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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
三章 森奏世界編
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色欲の悪魔 8

「撃滅……まさかッ…!」

「邪奥解放…」


 瞬間、バアルとは別に感じる悍ましい魔力。


「キュバステンペスト」


 暗紅色の光線が雨の様に空から降り注がれる。


「ッ……! 聖奥解放、ナイトオブ…っ!

 シャリド!」


 キュバステンペストなる邪奥は、着弾と同時に爆発を起こし、被弾部分の地面の水を蒸発させるほどの熱量を含んでいた。


「アスモデウス様…!お早い到着感謝ですっ!」

「……別に。貴女のためじゃなくて、アザトゥス様の…」

「でもぉ……こんな技じゃ、肉体もろとも消滅しちゃって確認出来ないですよ〜? この隙に逃げよう!とか考えてたらどうするんですか〜?もう…使えないアスモデウス様っ!」

「…本当に他人の感情を上げて下げるのが得意ね貴女。

 というか、なんの冗談? この程度で終わるのなら貴女一人でも解決出来てたと思うのだけれど」

「あはっ、バレましたぁ? はいっ!アルハさんは無事みたいですっ!

 ね、アルハさん?」


「っ……ぐ!」


 神王の瞳を開眼させ、発動した最硬度の聖盾魔法でアスモデウスが放った邪奥を防ぐ。 が、その代償は大きく、左手は完全に使いものにならない状態に、、、

 しかも、呪いでもかけられてるのか再生能力が一ミリも働いていない、、、


「おお〜…攻撃系の聖奥では被弾時の爆発からクロユリちゃんを守れないと考え、神王の瞳を用いた防御魔法を使った…というところでしょうかねぇ? とはいえ、最奥の力と張り合えるわけないのに……ね、アスモデウス様?」

「……次はもう防げない」

(あ……また無視されちゃった…)


「あ、アルハさん…!」

「っ………」


 アスモデウスの技もそうだが、バアルの考察も腹立つなぁ〜!! こっちの事を全部見透かしてやがる……。


 被弾、着弾の度に爆発を起こす光線の雨、騎士の護剣なら牽制しながら接近する事も可能だった。が……。

 バアルの言うとおり、そうなると由利が傷付いてしまう。

 キラジウス…とも思ったが、あれは一対一の武器を使った戦闘時に活かせる聖奥であって、遠距離からの複数同時攻撃ではあまり有効打とは言えない……。

 ブラッドブーストで超加速状態になっても、心身疲弊している由利があの速度に耐えられるか……。


 どうすれば、、、


「邪奥解放……」

「ッ…!」


 両手を重ね、空に掲げるアスモデウス。


 どうする…! どうすれば……。

 色欲の悪魔への有効打は……っ!

 ……色欲の悪魔? そうか!


「聖奥解放!」

「っ…」(この状況からの聖奥? 一体何を……)

「おやおや〜? ここから逆転の一手でもあるんでしょうかねぇ?」

「はンッ! あるからやってんだっつーの!」


 なるほど。 どうしてアスモデウスが百合の支配者ではなく、黒百合なんていう本来のイメージと正反対な色合いの支配者と組んだか分かった気がする。

 奴は百合を選ばなかったんじゃない、選べなかったんだ。

 百合の支配者であれば、全ての百合の力を持てていたが、それを選べなかったからこそ黒百合という一つの花だけを選んだ。


(おかしいですね……ラドジェルブではアスモデウス様の邪奥は防げないのに□□□はどうしてあんなに余裕があるんでしょう……)


 クロノスありがとぉ〜〜!!!さすがは創生神!

 全ての生命に得手不得手を与えていたお前はやっぱ天才だわ!!


「今度こそ終わりよ……キュバステンペスト!」


 アスモデウスが光線の雨を放つ。

 バアルは…こちらの行動に警戒をしてはいるが、何をしてるかは分かってないみたいだな。


「あ、ア、アルハさん!」


 身動きせず立ち尽くしている俺の上着を揺さぶり逃げるよう促す由利。


「由利。 悪いけど、ちょっとビビってて良いから俺のワガママに付き合ってくれ」

「………っ」


 っ……。ギュッと俺の胸にしがみついてくるなんて…俺に惚れてんだな……なァーんつって!(笑)

 …アホな事を考えてる場合じゃなかった。


 放たれるキュバステンペスト。

 光の束が空から降り注がれ俺達に直撃する。


「ッッッ〜〜!!!」


 恐怖から、しがみついた由利の手の力が強まっている。


「汚れなき聖域よ、我に美徳の加護を……。

 チャスチュアリ」

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