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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
二章 赤陽世界編
42/175

ギイム 1

マモン(mammoN)


六大世界支配を目論む邪神の使徒である七つの大罪の一体。

身長162cm体重56kg

髪は血の様な赤色を帯びた黒髪ショートヘア

瞳の色も髪色同様に血の様な赤色を帯びた黒である。

若干、体重が多いように思えるが、胸部は大きすぎず小さすぎずといったところで、筋肉量によるものとされている。

「っと、やっと着いたな赤陽世界ギイム!」


 転移魔方陣を使い、月光の世界ア・ヌールから赤陽の世界ギイムへとやって来た青年アルハ・アドザム。

 いきなり町の真ん中に着地したからか、周りを歩く人々を皆、アルハに釘付けだ。

 ……訂正しよう。転移魔方陣によるおかしな場所への転移は頻繁と言うほどではないにしろ理解している者は多い。

 では、何故、皆がアルハを見つめるのか……それは、、、


「軽くなったとはいえ、この重さは四十半ばはあるよなぁ……」


 意識の無い若い女を肩に担ぎ、数分に一回胸を揉んでいるからである。


「イカれた世界設定にしてたんだし、もう少し痩せてても良いよなぁ……まあ、大きなおっぱい触れるからセーフだけど……」


 社会的にアウトである。

 そんなアルハを新手の変態クソ野郎だと思ったのか、その光景を目の当たりにした女が家に駆け込み黒電話を手に取る。


(あ、ヤベ……)


 すかさず目を黄金色に染め上げ、印象操作の魔法を発動する。


(俺がこの娘に何をしてもおかしいと思うな〜!思うな〜!)


 この男、能力の使い方が最低である。

 印象操作によりアルハの事を不自然に思わなくなったのか、誰一人として足を止めることはなかった。


「ふぅ……一安心!」

「ん……んぅ………あれ…?」

「お、起きたか」

「アタシ……さっきまで地下牢に……」


 目を覚ましたマモンを下ろし、ここまでの経緯を説明する。


「……じゃあ、アタシはアナタに誘拐されたってことですね」

「誘拐じゃない捕虜だ」

「同じようなものじゃないですか! 私の力を返してください!!

 それに解除したわけでもないのに、どうしてアタシ、ミオの姿になっているんですか?!アナタの仕業なんでしょう?!」


 ギャーギャーと一通り騒ぐと、グルルルル……と、今度は野犬のように唸り声を上げるマモン。

 どぉどぉ、となだめつつ、とりあえず人の少ない裏路地へと連れて行く。


「まず最初に、お前に力を返すわけにはいかない」

「どうしてッ!」

「どうせまた悪さするだろ?」

「当たり前です!」

(わーお……躊躇うことなく言っちゃったよこの娘、素直なのかバカなのか……)「だから返せない。 俺はお前たち七つの大罪の無力化を目的としてこの六大世界に来たからな」

(六大世界に来た……? とすれば、この男は転生者?又はそれに準ずる何か……)

「ん、どした?」

「……アタシを連れてきた理由はなんですか?」

(無視かよ!)「自己防衛だけど」

「自己防衛?」

「そう!自己防衛。

 俺さ、この世界のお姫様?みたいな奴に病的なレベルで愛されてるんだよ」

「そうですか、惚気ですか、良かったですね」

「うわぁ……興味無さそう……」

「無さそう。ではなく、興味無いんです」

「ステラっていう見た目こそ可愛いけど、かなり高齢な所謂ロリババアなんだけどさ」

「興味無いって言いましたよね?」

「お前の記憶を見た限りでは、この赤陽の世界を滅ぼそうとしているのが、ベルゼブブだからお助けに来たわけ」

「ああ、舐め回すように私の隅々を視姦してましたね」

「いや、言い方ァ……」


 オヨヨ……と、落ち込みながらも商店街で買っておいたみたらし団子をマモンに渡しつつ話を続ける。


「はむっ……うぅーん!?」(何これ美味しい!初めて食べた!!)

「でさ、そのステラが俺の貞操を狙ってるわけよ」

「飛躍しましたね」

「俺が寝てる時は布団に潜り込んで、雄蕊と雌蕊を合わせようとするし……」

「良いことじゃないですか、美人らしいですし」

「俺が喉乾いたって言ったら、水を口に含んで口移ししようとするし……」

「愛されてる証拠ですね、おめでとうございます。 あ、その食べ物もう一つください」


 袋からみたらし団子を一本取り出し、マモンに渡すアルハ。


「はむっ……それで、アタシを連れてきた理由は何なんですか?」

「うん、俺の彼女のフリをしてほしい」

「絶対嫌です」

「礼と言ってはなんだが、ベルゼブブの力を封印して、次の世界に行けたら、強欲の罪の力を返してやろうと思ってるんだけど」

「!? 喜んで彼女になりましょう!!」

「……お前、ちゃんと話聞いてたか?」

「ベルゼブブの力を封印して次の世界に行ったら力を返してくれるんですよね!」


 キラッキラな笑顔で答えるマモン。


「仲間の力が封印されるのに、そんなあっさりOK出しても良いのか?」

「共闘関係にはありましたけど、仲間と認識した事は一度もありません。

 我々悪魔は常に個として動くので、天使連中みたいにみんな仲間理論は無いんですよ。

 だから負けて魔界に追放されたんですけど…(ボソッ)」

「……まあ、お前がそれで良いなら別に良いけど」

「それで、アタシがミオの姿なのはどうしてなんです?」

「俺がお前の本来の姿である時に太陽の光を直接送り込んだからだ。

 それにより、お前の肉体は防衛反応を示して太陽の光を苦としない人間の姿になったんだよ」

「ああ……あの光に焼かれるような夢は夢じゃなかったんですね……」

「悪かったな、ちょっと強引な事して」

「お気になさらず。 その食べ物をもう二つくれるなら大目に見ましょう」


 マモンは催促する様に手を出す。


「そんなに気に入ったのか?みたらし団子」

「みたらし団子と言うのですね」

「美味いだろぉ?」

「何故、アナタが誇らしげに言うんですか」

「何となく!」

「バカ丸出しですね、早く死ねば良いのに」

「ナチュラルにディスるの止めて……普通に落ち込むから……」

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