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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第2章 ダンジョン攻略・前編
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43階層

43階層


結局42階層は20分と少しで攻略完了してしまい43階層の転移魔法陣に着くと全員で休憩を取る事になった。


「よーし点検」


42階層で戦った骸骨パイレーツは水分を含んでいたためかなり硬かったのだが。

パワーアシストのおかげか前衛の武器には刃こぼれらしきものはほぼみられなかった。


「先ほどの魔法は?」クロイス

「最初のは氷雪系魔法の上級魔法ですね」リリアナ

「まさか船丸ごとしかもあの氷具合からするとマイナス100度以下」

「多分人なら苦しまずに一瞬で死ねるでしょうね」ジル

「その後の爆裂魔法もすごかった」グロシュ

「あれって風魔法と土魔法ですか?」ドルチェ

「厳密に言うとさらに無属性魔法が入りますね」リリアナ

「風魔法と土魔法で球体の中に風の流れを作りそれを無属性魔法で小さく圧縮する、土魔法で小さな球を中に作り威力を増加し、さらに」

「さらに?」

「遠隔魔法で遠く離れた場所に作成、又は座標転移魔法か瞬間移動魔法で爆破したい物体内部へと移動するのじゃ」

「全部超上級魔法じゃないですか!」

「そのようじゃな」

「普通 人の前でそのような上級魔法を見せたりしないものじゃないでしょうか?」クロイス

「で?」

「いやいや要するに秘密にするものでしょう」

「マーシャ様は全部見せちゃいますよ、真似してみろって言う感じですね」リリアナ

「確かにあれはまねできない、できるのは最初のメガフリーズぐらいか…」

「ちなみにその上のギガフリーズもあるぞ」


そういいながらにんまり微笑むマーシャ8歳王国の第三王女。

だがその後のフランの言葉はマーシャの意図とは全く違う斜め上からの発言だった。


「そういえばこの秋はマーシャ様も舞踏会デビューですね」

「…」ギク!

「あれ?もしかして何かまずいこと言いました?」フラン


さっきまで自慢話で悦に入っていたのがフランの発言で良い気分もあっという間にかき消されてしまった。

マーシャは実は踊りの稽古は苦手だった、剣舞なら少しはできるのだが、手を取り腰を引き寄せほぼ密着した形で異性と踊るのは生前も未経験の事。

生前の晴乃香18歳は恋愛経験も未経験でこの世に転生した為、色恋沙汰は全くの初心者だった。

人の色恋には良く手を出すのだが、自分の事は全然考えてなかったりする。

慌てて話を元に戻すが周りの学友にはすでにマーシャの唯一苦手な項目がばれ始めていた。


「あ~そのようだな、それよりも43階層はあれじゃ、雪女が出るらしいな」

「そうですね、次は火魔法を使えば楽に攻略できるようです」リリアナ

「それより舞踏会は?」フラン

「それはまた今度でよかろう、それよりもまずはダンジョン攻略の方が先じゃ」


悪ぶれもなく同じ質問を繰り返すフランだが、実は彼女も3年前舞踏会デビューをしている。

その時はマーシャに言われ完璧に踊りをマスターしたフランだが、まさかマーシャが実際に男子と踊ったことが無いとは思わなかった。

その反応を見てフランは残念でならなかった。

舞踏会、相手が決まらなければ18歳まで何度も参加できる。

と言う事は今年マーシャと学友は一緒に舞踏会に参加できることになる。

一度参加すれば何年かはお休み可能、18歳になって久しぶりに参加すると言う手もあるのだが。

勿論相手の決まらない王族は毎年参加しなければならないと言う決まりがあり、お見合い的な行事も兼ねている。

だから第二王子のトラムはリンダ嬢と婚約すると言う選択肢を選んだのかもしれない。

毎回参加して相手の決まらない王族と言うのもバツが悪い、それに王族はほぼ全員と異性の相手をしなければならないと言う話も聞いていた。

マーシャにとっては頭の痛い行事の一つでもある。

ちなみにフランは廃爵された元男爵位の娘であり今の地位は準爵位の一歩手前と言う位置にいる。

手柄を立てれば準爵位の地位が認められる可能性が高い。

城詰めメイドの中でも一番良いポジションにいると言っても過言ではない、その代わり自由は殆どなくなるが、マーシャのおかげで魔法の腕も上がり学校での勉強も他のメイドよりかなり有利な立ち位置にいる。

うまくマーシャを誰かにくっつけるか、もしくはそのおこぼれをもらう事でも地位を上げる事ができるかもしれない。

フランはどちらにしてもマーシャの側にいる方が有利なことは分かっているからマーシャの言う事を聞いてはいるのだが。

本当の理由は舞踏会でマーシャが他の男子と踊る姿を見てみたいと言う思いが大きい。

別にそこで踊れないマーシャを馬鹿にしようなどとは考えていない、美麗な姫様が踊る姿を見てみたいと考えていたりするのがこの年頃の女子の思いだったりするのだが。

マーシャは全くフランの気持ちなどは考えておらず、どちらかと言うと冒険大好きな、まるで男子と変わらないような考えだったりするのだから困ったものだ。

舞踏会の話はダンジョン攻略が終わってから書いてみようと思う。

43階層は雪山だった、目の前は吹雪いており気温は一気にマイナス5度以下へと下がって行く。


「おいおいマジかよ」

「43階層はサスカッチ?」

「雪男でしょ、それとスノーリッチ たまに雪女も出ると書いてあるわよ」チャッピー

「エアーコントロール タイプドーム」マーシャ

「空調設定魔法か?」クロイス

「この階層だとそれほど心配しなくても良いが油断は禁物じゃ」

「雪は視界も悪くなるし体にまとわりつくと動きも鈍くなりますからね」リリアナ


ちなみに獣人は雪にかなり耐性がある為空調魔法を利かせた内側では無く外側を歩いて付いてきている。


「何か来た!」


雪男と言うより雪の塊、その形はまるで毛むくじゃらな白い人型と言う感じ。

まずは中距離の魔法攻撃が雪男へと襲い掛かる。


「ホーリーアロー」フラン

「マッドスティンガー」リリアナ

「エアーカッター」ドルチェ

「グラビディプレス!」クロイス


氷雪系のダンジョンでは水や氷系そして風系の魔法は効果が薄くなる、そして火炎系の魔法の効果は高いが氷雪系のダンジョン内で火炎系の魔法を放つには炭素や熱素と言ったいわゆる燃料が必要だ。

氷雪系の魔物は環境さえマッチ(適合)すれば魔素がある限りいくらやっつけても再生するのが特徴となっている。


「無属性魔法がよく効きそうじゃな」

「そのようです、グラビディプレス!」


重力魔法で相手の頭から一気に押し込むと、雪の人型はその重さで一気に崩れていく。

だが約5分もすると新たな雪男が発生する。

元々複数体の雪男が発生する氷雪系ダンジョン、1・2体倒したところで焼け石に水だ。


「この階層は訓練には良さそうですが…」

「氷雪系に対しての耐性を高めておけば、湧いてくる雪男の経験値はかなりよさそうじゃな、だが今回は早く転移ゲートまで移動した方がよさそうじゃ」

「どうします?」

「スピードアップ魔法で出口まで駆け抜けよう」

「了解しました!」

「皆よく聞け雪男は避けて出口まで一気に行くぞ!」

「了解!」

「分かりました!」

「スピードアップ アカンパニー」


全員の体が淡く光り出すと戦闘の前衛職たちが雪男の相手を止めて走り出した。


「ふい~やりにくいぜ はあはあ」カバネル

「切ったぐらいじゃ倒せないのが難点だな はあはあ」

「経験値は結構よかったぞ はあはあ」トラム

「物理攻撃じゃ1発でやれないのが難点ね はあはあ」リンダ

「雪女は見てみたいわね はあはあ」ミミー

「前方になにかいるぞ!」カバネル

「でた!」ミミー


43階層から44階層へと出る扉の前に、氷のような半分透き通る女性の姿が見えて来る。

まるで待ち構えていたようなそんな感じ、本来ならばその場所は安全地帯であることが多い場所だが。

次の階層へ行く前にこの魔物を倒さないと先へ行くどころか休憩もさせてもらえないらしい。


「やばい雪が集まり出した」カバネル


魔力の流れが雪に作用し雪女とみられる魔物の方へと集まりだした。

そして数秒後氷の塊が全方向へと射出される、その威力は油断していた一行にとっては強烈だった。


「ぐあ!」

「イタイイタイ 痛いから!」

「ガンガン ドンドン バシュ!」

「痛てー」

「プロテクション」リリアナ

「バリア―」フラン

「何をしておる、反撃じゃ!」


飛んで来た氷の塊は最初の1回目が放たれた後、次に放たれるまでは時間がかかりそうだ。

雪を一斉に集めたのもそのため、そのタイムラグの間に倒してしまえば良いだけの話だが。


「せい!」リンダ

「バシュ!」

「ザシュ!」

「ズン!」

「き 切っても元に戻っちまう!」カバネル

「これでは先に凍り付く」ロッド


防御魔法で敵の攻撃は無効化できるが、相手の魔法による状態変化までは防げない。

剣や拳で雪女に触れれば触れるほど凍らされて剣は凍り付き拳は重くなって行く。


「手が!」

「エクストラウェザータイプウォーム」マーシャ

「広範囲自然操作魔法!」クロイス


マーシャの魔法で辺りの雪がどんどん溶けて行くそして氷の体を持つ雪女の体も徐々に溶けだした。


「これならいける」ロッド

「姫様サンキュ」カバネル

「行くわよ」リンダ


目の前に立ちはだかっていた3メートル近かかった雪女の体は気温が暖かくなりその大きさも徐々に小さくなって行く、さらに今まで切ってもすぐに元に戻っていた腕や足が攻撃されるたびに削り取られて行く。


「あと少し!」リンダ

「とどけ!」トラム

「ズシュ!」

「バシャン!」「キラキラキラ」


リンダの攻撃がようやく硬かった氷の体を爆散させ、43階層の主を倒すことができた。

雪女の体は小さな氷の粒となり消えていく、地面にはレアドロップである水晶のイヤリングとスクロール、そして魔石が2つ残されていた。


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