女神はとばっちりを受けた
女神はとばっちりを受けた
要するに転生神と言うのは創造の神であり神の中の神が行う仕事の一つ、ほとんど天使に丸投げで行っている仕事だ。
他の神はそこへ横やりを入れる事は出来ないようになっている。
だが小細工はできなくもない、転生して来る魂の情報を出さなかったり分からなくしたりと言う小さな小細工。
転生する魂が分かっていればそこへ小細工することなどたやすいことなのだ。
邪神であるダーク(呪いの神)が請け負ったのは2人をうまく殺す事。
そして転生先で争うように仕向ける事。
それが転生神であるゼウスにばれた。
最初はただの間違いだったと言う説明だったのだが、あまりにもおかしい点が多かった。
呪いを受けたまま魂を転生してしまったりとか、加護がある魂が何故か犠牲者になっている事とか。
実は呪いを加護で相殺なんてことはない、それは天使の勘違いであり。
両者の性質を合わせてゼロになると言う事などはありえない、加護に呪いをお祓いする能力があるわけではないのだ。
格下の神々が遊びで下界の魂を貶めたと言う事が転生神の怒りに触れた。
だが死んだ者は戻せないのは神でも変えられない、それができるのならばいつでも神が人を生き返らせることができ、それこそ人界が天国と同じことになる。
そうなれば神の威厳も無くなるし、悪人もいない世の中にできるだろう。
だが世の中には絶対に無くせないルールと言う物が存在するのだ。
だがそれが分かったとしてどうするのか?
天使からは一部の情報しか聞いていないが、女神アテナは女性としてゼウスから仕事を仰せつかった。
加護持ちだった晴乃香へ、このことを伝えると言う事と、贖罪としてなんでも言う事を聞いてあげると言う事。
だがその理由としてもう一人の転生した魂の元にも男神であるアポロが向かっているとのこと。
どうやらあちらはトールの命令通り戦わせるように仕向ける手筈だと言う。
学問の神ヘラスとしてはどうしても許せない、自分の加護を受けたものを勝たせたいと言う事でアテナに晴乃香の説得を頼んだと言う事。
「そんで?ズズz」
「ハルチャンは何が欲しい?」
「このまんま元居た世界の死んだ時に戻ってそこからやり直したい」
「え~それってまずいんじゃないかな~」
「じゃあ言う事聞かね~ぜ」
「お菓子も?」
「こういうのってギブアンドテイクじゃねえの?」
「そうよね~」
「良いわ私が何とかしてあげる、でも又お茶会に呼んでくれたらね」
「そんなことでいいなら又御馳走しても良いぜ…」
「あ 忘れてた~」
「何を?」
「え~とヘラスちゃんから預かってきたのよね、これ渡してって」
それは指輪、少し変わった指輪であり宝石などの装飾はないものの、いかにもと言えそうな指輪。
ハメると2本の指に通す形になる、ちょうど中指と人差し指2本に。
そして平打ちの面には絵が描かれている、それは学問の神であるヘラスの印と天使の模様。
「これだけ?」
「あら~足りないかしら~」
「いや そう言う事じゃねーけど…」
鑑定してみるととんでもない情報が。
学問の神具:これを付けると神になれる、IT(無限∞)FA(無限∞)MP(無限∞)
魔法における攻撃と防御についてはどちらも無限になる、指にはめて居なくても一度所有すると持ち主の能力を100%上げる事ができる。
「確かにすごいとは思うけど、神になれるって…」
「じゃあ私からも祝福を…チュッ」
そう言うと女神は席を立ちマーシャのおでこにキスをする。
そこには女神の印が光り輝き、そして何もなかったかのように元に戻る。
「今の何?」
「私からの加護よ」
「ふ~んサンキュ」
「お礼なんて良いのよ~頑張ってねハルちゃん、まあその指輪が有れば無敵になるから私の加護なんていらないかもだ・け・ど」
「そうなんだ…」
「あ~もう時間になっちゃった~じゃあまたねハルちゃんバイバ~イ」
そう言うと女神の姿が薄くなり空気の中に消えてしまった。
「スキル回収どころか戦わないといけないとは…」
相手の転生者にもアポロから余計なスキルが渡されるらしい、だが仕事だからと言っていたのが、いつの間にかガチの勝負に変更されてしまった。
戦い、特に勝負となれば望むところだが、それにしても神はそんなに暇なのか。
自分達で戦えばよいのにと思ってしまうマーシャだった。




