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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第4章 武術&魔術大会
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コロシアム外苑

コロシアム外苑


試合会場となる王国アカデミーのコロシアムはその外観も装いを変更され各所に飾りを付けられた。

見に来る者を飽きさせない工夫だろうか、会場外苑にはすでに出店が何店か用意を始めていた。

大会出場者だけで800名以上、関係者は500人以上。

そして場所は学院のグラウンドであるため学生達数千人が授業を放り出し観戦に来るだろう。

学生と大会参加者以外は入場料を払うか、もしくは貴族からのお墨付きが無ければ入場できない。


「姫様!」

「まだ早いですって」フラン


大会予選当日と言う事で、お祭り前の喧騒を味わおうと一人早めに起きてコロシアムへと来てみたが、それを見たフランが慌てて後をついてきた。

カチュアが起こしてくれなければ又どやされても仕方がない状況。


「フラン様、姫様が出て行かれましたが…」カチュア


数日前からマーシャ付きの従者となり学院に置いて授業を受けることになったカチュア。

一応年齢は16歳と言う事で高等学院へと編入することになった。

外見はマーシャと殆ど変わらない、身長は155センチ体重は40k。

外見はやせており、これは長い間奴隷として暮らしてきたためと言う事だ。

今は顔色も良くなり、背中の羽根は艶を取り戻した、まだ寝相は治っていないようで今朝起きた時は床の上だった。


「え!なんでもっと… いいわ、それより支度して」

「はいフラン様」


ストレージから普段着(メイド風制服)を取り出し急いで着替える、もちろんカチュアにも服を着るように命令する。

その間約10分、まだ朝日が低い位置にいる為、朝焼けの空には時折鳥が舞っている。

部屋の戸締りをするとフランはカチュアを伴って寮の2階から走り出す。

(うわ 大失敗だ~)

まあいつもの事なので特に気にしなくてもよさそうなものだが、王様やお妃さまから直々に伝えられていたりする。


「マーシャは何をしでかすかわからん、メイド学友であるその方には苦労を掛けるやも知れぬが、くれぐれも目を離さぬように な!」


そう言われてこんな為体らくでは、後でどんな罰を受けるか分かった物ではない。

一応王族の方々には認められてはいるフラン、要するにマーシャにはフランを付けておけばそう心配することもないだろうと言う形らしい。

特に兄のリカルドはフランによく質問をしていたりする、こう見えてフランは王族には従順であり話しやすいと言う人物評価をされている。


「何じゃ来てしまったのか…」

「勝手に一人で外へ出ないでくださいよ~」

「すぐ戻るつもりじゃ」

「それなら尚更一言下さればよろしかったのに…」

「気持ちよく寝ている者を起こすのは妾でも気が引けるゾ」

「かまいませんよ~」

「そうかそれならば次からはそうする」

「先日とは会場外苑のおもむきが違いますね」

「そのようだ、大会中は何千人も訪れるのじゃ食い物を売る店や土産物を売る出店が多数出展すると言う事を聞いたのでな」

「でもまだやっていないでしょ」

「まあまだ早いが、本日昼からはオープンする店もあるようじゃ」

「楽しみじゃな」

「姫様は大会審査委員長なのですよね?」カチュア

「らしいな、妾にはあまり動き回られたくないのじゃろ」

「何故でしょうか?」

「妾が出張ると、問題がほぼ完ぺきに修正されるからじゃな」

「カチュアちゃん、マーシャ様はね、わざと出て来て悪者やよこしまな考えを持つ者に近寄り全部退治してしまうの、そんな人を野放しにすると他に活躍したいと思っている人たちの出る幕が無くなるでしょ」

「それならば姫様より先に出て回ればよろしいのでは?」

「確かに…それは正論ですけど」

「それができたとして、本当に問題が起きた時対処できるとは限らんじゃろう」

「あ あそこの店やってそうです」

「話をそらしたか…」


朝6時半、既に会場の外には小屋のような売店が並んでおり、いくつかは準備を始めている。

その中の一つの店は商品を並べ始めていた。


「この店は何を売っておる?」

「うちは菓子だ、保存魔法はしっかり効かせてあるから、数週間は持つゼ」

「ほ~」

「ダメですよ、マーシャ様」

「分かっておる」

「またな、オヤジ」

「おう」

「姫様は王族には見えません」カチュア

「そうか?」

「不思議です」


王族に見えないと言うか貴族にも見えないふるまい、まあ言葉使いも最近はいくつかその場で変えたりするので違和感が無くなってきたが、できれば転生前の言葉を使用したい所。

王族でスケバン用語はミスマッチどころか通用しない、殆どの言葉が意味不明となることから使わずにいたりする。

それでも激高した時は知らぬ間に出てしまい、後で後悔したりするのだ。

出来れば変身魔法を覚えて外見を変えてから使用出来たらなと、考えていたりする。

ちなみに光魔法や土魔法を細かく指定するとそういう使い方もできるらしい。

要するに分身のように、外見を全く変えることができれば、汚い言葉などどう使っても構わなくなるはず。

そう言った変装変身魔法さえ使えれば転生前の容姿を設定し、謎の義賊として活躍できたりするのだが。

それにはいくつかの魔法を覚えるだけではなく、かなりの精密度で絵画のスキルが必要になって来る。

絵画…創作魔法は使えるのだが絵画となるとやや系統が違ってくる、それも立体なのだ 立体造形のスキルを手に入れるかもしくは精密描写の魔法を作るか、それらの魔法を駆使し立体映写魔法を作らない限り変身魔法を実現化するのは難しい。


「この身がもう少し自由ならすぐに魔王国へ行きグラッダをコテンパンにしてやるのだがな」

「そ そんな…」

「元上役に対して恐れ多いか?」

「いえ、この世の中は弱肉強食だと教わりました、強さがすべてだと…」

「まあ、その目で見ておるが良い、妾が何を成そうとするのかを な」


約1時間、会場外苑に出ていた出店を一通り見て回ると一度寮へと戻ることにした。

本日は9時までに会場へと集まる、7時少し過ぎに寮に併設された食堂へと行くとそこにはチームマーシャの女子全員が集まっていた。


「マーシャ様!」

「皆来ていたのか、待たせて済まぬな、少し会場を見て回っておったのでな」

「マーシャ様も落ち着かないですか?」

「まあ仕方ないじゃろ、お祭りなど今まで見たこともないのじゃから」

「それよりお食事を…」

「そうだな、早く済ませて行かねば間に合わぬからな」


食事の風景はいつもと変わらない、ただ武術魔術大会の参加者はチームマーシャ以外にもこの寮に数人いるので、彼女たちはやや神妙な面持ちでいた。


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