60階層ボス攻略
60階層ボス攻略
「開けるぞ!」
「はい」
両開きの重厚な扉をゆっくりと開けると、それまでとは違った様式の建物が目の前に現れた。
「神殿?」
「そのようだな」
神殿の向こう側には何故か滝のようなものがあり、まるで一瞬の見た目では桃源郷とでもいえる場所。
だが、向けられている重厚な殺意は、桃源郷などと言う物からはほど遠いものだった。
「天使?」
「見せかけだけの様じゃ」
その姿は堕天使、うっすらと光を放ちまるで神々しいような姿だが。
その顔は天使とは思えないほど歪んでいる。
《地に落ちよ!》
「まずいエクストラホーリーガード!」
「バギンバギンガギン!」
目の前に現れた堕天使は10体ほど、その全部から槍をいきなり投擲されるがマーシャの上位バリアで何とか防ぐ。
「マッドバレット!」
「フリーズアロー」
「サンダーアロー」
「ガンガンガンバキン!」
「くそっ奴らもバリアを使うぞ」
「散開!」
固まっているとまとめてやられる、今度の敵はかなり手ごわそうだ。
堕天使、その姿は天使の様だが顔は歪んでおりまるで憎しみにあふれたような顔をしている。
そして10体全部が槍を持ち、もちろん空から攻撃して来る。
「分が悪いな」
「主 あの魔法では?」
「ハリケーンか?」
「うんうん」
ジルが首を縦に振る、確かに空に向かって使える魔法は何種類かあるが、威力は49階層で使ったハリケーンが一番威力がある。
「よし皆ガード魔法を最大にかけよ!」
「了解」
「プロテクション」
「バリア」
「行くぞ!トリプルハリケーン!」
「ブフォー」
目の前に3つの竜巻が現れ徐々に大きくなりながら堕天使めがけて進んで行く。はじめは逃げていた堕天使達も数分で渦に巻き込まれて行く。
「ア~~」
「ア~~」
「止めじゃ!アークサンダー!」
「バリバリバリズズーン!」
「シュシュー」
どうやらまとめて屠ることができたようだ、だがボス部屋としてはあまりに簡単すぎるのがマーシャには疑問だった。
「これで終わりか?」
【第2形態発令第2形態発令】
「何か出てきます」リリアナ
現れたのはキングデーモン、そして今までの風景が一瞬で変化する。
『チェンジワールド』デーモン
出現したのはキングデーモンその大きさは堕天使の5倍ほど。
そして羽をバサバサとさせながら、手に持った杖を使い闇系魔法を乱発する。
その声はヒビ割れてエコーがかかったように聞こえる。
『ドレインオール』
『ダークネス』
『シャドウバインド』
「ホーリーガード、オートリペア ホーリーウィンド」
「ホーリーバインド、ホーリーレイン、ターンアンデッド」
「ホーリーショット!」
お互いの魔法が炸裂するがどちらもガードされて決定打を与える所まではいかないようだ。
「持久戦か」
「どうします、前衛が持ちません!」
「くっそー」カバネル
「聖属性でも効かないなんて」
キングデーモン、羽の生えた悪魔、その顔は人よりも爬虫類に近い顔を醜くしたような感じだ。
背中には羽が生え尻尾が付いている。
いかにもという姿だが通常のデーモンとの違いは、その頭には真っ黒な冠とルビーのような真っ赤な宝石が冠に付いているところだ。
そして魔法を詠唱する所が他の魔物とは違うと言える。
『ウハハハハハ、脆弱な人の子らよこの先へ行きたくば我が魔法を耐え最高のあがきを見せて見よ、できなくば始まりの道へと戻るが良い』
「なんだあいつ話せるのか?」トラム
「いいえ、そう言うように作られているだけでしょう」リリアナ
魔法職が交代で聖魔法とアシスト魔法をかけまくる、すでにMPポーションを数回飲み干し。
手持ちのポーションを確認している。
「まずいな」マーシャ
「このままでは…」フロウラ
「少し頼む、打って出るぞ!」
「かしこまりました」
マーシャは自分のスキルを半減する魔法具を取り去ると、最大にまで防御魔法を掛ける。
そしてストレージに収容されている、聖属性の剣を取り出す。
剣種はエクストラホーリーブレイド、その名をゴッドブレイカーと名付けた、もちろんSSSクラスRRの特殊な剣。
長さも2メートル近くある大剣であり両刃の直剣、幅は25センチもある。
重量100k、鍔には月桂樹の模様が入り剣の峰には天使の模様と聖文字が刻まれている。
物理攻撃5倍聖属性攻撃も5倍、その剣を持つ者には秒間自動回復HPMP両方100ポイントと言うとんでもない剣だ。
切れ味にもアシストが付いている為、先に試し切りした時の切れ味はまるで水を切るかの如く。
その剣を取り出しマーシャは飛行魔法を使いデーモンキングの前に出た。
「覚悟!」
『笑止』
「死ね!」
『メガウォール、メガブースト』
「ガイン!」
「グッ!」
「まだじゃ!」
『アシストグレートパワー』
「ギガグラビディ!」
ゴッドブレイカー、真上からたたきつけたはずの大剣はキングデーモンの持つ錫杖によって防がれたが。
決して攻撃が効かなかったわけでは無い、その証拠にデーモンの持つ錫杖は折れ曲がり。
マーシャの持つ剣はデーモンキングの頭にある冠を、チリチリと音を出しながら断ち始めていた。
さらにマーシャは自分ごと重力魔法を使い圧力をかける。
その甲斐もあってか両者はお互いに向き合ったまま地面へと落ちていく。
「ズズーン」
「やったか!」
地面にたたきつけるように振るわれた大剣、その土埃は目の前の戦いをしばし覆い隠す。
そして風が一吹きすると、そこには何も、そして誰もいなかった。
「姫様は?」
「マーシャ!」トラム
「だれもいないぞ、デーモンもいない」
どうやらマーシャだけ神によって予定通り別な部屋へと移動させられてしまったようだ。
本当に神が姿を現すのか?そしてマーシャは神に何を願い何を命令されるのか?
ダンジョン攻略編もあと少し。




