私も」
「うぬ」
「あ マーシャ来ていたのか」リカルド
「兄上」
「マーシャ様」ロキシー
「来たか、早く登録を済ませるのじゃ」
「分かった!」
「参りましょう」
そう言ってロキシーがリカルドの手を取る、中々リカルドとロキシーはお似合いの様子。
昨晩も色々話し合ったのは聞いており、面白い試合を見せてくれることだろう。
「マーシャ様、おはようございます」ビルシュタイン将軍
「おはよう、どうじゃ順調か?」
「ハイ、すぐに予選が始まります、こちらへいらしてください」
「もうか?」
「分かった、それでは皆おとなしく見ておるのだぞ」
「姫様大丈夫です」ジル
「行ってらっしゃいませ」フロウラ
「姫様、行ってらっしゃいませ」キャシュア
リリアナとフランは魔術の予選へ、カバネルとロッドは武術の予選。
そしてペアにはチームマーシャから3組の出場が決まっており、他の出場者は既に受付を終えて会場へ先に入っている。
予選トーナメントは最初武術の試合から始まる、続いて魔術、ペアの試合へと進んで行く。
まだ試合方法を知らないマーシャは、武術の予選で予期しない状況を目にすることに。
「こちらの席でお待ち下さい」
「マーシャ様ご機嫌麗しゅう」
「姫様御身の前に」
「マーシャ様ご機嫌麗しゅう」
先日行われた事前審査と同じ、会場の端にある審査員席には将軍職が5名、そして学院長が座っていた。
「姫様、久しぶりですな」
「その節はお世話になりました」
「いやいや姫様にはこちらの方が世話になっておりますのじゃ、これからもよろしくお願い致しますぞ」
学長であるマーク・アンドルトンは白髪のおじいさんではあるが、元10傑の一人でもある。
その昔魔族の侵攻を阻止した10人の中の一人、今は王国アカデミーの学長であり魔法戦のスペシャリストである。
それほどマーシャが学院に何か良いことをしたつもりなど無いのだが、マーシャが何か起こすたびに学院の勉学意欲が上がるのを見て、それをうまく裏で操っていたりするのは彼である。
通常王族が何かすると、問題ごとが増えてそれを収束するのに頭を抱えるのが普通であるのだが。
マーシャの場合は、彼女一人で物事が完結してしまう、後でそれをよく思わない貴族から文句が出ても諫めるのはたやすかった。
それに王族であるマーシャを特例視して置けば間違いが無かったこともある。
「文句を言うのならマーシャ様を試合で倒してからにしてみなさい!」
そう言えば誰もが口を噤むのだから、陰でマーシャを学院の宣伝に利用していたりする計画はうまく行っているらしい。
「それでは大会トーナメントを行います」
先ずは武術の予選トーナメント、91人の出場者を10人にまで減らすには普通にやると40試合以上執り行う事になる。
それは時間がかかるとともに、見ている者も飽きて来るだろう。
まあ見世物として行うのならばさして試合方法など問題ないのだが、一応今回は王国の武術大会である。
見世物と言うより誰が一番強いのかを競うわけだ、もちろん観客は面白い試合を見たいのも確かだ。
「武術の試合は同時に10試合行います、今回武術魔術共に王族の方は出場しておりませんので10組が勝ち残った時点で出場者が決定となります」
どうやら試合会場を10か所のブースに分けていっぺんに行うらしい、一応まだ予選と言う段階なので、極端な強さを持つ選手でも手の内は見せずに力を温存するだろう。
切り札は最後に取っておくのは当然のことだ、あまり序盤で切り札を見せてしまうと即 対処されてしまう。




