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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第2章 ダンジョン攻略・前編
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48階層

48階層


結果としてクロイス達魔族学園組はほぼ無傷で出口へとたどり着く、さすがに隠匿の魔法を使えばこの階層は難しくはない。

チャッピー達は遠隔魔法を使用して事前に敵を排除していたのでこちらも無傷。

トラム王子の組はリンダの戦闘狂に合わせる感じで数十匹を屠り、リリアナとフランの支援魔法が後押ししたおかげで無事出口へとたどり着いた。

だがカバネルとロッドはラランカとクローネが加わったことでまるで戦闘訓練のような状況になり。

近接戦闘の極意を教わりながら踏破したようだ、その姿はかなりお疲れの様だが日頃の訓練は裏切らないものだ。


「ブハーブハー」カバネル

「フアーハーハー」ロッド

「きつすぎる!」

「このぐらいでへばるようでは実戦で通用しないですよ」ラランカ

「いや でも…」

「ワーウルフは何とかなるが、トロルは なあ…」

「ちゃんと見ていれば連携はさほど難しくないです」クローネ


ワーウルフに関しては補助魔法を掛ければ2・3回の攻撃で屠ることができるが、トロルはそういうわけには行かない。

だが今回獣人の拳法使いが先にトロルの足を止めることで、カバネルたちは楽に攻撃ができたはず。

なのだが、タイミングがかなりずれており、トロルが立ち直り始めてようやく攻撃を始めると言う形になり、ラランカたちが再度サポートに入ると言う形が多々あった。

お陰で手数を増やさなければいけなくなり、攻略スピードも遅れることになった。


「おおおぬしらも何とか着いたな」マーシャ

「マーシャ様」

「姫様は、もしかして皆殺しですか?」

「この場合は完全攻略と言うのじゃ、ダンジョン魔物は数分から数時間でリポップするのじゃからな」

「もう何も言えない…」

「おかげさまで又帰還石が20個ほど手に入ったぞ」


そう言ってにっこり笑うのだから困ったものだ。

だが新しく作成した魔法や武器などの試し切りは全部終わったらしく、マーシャはご満悦と言う所。


「次に行きましょう」リンダ

「うむ皆 大丈夫そうじゃな」

「…」カバネル

(大丈夫じゃないって…)


確かに疲れたのは前衛の2名のみ、獣人2名は息さえ乱れておらずその差は歴然だった。

まあ身体能力はいかんともしがたい差があるのは仕方がない。

だからこそ補助魔法を強化していつでも自身の能力を底上げできるようにしなければ、いつまでも最下級の兵士と同じでは情けない話。


「何か言いたいことがありそうじゃな?」

「いいえありません!」

「よし、では進むぞ!」


48階層は雨、しかも豪雨地面は常に濡れており、雷があちらこちらで絶え間なく落ちている。

出て来る敵はワプス、それも雷の精。

勿論魔法でなければ対応できないし、下手に触ると麻痺のデバフを喰らってしまう。

そして雷と言えば雷獣(虎の姿をしている)が出没する。

一応雷獣はレア設定らしいので出ればマーシャが退治すると思うが、まずは出たとこ勝負と言う形の様だ。

仲間がどう対処するのかも一度見ておきたいのかもしれない。

48階層手前の転移魔方陣で小休止するとすぐに攻略へと向かう事にした。

少し舐めていたのかもしれない、攻略本に書かれていた48階層の設定。

雨それは分かっていた、だが暴風を伴うとまでは書かれていなかった。

通路から出るとそこは横殴りの雨。

暴風と雨は止まることなく一行の足を止めてしまった。


「ビュー ザー」

「マーシャ様」

「これは甘く見ておったな、じゃがそうでなければ面白くないぞ」

「行くんですか!」

「こんなことでビビっておったら他のダンジョン攻略など夢のまた夢じゃ気合を入れてついて来るのじゃ」

「はい」リリアナ

「ウオータープルーフ」リリアナ

「レインガード」フラン

「ウィンドガード」チャッピー


中級ともなれば属性魔法のほとんどを使用できるようになる、今回参加した魔法職は中級を卒業して上級魔法を使いだした者達ばかり。

目の前の状況から判断し対応できる魔法を数種類選び仲間にバフを掛けていく。


「行こう!」


だが暴風雨と言うのはそんな簡単なものでは無かった。


「ウオッ!とぶ~~」カバネル

「やはりな、グラビディアップ」

「あ あざーす」

「私達も、グラビディアップ」

「重量加算!」


横殴りの雨に対応するならば自分の体重を増やすしかない、まるで重力に逆らうように斜めになりながら進んで行く。


「く~雨が痛いぜ」カバネル

「魔法で雨をはじくのは便利だな」トラム

「王子なんで普通に歩いて?」

「ああ 多分守りの腕輪の効果みたいだな、全天候に適応できるらしい」

「もしかしてマーシャ様謹製?」チャッピー

「みたいだぞ」


勿論マーシャもこの天候の中魔法など掛けなくても濡れることなく歩いている。

行軍の状況をはたから見ると少し滑稽に映る事だろう。

何人かは斜めになりながら重い足をようやく交互に出しているし、数人は魔法具を持ち降り注ぐ雨を回避していたり。

それぞれが今ある技術を駆使して歩き出す。

だがこの状況で戦わなければいけないのだから、その時はどうするのか?


「でました」リリアナ

「お~出たな」マーシャ

「私にお任せを、避雷針マッドアース!」


リリアナの魔法は土魔法だが、雨の中だと少し難しい。

だが彼女は土魔法だけでなく水魔法も取り入れて目の前の地面を操る。

雷のワプスの真下からまるで突き刺すように土交じりの水柱が立ち上がりワプスを突き刺すと数分で雷の精は霧散した。


「何とかなりましたね、もう少し手ごわいかと思いましたが」

「いやいやその距離で魔法をいとも簡単にピンポイントで操る人はそうはいないですよ」ドルチェ

「さすがマッドパペットマスター」ミミー

「おほめに預かり光栄です」

「次は水系魔法のマスターじゃろう?」

「はい厳密には氷雪魔法の自在化になります」


氷や雪の塊を操る魔法は土魔法とは違い温度まで操らなければいけなくなる。

普通の状況下ではあまり使わないが気温の低い場所でなら、攻撃魔法としてかなり有効な魔法になるだろう。

上級水魔法を操ることもできるようになれば普段使える魔法の幅もどんどん広がって行く。


「マーシャ様!」

「出たな」

「まずは皆の攻撃で通ずるかやってみるか?」

「はいお任せください!」リンダ

「よしやってみよう」ロッド


暴風は収まることを知らず、常に吹き荒れており、目の前の視界を3割も低くしている。

一部天候補助系の魔法具を持つ者にはあまりマイナス点は無いが、持たぬ者にはかなりの負担を強いている。


「ガウアー」

「ザービュー」

「バシャンバシャン」


雷獣がこちらへ走り寄って来る、遠目に見た時はそれほど大きく感じなかったが。

近寄るとその大きさはキマイラの倍近くはあった。

口からは大きな牙が2本真下へ伸びており、時折地面へと稲光を発している。


「ジ ジ…」


こちらへと走り寄って来ると立ち止まり、大きく首を上げ雄たけびを上げる。


「ガウアウアー バシーン!」


それは一瞬の出来事だった、まさか間髪入れずに雷を発するとは思わなかった。


「大丈夫か!」

「う~」


18人全員が敵の雷撃を浴びるが魔法具を持っていた者のうち半数は何とか麻痺のデバフを受けずに済んでいた。


「戦えるものは加勢せよ治癒魔法を使える者は仲間の回復を頼む」

「はい!」


仲間全員の攻撃を見学してみようと思ったが、それは叶わなかった。

相手の攻撃があまりにも早かったがため、結果的にマーシャが先陣を切り戦う事になった。

だが最初、1頭だけと思っていた雷獣が後ろからさらに2頭現れたのはLUCK100%のなせる業か?


「おいおい レアじゃなかったのか?」トラム

「文句を言っても仕方なかろう、できる事をするだけじゃ」

「大丈夫ですよ任せてください」リンダ


トラム王子とリンダ嬢には全天候に耐性のある腕輪をプレゼントしてある。

それ以外にも鎧や服などに+加算のある魔法が付与されている。

獣人2名も同じだが、カバネルたちとチャッピー達、それに魔王国の従者2名は雷により麻痺のデバフを受けていた。


「今何とかしますから少し待って」フラン

「こちらはもう大丈夫」リリアナ

「どうやら大した魔法具は持ってこなかったみたいね」フロウラ

「ま まさか…直撃喰らうなんて…」グロシュ

「アワワワ」ドルチェ

「仕方がないですよ、我らもマーシャ様から頂いた魔法具が無ければ同じ目に合っていた所です」ジル

「あたしはマーシャ様を手伝いに行ってくるわ」カユーラ

「ええ 頼んだわ」フロウラ


兎獣人の元暗殺部隊隊長、あまり活躍する場は無い彼女だがそのスピードは獣人の中ではピカ一。

雷が襲ったと同時にその範囲内から外に逃げて助かった。

レアな雷獣が3匹も出て来るとは、攻略本にもそこまでは書いていなかった。

マーシャは数あるS級武器の中から絶対攻撃のパーフェクトランスと防御武器である反射の小手リバースグラブを取り出す。

どちらも土属性の武器ではあるが少し性質は違う、パーフェクトランスはその名の通り攻撃すれば必ず相手のHPを削ることができる、その値は魔法力に左右されるがマーシャが持てばその威力はけた違いだろう。

そして小手の方は盾の効果もある優れもの、その小手を付けて相手からの攻撃を受けると反射する。

だがそれが魔法の場合は対角線上に反射するのだ、相手が雷に耐性があるのならば返しても攻撃にはならないが。

角度を変えることにより攻撃をそらすことができると言う物。

2つ共に自動修復魔法が付与されており、ちょっとやそっとでは壊れたりしない。


「我が力をとくと見よ!」

「ズシャー」


次の瞬間マーシャはぬかるんだ地面に固定魔法を張り地面を踏み込んだ。

手に持った槍が一直線に雷獣の顔めがけて突っ込んでいく。


「ズドン!」

「ギャウー」

「シャウンシュンズシュン!」

「ウギャウガー」


その大きな顔に顎下から槍が突き抜ける、雷獣の鼻が槍を受けて小爆発を起こし泣きわめく。

だがマーシャの攻撃は止まらない、手に持った槍がまるで機関銃のように大きな図体に向かって突き刺さる。

数秒するとその攻撃に耐えかねたのか後ずさりしながら座り込んでしまった。


「止めじゃ!」

「ズシャ!」

「キャウアウ~」

「お見事です」


2匹目を見ると、すでにリンダ嬢とトラム王子が雷獣を翻弄していた。

いつの間にかトラム王子はレアドロップ品だった大地の剣を使い雷獣に切りかかっている。

雷獣はと言うと何度か稲妻を発生させるがトラムの持つ大剣がアース代わりになり。

その威力はほぼゼロにされているようだ。

そしてリンダが横や後ろから正拳を突きまくって翻弄している。


「兄上も中々じゃな」

「そのようです」リリアナ


3匹目はクロイス皇子とカユーラそして獣人二人がまさに今、止めを刺そうと言う所。


「死ねー」クロイス


コーパス流剣術は敵をよけながらも流れるような剣捌きで相手に沢山傷を与えていく。

但し相手が大きすぎる場合などは、その体を切り付けるだけでは無く何度も突き刺すような形が多くなって行く。

そして突き刺しながら剣をよじるのだ。


「キャウー」

「ギャウキャウー」

「ズシュズシュ!」


2匹目と3匹目はさほど時間の差は無く、その姿をチリへと変えていく。

その大きさからチリと変わるさまは見ていても不思議に感じてしまう。

20メートル近くもある魔獣が消え去るのだから。

そして不思議なことにそれまで吹き荒れていた暴風雨がいつの間にか止んでしまった。


「こういう設定だったのか?」

「らしいですね」


雷獣のレアドロップは細身の槍だった。

雷槍らいそう、雷のような速さで敵に突き刺さる槍、この槍で攻撃されると麻痺する。

雷鳴石らいめいせき、虎の目のような模様の石、雷を封印できる魔法石。

雷香弓らいこうきゅう、矢に雷を纏わせることができる弓。

雷明剣らいめいけん、雷を宿した剣でありサイズは小剣の分類、刺した相手に麻痺のデバフを付与する。

そしてスクロールが4種類、一つは麻痺解除のスクロール2つ目がMP回復スクロール3つ目は雷の魔法を使えるスクロール、4つ目は復活の書。

一匹目はマーシャが倒したため雷槍と雷明剣そして雷鳴石とスクロール4種が残された。

2匹目は雷香弓とスクロールが2種、3匹目は雷明剣とやはりスクロールが2種と言う具合。


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