60階層
60階層
あと少し、この階層で終わりとなるのだが目の前にはまたもや草原が広がっており、向こうの方には山々が見えていたりする。
「こうしてみると洞窟の中には見えませんね」ミミー
「ダンジョンは洞窟ばかりとは言えないですよ」フロウラ
「そうなの?」チャッピー
「ええ、魔方陣の奥から通路を出る時おかしな感じがしたでしょう」
「確かに、魔法の輪の中に入って行くような…」
「転送魔法のゲート版じゃろう」
「はいその通りです、見える景色は別な場所を示しております、もちろん一方通行に設定してありますので戻ることはできません」
「そうなんだ…」
確かにロケーションが洞窟ばかりでは地下にどんどん下りて行くような錯覚を覚えるのだが。
単純に考えても真下に掘り下げなければいけない理由などどこにもない。
魔法で作った物ならば各階層から転移魔法で飛ばしてしまえば、後は何処にダンジョンを作っても良い分けだ。
250階層も有るダンジョン、数え方を階層としているだけで転送先が真下だと決めているわけじゃないのだ。
もしかしたら別の島や他の星へと転送されていてもおかしくない。
「それよりお客さんが来たぞ」ロッド
草原、魔狼は今までも見てきたが、今度は数倍大きい黒い塊。
「牛?」
「魔牛だ!」
目の前に迫りくる魔牛、その数はまたもや100頭。
そしてこちらに気付くと雄たけびを上げて向かってくる。
「ブモ~~」
「やばいぞあれ」
「プロテクション、ホーリーガード」
「フィジカルアップ、アタック、ディフェンスアップ」
「エンチャントアタックターゲットウェポン」
「散開!」
その勢いはちょっとやそっとでは止めることなど出来なさそうだ。
固まると先頭がやられた時点で後ろまで影響が出てしまう、散開すれば背後や横から攻撃できる。
魔牛の群れはやはり方向転換するのが難しいのだろう、マーシャめがけて向かっていくのだが。
ぶつかる少し前に飛行魔法で上空へと逃げる。
「我が身を空へ、フライ」
「ブモ~」
「ドドッドドドド」
マーシャ達が出て来たのはこの草原のど真ん中、ゲート転送の為壁などは見当たらない。
魔牛達は目標を見失ってもまだ突き進んでいくが、ようやく気付いたのか鼻をフンフンとうならせUターンし始めた。
だがここぞとばかり、魔法職達が背後から得意の魔法で攻撃を仕掛ける。
「アイシングスピアー」
「マッドバレット」
「ホーリーアロー」
「ウィンドカッター」
雨あられと降り注ぐ攻撃魔法、もちろん全て100頭の魔牛に着弾し約20頭がHPを削り取られチリと消えていく。
どうやらここの階層はリポップ時間を最速にはしていないようだ、58階層のような瞬間リポップに設定して有ると、魔牛の大きさから考えるとかなりの恐怖を感じるだろう。
「よし、行けそうじゃ」
どうやら特種な設定などはされていない様子、これならば魔法職と戦闘職で交互に攻撃すれば攻略するのも難しくなさそうだ。
何回目かの突進を躱し、後ろから攻撃を仕掛けていくと、終いには残り数頭と言う所まで減らすことができた。
しかも残り3頭にまで減るとすでに疲れ果てたのか魔牛は立ち止まり草を食み始めてしまった。
「これで終わりの様だな」
「今のうちに先へ進みましょう」
「その方がよさそうじゃな」
全員が少し速足になり数百メートル進むと、そこには建物が見えて来た。
岩を積み上げたような古い建造物、入口は開いており全員がその中へと入って行くと、中は想像以上に広かった。
「どうやらここがボス部屋前の安全地帯の様じゃな」
「皆少し休んで装備の点検じゃ」
安全地帯から見えている大きめの2枚扉、その向こう側には60階層のボスが待っている。
果たしてマーシャ達は次の階層も無事攻略できるのだろうか?




