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ア「本編は月光世界編からです」
ル「社交辞令自己紹介レベルでスッと言ったな」
ア「でも、人によっては番外編見るの好きなんだよなぁ……。
これで俺がなんの神か分かっちゃったらどうしよ!?
そういう考察もしてほしいなって思ってたのにぃ……!」
ル「安心しろ、罪願は考察したいほど興味を唆られる話じゃないし、顔文字使ってるような作品をまともに見ようと思う奴はいない」
ア「……なんでそういうこというの? もしかしたらドハマりしてくれる人だっているかも…」
ル「寝言は寝て言え。
普通の奴なら迷わずランキング上位のファンタジー系を見に行ったり、「転生したら〇〇が〇〇な件〜〇〇〇〇で〇〇〇〇〇〇!」といったクソ長でもタイトルだけでなんとなく内容を理解できるものを選ぶ」
ア「…………」
アルハさん、唇がプルプルと震えています。
ル「こんな趣味全開の話、需要があると本気で思っているのか?
転生した人間はいない、主人公は最初っから人間じゃない、つまり感情移入できない。
神様が戦います! ああ、そうですかで終わりだ。
読者がファンタジーに求めるのは人でありながら人を超えた奇跡をもたらす描写だ。 神が人を超える奇跡をもたらしたところで、そりゃ神様だからやれて当然だなという気持ちが勝る」
ア「…………」
アルハさん、涙目になっています。
ル「主人公が人間やそれ以外の種族、もしくは天使だったらここまでは言わなかった。が、神なら話は別だ。
異世界転生、異世界転移、ハイファン、ローファンでは傍観者や観測者の立場にいる神が主人公だ?」
ア「で、でも、力が制限されているから…」
ル「制限されていたとしてもそれで神の力が全て使えないわけではないだろう?」
ア「うっ……はい……」
ル「なら、そんな制限、無いも同然だ」
ア「……………………ぴえん」
アルハさん、心が完全にへし折れてしまいました。
ル「さ、て……。 私はそろそろ帰るとするよ」
X「うん。 また、お腹が空いたらよろしく頼むよオーディン」
ル「ああ、頼まれた。
アルハ」
ア「………はい」
ル「なんだ? 私に言われて落ち込んでいるのか?」
ア「そりゃあそこまで言われたらな……」
ル「はぁ……。そうか、それはすまなかったよ。
だが、思い出せ」
ア「思い出す? 何を?」
ル「基本的に出てくる敵のほとんどは神の力を持っているからしぶといし、貴様一人で完勝する描写はあまり無い」
ア「……………。
………………。
……………あ、ほんとだ」
ル「忘れていたのか……」
ア「普通に落ち込んでいて忘れてたな」
ル「やれやれ……。…ん?」
《 嫉妬の悪魔は嘲笑を浮かべながら影の世界へと封印される。
「っ……」(なんだ、あの表情は……。
影の世界には、北欧四魔剣を携えた私の部下がいる。 ヤツのキズが癒えたところで、彼等へ勝利することなど……だとすれば、笑みを浮かべたのは別の理由……。
…………まさかッ!?)
少女が気付いた時には遅かった。
月光世界を襲撃した大罪の悪魔は二体いた。
赤黒い髪色の女は隙をつき、金髪碧眼の少女を城から追いやった。
とある事情で十歳程度の幼子の力しかない彼女の名はルイ・ニルプス・ノイド。
月光世界の一国、ニルプスの王であり、月光世界の管理神オーディンである》
ア「え、上のワンシーン、なに」
ル「月光世界で起こった事だ、詳しくは本編を見れば少しは分かるだろう」