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舞踏会前日

舞踏会前日


舞踏会を明日に控えて本日は午前中のみ受講することにしてある、すでに数種のステップを覚えたマーシャだが、問題なのはすでに踊りではなく誰と踊るのかと言う、お相手選びにシフトしていた。


「では最初リカルド様とですか?」

「そうなるようじゃな」

「いいな~」

「そうかならば2番手はフランに踊ってもらうよう兄上に話して置くぞ」

「え? そんな姫様~」

「いやなのか?」

「いやとかではなく…」

「恥ずかしいのは妾も同じじゃ、おぬしも妾と同じ気持ちを味わうが良い」

「え~」


真っ赤な顔をするフラン、オッチョコチョイなところさえ少し直せば外見はかなりかわいい女の子であるのだが。

立場上自分を卑下してしまうのは仕方のないところだろう。

だが王族であれ貴族であれ、一般市民よりは格上の男爵家の遠縁であれば王族との婚姻がまるっきり無理な話しとは言い切れない。

すでにフランはマーシャの側付きとして名を馳せており周りの貴族からもその力を認められていたりする。

本人はマーシャのおかげと言う事で、そこまで自分を持ちあげていない所が結構男受けが良かったりしているのだ、つまり奥ゆかしいとのこと。

まあそれでもまだ10歳なのでさほど女としての経験などは考慮されてはいないのだが。

外見の可愛いさ、そしてマーシャの側付きと言う2点だけで好意を寄せている男子は結構いたりする。


「とりあえず兄上には話しておくのでな、まあ 楽しめ!」

「え~そんな~」


あこがれている王子様と踊れるのだから自分を一般人として見ているフランにはまたとないチャンスだと思うのだが。

そこまで擦れていない所が又マーシャのいたずら心に拍車をかけていたりする。

考えるべきは本来そこではないと思うのだが、恋愛未経験のフランはそこまで考えて居なかったりするのだから、いやはや世の中は思った通りには行かないものです。


「ところで婚約指輪の件はどうなさるのですか?」

「その話じゃが…学園の理事長から待ったが掛かってな…」

「え?フォルダン様とカイル様の試合で纏まったのでは?」

「時期が悪かったのじゃ、収穫祭と舞踏会、そして武術大会!」

「もしかして武術大会の商品?」

「よぅ分かったな」

「分かりますよ~そのぐらい、でもそれですとリンダ様の手元に届く確率めちゃ下がりませんか?」

「妾の予想だと武術はトラム兄さまが3位じゃな、リンダ嬢は2位じゃ」

「そうすると1位は?」

「第一王子のカイル兄さまじゃな」

「でもカイル様は卒業しておられるので大会への参加権は無いのでは?」


一応、第一王子のカイルは席だけマスタークラスの研究家として一時休学のような形で残っていたりする。

勿論マーシャの取って来たお宝の話は元級友を通じて第一王子はもとより王様やお后様にまで知られてしまっており。

不味いことに神聖ロマール教会の教皇や教主様それに枢機卿の耳にまでその話は伝わっていたりする。


「それってまずいのでは?」

「まずいも何も面白そうじゃろう」

「まさかご自分も参加するつもりじゃ?」

「一応な!」

「それって無理じゃないですか!」

「それほど可能性がない話ではないぞ、今回はポイント制にするそうじゃ」


ポイント制、しかも武術の勝ち方や美しさなども含んだポイント制と言う事になれば一概にマーシャの一人勝ちと言う形にはならない。

勿論勝負事なので負けるよりは勝つ方が良いが、項目を増やされたことにより試合に勝っても点数は負けるなんてこともあり得るのだ。


「でも~」

「ハンデも付くそうじゃぞ」

「ハンデ?」

「要するに強すぎる者には足枷を付けると言う事じゃな」

「…それでも姫様には勝てないと思いますよ~」

「それはやってみなければ分からぬじゃろうが!」

「それはそうですが…」

「他にも商品を出すつもりじゃ」

「他にも?」

「骸骨王妃のティアラとか、神聖乙女のポーチとかさらには神聖桃杖セントピーチロッドとかエトセトラじゃ」

「もしかして姫様大会を煽っていませんか?」

「しかたないじゃろ、王様から学園長まで乗り気で事を大きくしてしまうのじゃから、この際その話に乗らない訳にもいかぬじゃろ」


時期は舞踏会が終了してから半月後、もちろん会場は初等科の訓練場から高等科のグラウンドまでの計15か所。

予選は10日に渡り行われ、決勝は20日後の10月最終日曜日と言う日程に決まったそうだ。

各商品は行われる試合により分けられるため、どこにエントリーするかにより賞品も違ってくる。

勿論複数の試合にエントリーすることも可能だが、沢山の試合にエントリーするとその分、勝つ見込みも少なくなることになる。

午前に魔法の試合を2つ出場し午後に武術の試合に出場するとなればポーションを飲み干し魔力を継ぎ足しても、その威力は当然のことながら万全な形とは言い切れない。

勿論マーシャほどの魔力を持っていればそのぐらい何とでもなるのだが、普通の魔術師では同日の複数試合にエントリーすることなど出来はしない事なのだ。


「そうすると魔術の試合だけにしかエントリーできないですね…」

「そういう事じゃ、多分ダイヤのエンゲージリングはペアでの試合になる可能性が高いな」

「そうなりますよね…でもそうすると第2王女のアリシア様も参加するのでは?」

「もちろんそうなるな、他にも沢山エントリーする可能性がある、王様ももしかしたら出るかもな」

「え~~」


エンゲージリングの価値は大金貨100枚以上、マーシャが加工すれば大金貨3百枚位以上の価値がある指輪にまで仕上げられる。

指輪を見た時、お后様も王様からも溜息が上がり、この指輪は誰もが一度は手に入れてみたいと思うに違いない。

その結果が数日後に武術大会へと発展していくのだから…


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