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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第1章 王立アカデミー編
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休み時間

休み時間


「マーシャちゃんって王女なの?」


少し天然が入った様な可愛らしい少女が声をかけてきた。

たれ目にふっくらとした頬っぺた、そして青い目。

カルマン侯爵家の長女、シャルロッテ・カルマンが後ろを向き声をかけてきた。


「うぬ 第3王女じゃ」

「年下の王女様って初めて見ました」

「どうじゃ初めて見た感想は?」

「かわいいです」

「そうか、おぬしもかわいいぞ」

「あん~~褒められちゃいました~」

「姫様も寮にお住まいなのですか?」


今度はややボーイッシュな女子が声をかけてきた。

ボーマン伯爵家パリエス・ボーマン。


「隣のフランと一緒じゃ、おぬしも寮住まいか?」

「はい、この学院の寮は半分が寮住まい、半分が下宿か通いです」


今日は入学式のため昨日は王族御用達のホテルに泊まったのだが、明日からは寮から通うことになる、学院の寮は隣に隣接しており付属学院の寮はかなり大きい、学院と同じぐらいの数の棟があり。

3階立ての建物が5棟すべて付属学院の寮となっている。

すでに王家付きのメイドにより入寮後の手続きや勉強用具の購入そして寝具などを用意しているところだ。

爵位付といってもピンからきりまで、伯爵といえど裕福でない場合もあり男爵クラスでも手柄を立ててかなり肥沃な土地を褒章でもらい受け余裕のある家もある。

もちろん寮に入るのはそこそこ裕福な場合がほとんど、この寮は衣食住すべてそろっている。

一人の費用は通常1年で大金貨4枚、約64万円、朝昼晩と食事が付く。

昼は専用の籠を持っていくと詰めてくれる、昼は基本サンドイッチに近い。

魔法の授業や数学などの授業は学院付属の本を使用するため持ち運びする必要がない。

持っていくのはこのサンドイッチ入りの籠だけとなる。


もちろん本の類は貸し出しもされているため、勉強好きな生徒や物語好きなものは、帰りに図書館によって借りてくるものも多い。

教室にも本棚があり通常生徒が使う教本はそこから取り授業で使用する。

マーシャとフランは飛び級入学となったため、10歳クラスの2限目から始まったが通常は午前中3時間午後3時間の6時間授業となっている。

次の授業が終わればお昼休みとなり、昼食なのだが本日は入学式だったのでマーシャ達は昼食の籠は持ってきておらず。

メイドが昼までに持ってくる手筈だ。

ちなみに通常の6歳児達は午前中は授業は無く学院の説明のみで帰宅となっている。


「おい お前は王族じゃないよな?」


ロンディアがフランに声をかける。


「私はマーシャ様付きの従者です」


王族は全て従者も授業を受けることになるが各爵位付の子弟達でメイドを付けるのは相当裕福な場合だ。

だがメイドや従者がいる状態で育った者たちは学院に入ると学友にそれを求める。

マーシャは当然その対象から外れるが、そのメイドは彼らから見たら懐柔して自分付きにできないか考える対象となる。


「ロンディアとやらフランはわらわ専属じゃ他の者の命令は厳禁じゃぞ」

「ちっ!」

「お~そうじゃもし自分付きのメイドにしたいなら、妾と勝負して勝てば譲ってやるがどうじゃ?」

「えっ!まじか?」


マーシャはニマニマとほほ笑み、目の前の活発そうでやんちゃそうな男子を見る。


「その話乗った!」

「え~マーシャさま~~」

「その代わりわらわが勝てば1年間おぬしは従者じゃぞ」

「え…」


そこまでは考えていなかったロンディアだが、男としてこの勝負受けざるを得ない。

それは他の生徒が今この場所を全員が見守っているから。

OKしなければクラス一番の剣術使いの座というメッキがはがれる。

実力はクラス一番そのおかげで少々無理な物言いや他の生徒を強引に誘ったり命令したりというカースト上位の地位が崩れてしまう。


「くそっ!その話受けて立つ!俺の実力見せてやる!」

「そうか では昼食を食べた後の昼休みに、剣術訓練場で試合うとしよう」

「いいのか?」


通常男子は剣術、女子は魔法に適している、これは体力もそうだがいろんな身体特徴もどちらを得意とするかの原因になっている。

全てそうだとは言わないがよく見ればわかる、女子の手は男子より小さく、女子の口は男子より小さい。

女子の場合手に剣を持つには向かないが、口が小さくよくしゃべれる=魔法を唱えやすいということ。

剣術の試合なのか魔法の試合なのかを決める前に、マーシャが剣術訓練場と言ったからだ。


「剣術の試合で良いのか?」

「構わぬ、魔法でもよいがそうするとおぬしの技量じゃと試合にならぬ」

「いちいちむかつく言い方だな」

「まあ百聞は一見に如かずじゃ」


ロンディア・ワイバーン  

10歳

ワイバーン子爵家3男

種族 人

魔法熟練度  9/30級

剣術    38/50級

小剣術   33/40級

槍術    27/50級

体術    30/50級


HP   300/300 ヒットポイント(体力)

MP   100/100 ミッションポイント(マジックポイント)

SPD   54/60  スピード(足の速さ)

AGI   44/50  素早さ(敏捷度、魔法詠唱+補正)

AT    76/80  アタック(攻撃力)

MAT   24/40  マジックアタック(魔法攻撃力)

DF    67/90  ディフェンス(防御力)

MDF   22/30  マジックディフェンス(魔法防御力)

FA     8/10  フィンガーアクション(器用さ)

IT    89/100 インテリジェンス(脳力、頭の良さ魔法攻撃に+補正)

魔法※火1水1土1風1聖2光1闇1無0

加護※(戦神DF+2)


午前最後の授業が終わり寮のこまごまとした用意を担当していたメイドのクレアが昼食の籠を持ってきた。


「姫様お待たせしました」

「おお済まぬな、ん?おぬしの分がないではないか」

「申し訳ございません経費の関係上2つのみとのことで」

「では半分こしよう、おぬしも食べていけ」

「よ よろしいのですか?」


「皆も構わぬな」

「マーシャ様 お優しい~」


するとフランも半分クレアに差し出した。


「姉さまこちらもどうぞ」

「ありがとう~」


フランはクレアのことを姉さまと呼んでいるみたいだ、同じメイド同士でも上下関係があるのだろう。

今回寮の細かいことは全てクレアの担当になっている、彼女は寮ではなく王族の契約している屋敷で他の王族付きメイドと住む予定だ。

現在そこには第一第二王女付きのメイドが二人住んでいる。

もちろん王子付きの男性メイドはほかの屋敷に住んでいる、男子と女子を一緒にしたらいくら王命だとしても欲望に逆らえず仕事に支障が出る可能性もある。

昼食が済み昼休みとなった。


「よしまいるか?」

「ああいいぜ!」


クラス全員が二人の後について行く、総勢三二人 剣術の訓練場は一〇歳のクラスからは近く一つ後ろの建物になる。

訓練場は観覧席が設けてあり数十人がそこで座って観覧できる、円形の闘技場に近いがそこそこの広さがあり、剣技を使って吹っ飛ばしても壁までは飛ばないぐらいの広さがある。


「では 始めるか」


他の生徒たちは、観覧席に座ると真ん中に立つ二人を見る、どう考えても身長で三〇センチは低い姫様に剣技で勝てる要素は見つからないのだが。


「おぬしも防御魔法はかけておけ、妾の技を受けると死ぬぞ」

「そんな魔法掛けられるわけないだろう、このままで大丈夫だ!」

「そうか・だが、安全あっての試合であり訓練じゃ」


そういうとマーシャは防御魔法のみロンディアにかけてやった。


「おわっ!」

「これで安心じゃ」

「礼なんか言わないからな!」

「構わぬ、勝っても死んでしまっては意味ないからな」

「ふざけやがって~ 行くぞ!」

「おう 来い!」


(カンッカンッ!)

(カカンッ  カンッ)

(くそ~なんだこいつ全部かわしやがる)

(カカカカッ)

「なんだそれっ!」

「四連撃じゃ」


わざと剣のみを狙って四連撃を放つ、本来フェイントを入れながら放つ剣撃のため立ち位置が変わるはずだったがわざと変えずに連撃を放つ。


「おぬしも守りだけでは勝てぬぞ」

「くそ~~」

(カンッカンッカカンッ)

(そろそろ決めるか)


マーシャはロンのすきを突くと小さい体をうまく使い懐に入り込むとぶちかました。


(どんっ!)


そのまま剣を掲げ上段から脳天へ。


(コンッ)


吹き飛んでしりもちをついたロンの頭へこつんと木剣が振り下ろされ小さい音を出す。

一瞬の間が空き今まで泣いたことがなかったロン(ロンディア)の顔が悔しさにゆがむ。


「負けたのか おれ!うえ~~」

(まけた~~)

「やれやれ おぬしはよくやった方だぞ、王宮騎士団副団長とどっこいどっこいじゃ」

「あらら~姫様やってくれますね」


いつの間にか観覧席から教師の一人であろう若い男が歩いてきていた。


「ちゃんと了解は取ったし防御魔法はかけておいたぞ」

「まあ彼には良い薬になったでしょうけどね」

「私、王立アカデミー付属学園剣術指南ジュリアン・バイロンと申します以後お見知りおきを」

「バイロン?おぬしロドリゲスの?」

「王宮騎士団団長はわが兄です、その節はお世話になりました」

「いや世話になっておるのは妾の方じゃ」

「いやいや、あの兄が結婚されたのは姫様のお力だと強く教えてもらいましたから」


そういいながらそのイケメン面を近づける。


「ロン君、姫様はわが兄と互角に戦う方です負けて当たり前なのです、胸を張りなさい君は今本当の剣術を学んだのです、お礼を言いなさい」


「ン ン あ ありがとうございます」

「よいよい 明日からおぬしはわらわの従者じゃからな」


泣いていたはずの顔がその言葉を聞き青ざめる…(えっ!)


(忘れてた…うそ~~ん)


とはいえマーシャは特に下僕として何をさせようとか、いじめてやろうとか、そう言う考えをこれっぽっちも持っていないので。

次の日からロンは常にマーシャが何を言ってくるかびくびくしていた。


(お 俺は何をすればいいんだ~~~~)


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