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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
五章 水明世界編
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璃失選択 1

「姉弟の絆って言ってもどうやって?」

「飯島瑠樹がベルフェゴールに願ったのはお前の幸せだ。

 それは裏を返すと、お前が不幸だった事を示している。

 だから、その記憶を書き換える」

「なるほど?」


 俺の提案に対して端切れの悪い返答をする璃空。


「噛み砕いて言えば、俺の力でお前を飯島瑠樹の記憶の中に飛ばして、お前という存在を消すって事だ」

「それってつまり……」


 それはつまり、飯島瑠樹は飯島璃空という弟の記憶が無くなり、弟のためにベルフェゴールに願う必要が無くなるという事。

 当然、今、ここにいる彼女がどうなるかは分からないが、現状を打破出来る可能性はある。


「……無理にやれとは言わないが」

「いえ」

「っ……!」


 言葉を失った。


「凄く良い方法です!」


 なんの迷いも躊躇いもなく、場違いと思えるほどの爽やかな表情で璃空(カレ)は賛同した。


「……そうか」

「はい! それが成功すれば、この状況も打破できそうです。

 でも、どうして記憶に入るのが僕なんです?」

「縁のある人間なら共有している記憶も多く、記憶から異物として弾かれる可能性が低い。

 だから、弟であるお前の方が適任なんだ」

「なるほど、今度は完全に理解しました」

「邪奥解放……!」


 飯島瑠樹の得物が再びこちらへ向けられる。


「お前が記憶の中に入ってもヤツは動きを止めない。 それどころか突然、目の前から消えればもっと酷くなるはずだ」

「わかりました、時間をかけないよう善処します」

「そうしてくれ。 聖奥解放、メイルジョン」


 手のひらに集めた光の魔力を璃空の額に当てる。


「ヤツの邪奥は俺が抑え込む。 だから、璃空はヤツの頭に頭突きする勢いでぶつかってくれ」

「っ……」


 俺の言葉に首を縦に振る璃空。


「今度こそ終わらせる……死へと誘う花の雨(リコリクスレイン)!」

「聖奥解放……」


 彼岸花の形をした緋色の魔力が、こちらを討たんと強襲する。 しかし。


「!?」



 聖奥ナイトオブセイバーの力を全て取り込んだ俺の剣は、その一切を斬り伏せる。


「騎士剣成」

「く……ッ! まだ、攻撃は終わってない!!」


 飯島瑠樹は続け様にリコリクスレインを繰り出す。


「行くぞ、璃空!」

「はいっ!」


 二人同時に飯島瑠樹の懐へと接近する。


「死ね……死ね死ね…………死ね死ね死ね!!!!」


 リコリクスレインは発動する度に命中精度が落ち、一撃の威力が上昇している。

 周りへの被害を考えると、こんな特攻が正攻法とは言えない。

 が……。


「っ!」


 既に1メートルも無い間合いに攻撃の手が止まり、後方へと下がろうとする瑠樹。


「はぁァァァ!!」


 ゴッ!と短く鈍い音。

 瑠樹よりも先に璃空の頭突きが彼女の頭へと直撃したのだ。

イイね、ブクマ、評価、コメントよろしくでーす!

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