37階層
37階層
前の階層で蜘蛛と戦い次の階層は蝶、しかも幻惑の鱗粉をまき散らす。
巨大な蝶は2メートル以上、そして樹木の間からは巨大な芋虫がわらわらと出てきては繭を作る糸を吹きかけ、行く手を遮ろうとする。
「マスク装着!」
全員にはマーシャ謹製のマスクを渡してある、もちろん毒ガスまで防げる優れもの。
意匠として天使のマーク付き、黒い生地に金糸で縫い付けてある3重構造のマスクだ。
「皇子にも渡しておきますね」フラン
「ああ ありがとう」クロイス
お付きの従者ドルチェとグロシュにも渡しておく。
「あ 魔法が切れたみたい」リンダ
「そのようだな、まあこの階層は魔法もいらぬじゃろ」マーシャ
この階層は蝶の鱗粉さえ防ぐことができればそう時間のかかる階層では無い。
マスクを装着していれば幻惑鱗粉は100%防げる、後は火魔法を使う事で芋虫からの糸攻撃も対処可能だった。
「森の中って久々だな」カバネル
「芋虫が育つのに必要な環境ってことなんだろう」ロッド
時折見つける芋虫を一刀両断しながら進んで行く、時折少し大きく真っ黒な芋虫が出現し糸ではなく魔気を吹きかけて来るのでそれさえ注意すればあっという間にこの階層は攻略できてしまう。
黒い大きな芋虫はいわゆるこの階層のボスである蝶に変化するので、見つけたら必ず倒さないと一斉に他の芋虫が近寄って糸攻撃を喰らってしまう。
この人数であればさほど問題は無いが5・6人での攻略だとかなり厳しい戦いとなり。
糸に絡まってしまえば身動きできなくなって終いには窒息死し、又最初からやり直さないといけなくなってしまう。
「魔気ってまとわりつくと冷たいな」ロッド
「そのままにしておくと体が動かなくなるのよ」チャッピー
「マジ?」
「勉強したところでしょ」ミミー
アカデミーの薬学の授業では薬として使える食材や魔物から得られる毒などの勉強をしていた。
まあ男子は座学をそれほど重要に感じていないみたいだが。
「もしかして麻酔にも使えるのか」トラム
「ええ、但し魔気は対象の魔力を奪うので麻酔と言うより行動阻害のデバフと言った方が良いですけどね」チャッピー
「なるほど」クロイス
「魔王国では薬学や魔物のそういった効果は勉強しないのですか?」リリアナ
「魔王国の学術はかなり程度が低いですよ」ドルチェ
「皇子は今どんなことを勉強してるんです?」カバネル
「今はコーバス流剣術と闇煙魔法だが」
「皇子それ言っちゃうとまずいですって」ドルチェ
「いやもう知られていると思うが…」
クロイス・コーバス・ウェザラード
13歳
種族 魔王の3男、魔王継承権順位第2位
皇太子
魔剣士 強化魔法(全般)闇煙魔法 コーバス流剣術
魔法熟練度 220/300級
剣術 155/300級
小剣術 122/200級
槍術 92/100級
体術 167/200級
HP 2000/2000 ヒットポイント(体力)
MP 1800/2000 ミッションポイント(マジックポイント)
SPD 268/300 スピード(足の速さ)
AGI 177/200 素早さ(敏捷度、魔法詠唱+補正)
AT 332/400 アタック(攻撃力)
MAT 317/400 マジックアタック(魔法攻撃力)
DF 821/900 ディフェンス(防御力)
MDF 778/800 マジックディフェンス(魔法防御力)
FA 76/100 フィンガーアクション(器用さ)
IT 227/300 インテリジェンス(脳力、頭の良さ)
魔法※火6水4土5風7聖1光1闇8無6
現在の悩み 早く強くならねば 母の命令は絶対 まさか人族側に助けられるとは…
勿論マーシャのスキルである千里眼による鑑定で彼の能力もお見通しであり、過去には少なからず因縁もあるのだが。
だからと言って敵視する必要もなく、いらぬ先入観を学友に植え付けてあおる必要もない、と思いクロイスの事は黙っていることにした。
それに話してみるとさほど悪い奴では無いと言うことも分かった。
取り巻きの2名も友人としての扱いであるし、才能はまだ開花しておらず修行さえ積めばかなり有能な冒険者になれる事は確かだ。
だが彼は王族であり魔王国の継承順位も第2位と言う事からそれはあり得ない。
多分彼がこのダンジョンにいるのは修行・経験のために訪れているだけだろう。
それならばマーシャの考えはただ一つ、「少しもんでやるかのう」まるで軍隊のブートキャンプの様だが。
学友たちも彼女のチームに参加する事で自分たちの能力を伸ばしてきたのだから、現在一番有意義な勉強方法と言っても過言ではない。




