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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
五章 水明世界編
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璃失選択 4

「……アスモデウスが消息を絶った事は瑠樹を介して認知していたが、まさかサタンまでも」

「はいっ! さっき殺して、魂は(バアル)ちゃんの中に、肉体は複製品を作るためにパンデモニウム強制送還しました!」


 一切の曇り無い晴れやかな笑顔で答える黒髪の少女。


「ふっ……この期に及んで未だバアルの名を語るか」

「……こっちの方が色々と都合が良いんですよ。 天上の神々も悪魔一匹程度にかまける程ヒマではないようですし」

「成る程、悪魔として動いているのは神からの干渉を避ける為か」

「はい。 神のくせに人間に媚を売りすぎて消えた月光神もいますしね!アハっ!」

「…………」


 バアルを自称する少女に睨みをきかせるベルフェゴール。

 そんな態度に物怖じせず、真っ赤な瞳でベルフェゴールに不気味さが滲み出た笑みを向ける。


「何がおかしい」

「……? 私、笑ってました?」

「ああ、気味の悪いほどにな」

「おやおや……それは失礼。

 では、時間も惜しいのでちゃっちゃと終わらせましょうか!」


 瞬間、璃空とベルフェゴールの視界から黒髪の女が消失する。


「消えた!?」

「ッ! 少年よ、姉の肉体を守れ!」

「時間切れです」


 抑揚の無いバアルを自称する女の声、それが合図かのように病院の一室だった空間が崩れだす。


「うわぁッ!?」


 足元が崩れ、奈落へと落ちる璃空。


(飛行魔法が機能しない!?

 そうか、ここは姉さんが人間だった頃の記憶だけで生成された空間。 ただの人間が空を飛ぶという認識は存在しないから……)


「ふんッ!」


 しかし、背から二対の翼を広げたベルフェゴールが間一髪で璃空の腕を引き、すくい上げる。


「無事か、璃空よ」

「あ、はい……ありがとう──」

「邪奥解放!」

「「!!」」


 黒髪の女が紡ぐ言の葉は老人と少年を屠らんと照準を合わせる。


覚醒める冥府の華(リコリクスレイン)


 花の形を両手で作り出し、黒い魔力の花弁が放出される。


「邪奥解放!」


 璃空を片腕に抱えた状態のベルフェゴールは魔力で生成した剣から邪奥を放たんと身構える。


「少年よ、我が翼を一対与える」

「え?」

「その翼でこの空間を飛翔し、己が姉弟ぐらいは守ってやるのだ」

「っ……。 はい!」


 瞬間、背中に走る僅かな痛みを感じた璃空はベルフェゴールを押し退け、彼から貰い受けた翼で崩壊を起こす精神世界を駆け上がる。


「こちらの攻撃を無視して仲良くお喋りなんて、ずいぶんと余裕ですね!」

「ふんっ、大罪の悪魔をナメるな。 彼の刃は異を無に帰すスラッシュエピリスディア!」


 放たれた剣戟は黒い花弁を相殺する。


「!?」


 否、剣戟は黒い花弁がなかったように溶かし、その力を衰えさせる事なくバアルを迎撃する。


「っ……!」


 手で空を凪ぎ、生み出した微風から槍のような得物を生成する。


「……成程。 異能力を無力化させる怠惰の大罪魔法と最奥の力を融合させた技」

「左様。 しかし不思議だな。

 何故、防げた?」

「…………あはっ☆」


 ベルフェゴールからの問いにバアルは取って付けたような笑みを浮かべる。

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