表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
五章 水明世界編
174/175

璃失選択 3

「貴方が、怠惰の悪魔」


 璃空の言葉に首を縦に振るベルフェゴール。


「と、言っても今のワシは君を傷付けるどころか拘束することもままならない。

 大罪の悪魔としての特異な力は君の姉と契約した時点で全て譲渡したからな。

 ここにいるのは悪魔の残骸。 腹を裂こうが頭をかち割ろうが何も出てはこない」

「そんな……僕は……」

「分かっておる。

 永い間、暇だったのでな。 茶化しただけだ」


 ホッホッホ……気の抜けた笑い声を上げると、ベルフェゴールは気怠そうに記憶の中の飯島瑠樹へと歩みだす。


「お前さんが欲しいのはこれだろう?」

「えっ……」


 ベルフェゴールが手のひらを大きく広げ、飯島瑠樹の頭を掴む。


「ガぇっ」


 胴体から引き千切られる刹那に感じた痛覚が悲鳴とも異なる音を出す。


「くれてやろう」

「……」


 ベルフェゴールは捻り、引き千切った飯島瑠樹の頭を璃空の足元へと投げ渡す。

 瑠樹の体はベッド横の椅子に姿勢正しく座り、頭部は今も尚、ベッドから上半身を起こしている弟と会話をするように穏やかな表情で言葉を放ち続けている。


「っ……」

「怯えることはない。 所詮は記憶が作り出した幻想。

 都合の悪い事は遮断している筈だ」

「え……?」

「それに、キサマがいるという事は、早々に壊れんよう工夫をするだろうしな?」


 訝しげに部屋の天井を見やるベルフェゴール。


「?」


 つられるように璃空の視線も部屋の天井へと向けられる。


「おじいさん、何も……」

「随分と手を拱いているようだな、闇の支配者よ」

「…………。

 …………。

 …………あーあ、目ざといおじいちゃんですね?」


 瞬間、天井の日が当たらず影となる部分が黒に染まっていく。


「っ……!」


 黒いそこからは人の形をした誰かが足をのぞかせる。


「困りますよ? 我々とアナタ達大罪の悪魔はアルハ・アドザム……もとい創造神アフラ・マズダ・スプリウムの滅びを願いとして掲げているのに……」


 人の形をした誰かは古めかしい制服を身に纏っている。


「その願いに必要な大罪の権能をそうポンポンと受け渡しちゃうとか……」


 死体のように青白い肌。


「これは裏切りでしょうか? いえ、疑問の余地は有りませんっ!

 マジひゃくパー裏切りですっ!」


 鮮血のように赤い瞳。


「なので、色欲や憤怒のように……」


 肩下まである黒い髪は艶やかでありつつ、潜在的に恐怖を感じさせる。


「我ら支配者の養分となってください」

ご覧いただきありがとうございます。

反応貰えると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ