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事故で死んだのは手違い

事故で死んだのは手違い


通常ならば魂はすぐに天界に置いて天使が対応することはマーシャの時と変わらない。

正し例外と言うのはいつの世もどこにでもある物だ、そして天界にもそれはある。

アマンダの前世は小沢英子と言うごく普通の主婦であり二人の子持ち、夫は37歳で一応恋愛結婚だった。

一男一女をもうけ幸せな日々を送っていた、ある日英子は買い物をするため近くにあるスーパーマーケットへと出かけた。

この地区はいわゆる田舎、車を使用しなければ買い物を運んでくることもできない。

天候は晴れ、時刻はお昼を過ぎていた。

午前中は農作業と掃除そして洗濯。

昼食を摂り旦那を畑に残して車を運転し、食料や日用品を買うとすぐに家まで帰る、それだけの道程。

だがその日は違った、交差点で止まり信号が変わるのを待っていた。

いきなりだった、後頭部に衝撃を受けすぐに意識不明に陥った。

後方から突っ込んできたトラックに押しつぶされ前の車との間に英子の乗る車は挟まれた。

即死だった…

トラックの運転手は既に息を引き取っていた、死因は心筋梗塞。

彼女はいわゆる巻き込まれたに過ぎない、死ぬのはトラックの運転手だけのはずだった。

それが手違い、こういった手違いは結構あるらしい。

生前の世界では交通事故で年に数万人が死亡する、その中には千人規模で巻き込まれた魂が存在するのだ。

そして彼女は死ぬはずではなかったと言うのが決められていた定めだった。

では何故死んだのかというのが問題、そうマーシャが死んだ時と同じく邪神が関係していた。

そういうイレギュラーな魂の場合、神が手心を加えることがある。

これはマーシャの時も同じなのだが、たまに順番が違う場合がある、要するにこの時はたまたま女神が地上を巡回していた。

本来ならばすぐに魂は天使の元へ行き次の生を決める面談があるのだが、その前に女神が対応したため、少しややこしい転生の仕方をすることになった。

どうやら女神様この時すでにいたずらをする神を特定するべく動き出していたらしい。

そんな経緯があり、たまたまそこを通りがかったことで、直接転生の設定を女神が請け負った。

この場合すぐに転生することも可能だが、幾つか条件が有ったりする。

読者の諸君ならもうお分かりだろう、出生の記録を記すデータは女神の元には無い。

すると転生は可能だがデータが無い分どの世界か、転生する時期等をしっかり決められなかったりする。

要するに英子は生まれてすぐ自分を認識できるのか?それと転生先の世界を指定することができなかったのだ。

だが生前夢に描いた姫様と言う地位と美女と言う設定は女神がちゃんとかなえてくれたらしい。

そして転生先でも不自由の無いスキルを10個ほど受け取っていた。

彼女も女神の祝福を受けた転生者の一人、マーシャとは前後逆なところがみそだが。


《ここは?》

《ここは天国と地上との狭間》

《あなたは?》

《私はあなたにとって一番思いを願うにふさわしい姿に見えているはずです》

《もしかして女神様?》

《この姿はあなたの記憶から導き出しました》

《私はどうなったの?》

《あなたは交通事故で死にました》

《え~》

《手や足がないわ》

《今のあなたは魂だけの姿なのです》

《そうなの…》

《子供たちは?》

《今地上ではあなたの体にすがって泣く子供が見えています》

《郁也・朋美!》

《もう 戻れないの?》

《ええ、この世界でのあなたは死にました》

《そうなんだ…》

《未練はありませんか?》

《未練有まくりマックスです》

《マックス?》

《未練が無いなんて そんなことないです!》

《そうですね、では転生したいですか?》

《この世界に転生できるの?》

《この世界ではもう転生できません》

《そうなんだ》

《ですが、貴方の好きなラノベのような世界にならば転生可能ですよ》

《え?マジで?》

《はいできますよ、ですが条件があります》

《なんですか条件って?》

《あなたが目覚めるのは10歳になってからになります》

《そう?》

《生まれ変わるなら女の子それとも男の子?》

《え~と女の子にして》

《生活環境は、選べますよ》

《それじゃあお姫様に》

《お姫様ね、他には?》

(ラノベと言ったらスキルとか魔法とかかな…)

《魔法とかスキルとかですか?》

《そうです、それではあなたにいくつかスキルを与えておきましょう》

《スキル?》

《そうです、転生先の世界では魔法も使えますが、スキルも有ります》

《そうなのですね…》

《それと今回の対応は特別です、転生後は私をあがめる事、よろしいですね》

《はい》

《私の名はアフロディーテ、愛と豊穣の女神、忘れてはいけませんよ》

《絶対 忘れません!》


その後すぐに意識を失い、目覚めたのはベッドの上だった。

この時対応した女神はアフロディーテ、女神アテナの妹という設定。

女神も数人いたりする、もちろん男神も数人いるので実数は未だに不明だ。


「ここは?」


目覚めたのは天蓋付きのふかふかベッド、そして着ていたのは絹のネグリジェ。

10歳にして胸のふくらみはかなりあるのに腰のラインは細かった。

生前の自分と比べたら女神様になんとお礼を言って良いやら。

それから5年と言う年月が過ぎ、いつの間にか婚約そして婚約棚上げと言う経緯へと移行する。

ここまでアマンダの周りで起こった事はそれほど悪いものではないが、推しメンとの婚姻を魔族に邪魔されたと言うのがやや気がかりと言う所か。

だがそれほどアマンダは後悔していないし、逆にナイスシチュエーションと思っていたりする。

障害があるほど愛は深まる、ラノベあるあるの世界だ。


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