色欲の悪魔 7(裏)
「…………」
ワタシの視線の先には苦悶の表情で天を仰ぐ管理神の姿があった。
なんて無様なのだろう。 戦闘向きではないとは聞いていたが、こんな呆気ない幕引きだなんて、、、
「リリラクブと自称カミサマを逃がしたのに、その結果がこれじゃあ……ね」
呆れながらファウヌスの胸元に手をかざす。
「邪奥解放、キュバステンペスト」
暗紅色の光線が被弾した瞬間、爆発を起こし、ファウヌスの体は木端微塵に吹き飛ばされる。
「……これで、この世界での目的は一つ達成した。 あとは……。
っ……」
それは遥か遠方に見えた。
一匹の羽虫。
何か違和感があった。
どういった違和感なのかは分からない。けど、今ここで何か対処しなくてはいけないという気持ちが、、、
(アスモデウス様〜?)
「っ!」
どこからか声が聞こえる。
辺りを見回しても誰もいない。じゃあ、これは……念話?
声の主は、、、
(何……?)
(うっわ…声暗っ! もう少し元気に行きましょうよ〜)
(要件だけ言ってもらえる?)
(あーはいはいー……冷たいなぁ、もう……。
クロユリちゃんとカミサマさんの所に到着しそうなので、早くファウヌスを処理して、救援に来てほしいでーすっ!)
(……到着しそう、ということは、まだ戦闘すらしていないのでしょう?)
(はいー!そうですよっ♪)
(そう……。 じゃあ、危機的状況になったら向かうから)
(え、ちょっ…ちょっとまってくださいよぉ〜!)
(何? ワタシは今……)
念話をしながら先程見えた羽虫をもう一度確認しようと視線を戻す。
「っ……。
いない……」
バアルが念話越しに「アザトゥス様が戦闘時は出来るだけ単体行動は避けるように言ってたんですよ〜!まあ、私は戦う気ゼロなんですけど〜(笑)」なんて、癪に障る口調で話してくる。 …五秒でいいから黙ってほしい。
(アスモデウス様〜……どうかしましたかぁ?)
(……貴女のせいでワタシの仕事が失くなってしまったのよ)
(ワォっ!!それはそれは…残念ですねぇ! じゃあ……)
「っ……」
答えたくない。何も言いたくない。
彼女になんと答えるかが決定してしまった。
(……座標は?)
(ふっふっふー……さすがはアスモデウス様っ!)
ファウヌスを撃破し、バアルからの救援を受けたアスモデウスは六枚の羽を広げ、先を急ぐ。
彼女が抱いていた違和感、それは決して間違いではなかった。
複眼を持つ虫はアスモデウスが去った後、そこに散らばる管理神の体を貪る。 クチャクチャ……グヂュグチュ……ごキュごぎゅ…と。




