そして終戦
そして終戦
まさかかわいらしい人族の少女に150歳を過ぎた吸血鬼の元締めが説教されるとは。
しかも敵に塩を送るような発言、まるで年老いた爺さんが若者にお小言を言うがごとくペラペラと核心を突き話し出す、聞いていたヴェノム公爵は途中で笑い出した。
「は はっはっ、何を言うかと思えば、おぬしは・・・確かに魔王国は努力と言う人族の好きな事は殆どしてはいない、そうかそれで負けたのか、これでは何度やっても勝てはしないな、我らの時は止まったまま、なのに人は努力しどんどん強くなる」
「わらわならばこの人数全部相手にしても、何とかなるぞ・しないがな」
「さらっととんでもないことを言う姫様じゃな」宰相
いつの間にか宰相も将軍も近くまで来ていたらしい。
「本当の事じゃ、試してみるか?」
次の瞬間マーシャの体から恐ろしいほどのオーラが吹き出る、それは強者のみしか感じることが出来ない物だが、普通の者はそのオーラを浴びると足がすくんで動けなくなる。
オーラスキル、その上級版スキル帝王眼、吸血族のトップでさえ足がすくむ。
「どうじゃ?」
「おぬし本当に何者だ?」
「見ればわかるじゃろ、人族の姫じゃ」
結局この後、マーシャが将軍格2名を説得し戦争は話し合いで決着ということになった、それからは戦場となるはずの荒野の真ん中で王国第一王子・魔真隊将軍・各騎士隊隊長、マーシャそして魔王国の将軍・公爵・王族2名、さらに宰相という見届け人の中。
正式な和解協定書の調印が行なわれた、勿論手柄は第一王子になるが作戦の裏の功労者は第三王女マーシャ。
「お兄様には手柄を立てて頂かないと」
「マーシャには頭が上がらんな」
「そうですか、それならば後で色々とお話を聞いてくださいまし」
第一王子に影から進言する、魔王国と正式な国交を結びダンジョン攻略をアルフレア王国にも開放しろと。
それは訓練の為もあるが、このたびの戦闘で被害を被ったジンジャー子爵領への戦後保障の一つでもある。
被害が最小限で終わったこともあり今回の魔族側の戦後保障は土地としては少ないが、魔王国内にあるダンジョン全ての無期限開放と辺境の王国国境近くにあるダンジョンを一つ代償として手に入れる事となった。
こうすることで魔獣を使用した戦争が出来なくなる上、ダンジョン内で取れるお宝の入手が可能となり、一時的ではあるが2国間は和平を結ぶことが確実になった。




