王宮庭園
王宮庭園
舞踏会場となった建物から外へ出るとそこには王宮が誇る庭園が広がっている。
真ん中には石作りの建屋があり、数人が座ることのできる椅子も用意されている。
他にもベンチのような椅子が所々添えつけてあり、まるでどこかの公園の様だ。
時期は秋と言う事で花は季節柄少ないのだが、秋に咲く花は数種類その短い時間を彩っている。
いつの間にかそこにマーシャそして従者はもちろん、魔族の参加者全員が集まってきていた。
「やっと休憩時間になったぜ」カバネル
「俺はもう疲れた」ロッド
「俺もだよ」テンマル
「あれお前、もう相手見つかったんじゃなかったか?」
「ああ その事だが見事に振られたよ」
テンマル・オーバスは伯爵家の次男で昨年マーシャに何度か挑み勝てなかった居合抜きの達人。
今季彼は高等科に飛び級しすでにソードマスターとバトルマスターを取得している。
「何で?」
「イケメン公爵の息子に鞍替えされたよ…」
「もしかして、あいつか!」
すでに相手のいる者は今回の舞踏会には参加できない、昨年相手が見つかったテンマルだったのだが、その後横取りされたと言う事。
学院の中等部にはどこかの伯爵の息子がいて、そいつは外見だけはかなりよろしいと言う話。
前回の舞踏会で何とか恋文を送りお付き合いを始めようとしたのだが。
後日お断りの手紙が届きその理由がイケメンにお誘いを受けたのでと言う話なのだが。
「それで?」チャッピー
「あ!」
「なんだ盗み聞きなんて…」
「一応相手がいない男子の情報は知っておかないとね~」
「そうですよ」ミミー
「何ならあたしと付き合う?」ロジー
「いや尻に敷かれるのはごめんだ」ロッド
「皆ここにいたのか?」
「姫様」
どうやら男子は今回の舞踏会も残念な結果に終わりそうだが、
彼らは後3回、ロッドに至ってはあと2回の舞踏会でお見合いは終了となる。
まあロッドの場合は空撃隊に所属している隊長の息子と言う事で、貴族と婚姻することなどあまり考えてはおらず。
現在は田舎へ帰り幼馴染と結婚する話が有ったりする、まだ誰にも言ってないけどね。
「そちらは?」
「魔王国の第2皇女ロキシー様の従者じゃ」
「ロキシー様の従者、カチュア・ジョーバリンと申します」
「羽!」
「吸血族とハーピー族のハーフらしいぞ」
「…」
「おぬしらもう慣れたじゃろう?」
「いやそういう事では…」
「どこの国の民だとて生きておる以上、すること自体は皆同じじゃ、妾は差別するなどと言う事は無いぞ」
「姫様素敵です」リリアナ
「でもさ~おれら今回もダメだとさ~」
「強くなればおのずとおなごは寄って来ると言う物じゃ、それを見抜けぬおなごなど放っておくが良い」
「さすがマーシャ様」チャッピー
「力こそ全てですよね」ミミー
「ああここにいた」マリオス
「マーシャ様」ロキシー
次々と仲間が集合して行くと自然と今回のダンジョン攻略の話へと話は移って行く。
「それではマリオス殿はハーマルクダンジョン(魔王国のB級ダンジョン)の攻略に?」
「と言っても魔王国の魔法騎士隊と一緒に行ったので、自分の力など大したことは無かったがな、それよりマーシャ殿はクラールダンジョン60階まで踏破したとか」
「ああ、中々色んな経験をしたぞ」
「魔族でさえ50階層が最高淘汰地点だったダンジョンです、しかも2回目の遠征でそこまでとは」
「クラールはDクラスダンジョンだったのでは?」
「クラス分けは何も難易度だけを示しているわけではありませんよ、特に魔族は神聖魔法を毛嫌いしているのでクラールダンジョンは魔族では攻略が難しいのです」
「そういえば魔族は神聖魔法をあまり使わないと言っていたな」
「そちらのダンジョンは何処まで?」
「お恥ずかしいまだ10階層のボスまでは倒すことができていないのです」
「中々難しそうなダンジョンじゃな」
「よろしければ今度ご一緒なさいませんか?」
「え~」一同
こういう話になるとマーシャも少し口が緩くなってくる、ましてや他のダンジョンの話はまだ聞いたことなどない。
魔族側がどのダンジョンをどこまでクリアしているのかなど、魔族側でさえあまり話したくは無いだろう。
一応王国には全てのダンジョンに対して攻略可能と言うお達しが出ている為、すぐにでもAクラスダンジョンへと攻略隊を送り込むことも可能なのだが。
だからと言って魔王国の最奥にあるAクラスダンジョンまで少人数で旅をするなどと言う事になれば、ダンジョン攻略以外の心配事もしなければならなくなる。
「そういえばこちらの第一王子もCクラスのダンジョン、クドウザダンジョンに遠征しているとか聞いたのだが」
「その話なら聞いたぞ、現在20階層でボス攻略待ちだと言う話だ」ロッド
「それなら私も聞いたわ、20階層の化け物に瞬殺されたって」
「化け物か…それは一度見てみたいものじゃな」
「ところで再来週武術大会が有ると聞いたのだが?」
「はい、月曜日から予選が各地で行われます、武術と魔法そして男女ペアでの3種類のトーナメントがございます」
「そうすると魔王国からも参加はできそうだな」
「皇子も出るのですか?」
「魔王様から許可が出れば私は出るつもりだ」
まさか魔王国の第一皇子が武術大会のトーナメントに参加するとはあまり考えられないが。
そうなると魔王国の現政権反対派がこの時とばかりに王国へ訪れる可能性が高くなって行く。
それをどうとらえるのか?今までもことあるごとにこちら側へと攻撃を仕掛けていた魔王国の血の気が多い魔族達。
昨年コテンパンにしてやったお陰で今はおとなしいが、魔王様も言っていた通り国内が少し揺れているのは事実だ。
魔王と言うのは強いと言う憧れと羨望のまなざしの先にいなければいけない。
だがこちら側にいいようにやられたことで、現在は魔王への反発が強くなっている。
今は宰相や王妃そして公爵らが次の計画を練っている時でもあり、すぐに事を起こすとは考えられないが。
このお祭りで何をしてくるのかまでは分からない、逆に何もしてこなければ魔王国内でやばいことが起こる前触れなのではとも考えられる、こちらをうかがう余裕も無いと言う事。




