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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第1章 王立アカデミー編
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ミストル5歳

ミストル5歳


「それでどうしたの?」

「ミストちゃん、どうしたらいいとおもう?」

「そんな事もわからないのお姉さま」

「だって~~~」


そう言うとラクトルは又泣き出した、双子とはいえまるで性格の違う2人の少女。

ミストルはまるで大人顔負けの知識を持ち魔法もすでに中級まで覚えてしまった。

片やいまだに泣き癖はおさまらず、ミストルとメイドになきつくラクトル。

最近はお父様もミストルばかりかわいがりラクトルはどんどん惨めになって行った。

それでも回りのメイド達はできるだけ分け隔て無く接していたが、この時期からミストルの作戦が始まる。

まずは邪魔な姉を片付ける、魔法の修行と称し姉を誘い出すと井戸の近くで水魔法の訓練を始める。

メイドも何人か付いているし安全のはずだったが・・・


「ウォーターボール」


水の玉を上手に井戸へと飛ばす、そして井戸の近くへ誘い出し、メイドが見ていない隙を突いて。

少しだけ井戸を覗き込む姉を後ろから魔法で押してやる。


バシャン!


「ラクトルが!」


あれほど注意していた井戸の近く、ほんの少しの隙が命取りだった。

井戸の深さは10メートル、滑車と桶を何とか上手く使い魔法をかけて助け出したが。

ラクトルは瀕死の重症を負ってしまう。

頚椎損傷、及び脳挫傷。

井戸の内側に飛び出ていた岩の一つに体を打ちつけその反動で頭も打ってしまった。

死ぬ事は免れたが、怪我は治ることが無かった。

一生物言わぬ動かぬ体となった姉を見てほくそ笑む。


(やった!これで一人)


その日から姉の部屋へ遊びに行くのが日課となる、そう人の不幸がミストルの大好物。

回りは毎日見舞いに来ているものだとばかり思っているが、実は毎日物言わず動けず横たわる姉を見るのが大好きだっただけ。

そうこれがミストルが犯した最初のおぞましい悪事の始まりだった。


「ミストルちゃん今日もお見舞い?」

「はい姉のことが心配で」


はたから見れば姉思いの優しい妹に見えるだろう。

ミストルの計画は着々と進んでいた、次は魔法学園にて現王の息子と娘らを粛正もしくは下僕化すれば、継承順位が上がり王の座が近くなる。


(あと少し、それまでは我慢だ・そうすればまた楽しい毎日が始まる・フフフ)


そんな時、人族との境界線でいざこざが起きる。

国境の人族が作った砦で魔族が暴れ人族の砦を半壊させた。

それに合わせて魔王は戦備増強のため食料と武器の備蓄を始める。

融和政策を取っていた王が突然の敵対行為、子供であるミストルにとっては今すぐ戦争があろうとも戦場に出ることはないが。

うまくいけばこのまま戦争になり現王と第一王子は戦場に行かねばならなくなるだろう。

チャンスがやってきたのだ、この機に乗じてできることをどんどん進めていく。

そう考えるミストルだった。


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