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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第2章 ダンジョン攻略・前編
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39階層

39階層


この階層を踏破すれば次は40階層ボス部屋となる、その手前で現れるのはグールの群れ。

時折上位種であるエルダーグールが出ると言う話だが…


「この階層からはかなり危険だと言われているのだが」クロイス

「怖いですか」ジル

「いやそうではないが…」

「大丈夫ですよマーシャ様がいれば怖いことなどないですよ」リリアナ


グールの群れ、この階層で出て来るグールは狼のようなハイエナのような容姿をしており、人の血肉を好んで食べると言う話だ。

そしてエルダーグールと言うのは当然ながら通常のグールの上位種族でありグールの突然変異だと言う説もある。

グールがハイエナであるならばエルダーグールはその数倍の大きさが有り外見は牙を持ち人のように歩いたりする化け物と言う話だ。


「ホーリーガードタイプドーム」マーシャ

「来たわ」リンダ

「アタック アクセル ディフェンスアップ」チャッピー

「ホーリーシールド ホーリーシールド…」フラン


注意しながら39階層を進んでいると、グールの群れが見えて来た。

この階層はドーム型の洞窟のような形状の為進むためには全部の魔物を退治するしかない。

グールの群れがこちらに気付き走って来る、そしてマーシャの張った聖魔法のバリアによって数匹が弾き飛ばされる。


「グーガウー バシッ!」


だがざっと20匹以上いそうなグールの群れは臆することなく向かってくる、そしてバリアを引き裂き中へと入ろうとする。

そこへリンダ、カバネル、ロッド、トラム、ミミーが武器を手にグールを切り裂く。


「グアー」

「ブシュッ!」「ガシュッ!」

「首を切っても死なないぞ」

「心臓を狙え!」


グールはいわゆる生き物ではなく肉の体に悪魔が憑依していると言う形の様だ。

首を切っても死ぬわけでは無いがこのダンジョンの魔物に共通するのが、魔核と言う魔物の姿を決めている魔力の源。

その魔核は大抵が胸の位置にありそれを突けば動かなくなると言うのだが。


「あとは任せて」フラン

「ターンアンデッド!」


動かなくなったケモノにフランが聖魔法を使う、そうしないと正確に魔核を突かなければ復活してくるのだ。

24匹のグールを屠っていると岩陰の向こうから何か大きな影がこちらへ向かってくる。


「ホーリーガードリペア!」マーシャ


ようやく終わりが近づいたと思った矢先に今度はエルダーグールがこちらへ向かってくる、その数3体。

一応念のため突き破られたバリアの補修をしておく。

そして支援魔法を前衛に掛けると、今度は中間職が魔法と弓矢でこちらに向かってくるエルダーグールに仕掛けていく。


「つらぬけ、わが魔法の槍よファイヤーランス」クロイス

「射抜け聖なる矢よホーリーアロー」ロジー

「とどけその体を地に返せマッドスティンガー」リリアナ

「汝の呼びたる翼でその体を刻めウイングカッター」ドルチェ

「轟け、その身を砕けボイスバズーカ」グロシュ

「全く面倒ね、ダークネススリップボール」フロウラ

「これで行けるかな、その身に刺されポイズンナイフ」カユーラ

「ドレインストリング、マリオネットニードル」ジル


それぞれに得意な魔法は違えどその威力はかなりの物だった、3体のエルダーグールに2種以上の魔法が降り注ぐ。

特に激しく敵のHPを削ったのは火や聖属性の魔法、そして闇系の魔法は当たった時はそれほど大きく敵のHPを削らないが、5秒ごとに追加ダメージを与えていく。


「全進!」


後は弱ったエルダーグール3体に前衛が攻撃を加えていく、気を付けなければいけないのはエルダーグールに嚙まれない事と彼らの体液を浴びない事。

どちらも聖魔法で対処できるがそのままにしておくと悪魔に精神を乗っ取られてしまうと言う、デバフターゲット属性の餌食になる。

3体のエルダーグールが、その体を再構築しながら立ち上がって来る、数発の魔法を浴びてその姿は崩れていたが。

正確に魔核を射抜いたわけでは無いので徐々に周りの魔気を吸い取り姿が元通りになって行く。


「ホーリーレイン」マーシャ


前衛がエルダーグールへ攻撃を仕掛ける前にマーシャが敵に対してデバフを掛ける。

聖なる雨、聖なる恵みともいうが、生者であれば傷や気力の回復を促すが、悪魔や魔物に対しては光と同じく体を蝕みその体を溶かしていく。


「いまじゃ!」

「いけ~」

「突撃!」


前衛が飛び出すと3匹のエルダーグールに対してそれぞれの武器で攻撃を仕掛ける。

だがその大きな体は溶け出してはいても剣や槍ではHPが中々減ってはいかない。


「核を狙え!」

「どこ?」

「ホーリーアイ ラ セクス」マーシャ


聖なる目、要するに真実を見る目である、魔法としては相手の急所が見えるようにするためのバフ、それを前衛6人に対してかける。


「見えた!」

「ここか!」

「ズシュ!バシュ!ドシュ!」


いつの間にかクロイスも前衛に加わっていた。


「クロイス皇子も剣術習っているのですね」ロッド

「あ いやこれは…」

「コーバス流剣術ですね」フロウラ

「コーバス流は親族のみにしか伝授しない魔公爵家の秘伝だと言う話です」リリアナ

「そうなんだ」カバネル


コーバス流は細剣とサーベルを足して2で割ったような細長い湾曲した剣を使う、日本刀より細い剣だ。

相手を両断する剛剣に対してコーバス流は相手を切り刻み、そして刺突でとどめを刺す。

その剣の流れは美しくさすが貴族の剣術と言える優雅な剣だ。

コーバス家でしか伝授しない為、現在この剣術を使えるのは10人に満たないと言う話だ。


「魔法だけでは無かったのだな」トラム

「そういえばアルフレア王国近衛流というのも有りましたよね」フラン

「王国近衛流は剛剣の分類じゃな、身の丈1メートル50セン以上幅10センチ以上の大剣から繰り出される剣圧は豪快じゃぞ」マーシャ

「そうなんですか…」クロイス

「武器と言うのはそれぞれに性格が有るのじゃ、だが極めればさほど差は無くなると言うぞ、ちなみに妾はどちらも使えるがな」


その体からしてみれば1メートル50センの剣など重く長く振るえるはずなどないのだが。

マーシャは重力魔法を使い自由に剣の重さも自分の重さも変える事ができる。

普段は面倒なので細剣、特に日本刀や小剣(1メートル未満)を好んで使用している。

王国近衛流は基本的に王家と近衛兵が最初に習う剣であり剣道に近い。


「王子は槍術の方が得意なんですよね」カバネル

「ああ今は半々かな学院の試合では剣の方が多いが出稽古は槍術を主に使っているぞ」


アルフレア王家では近衛流剣術とゴルドア流剣術が最初に習う剣術として指定されている。

勿論マーシャはどちらも使えるし剣道から派生する居合術も使える、それにマーシャのみが使える剣術も使えたりする。


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