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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
五章 水明世界編
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霧夜事変 8

「っ……。

 何してくれてるの、バアル……」


 ベルフェゴールとの戦闘を隠れて見物していたバアルに怒りを募らせた表情で睨みつける。


「うわ、怖っ……。 そんなに怒らないでくださいよぉ……」

「なら、サンの邪魔をした理由をサンが満足出来るように答えて」

「はいっ! 良いですよっ!

 まず、この泥! これは私の邪奥で、その名もルトゥムダークネス……」

「そんな子供っぽい技の名前を聞いてるんじゃないの」

「子供っぽい……」

「どうしてサンの邪魔をしたのか……それだけを聞いてるの」

「えぇ〜っ……」


 面白みのない問いかけにバアルは口をとがらせる。


「じゃあ、答えますけど、本当につまらないですよ?」

「…………」


 "いいから答えろ"と目で訴えるサタン。


「うっ……分かりましたよぉ……答えます。答えましょうともっ!

 単純に今、頭数減らされると困るからです」

「…………」


 無言を貫き、尚もバアルにガンを飛ばすサタン。


「ちょっ……! 本当にこれが理由ですよっ!?」

「分かってる。 ただ……」

「ただ?」

「アンタからおふざけ要素を奪うと魅力が無くなると思っただけ」

「ガーン……」

「ま、アンタの意見も一理あるし、ベルフェゴールもサンには敵わないって事が理解出来ただろうからもういいけど」

「さっすがサン様! 寛大な御心遣いで感謝ですっ!」

「お世辞はいいから早く降りてきてくれる? 首が痛いんだけど」

「はーいっ!」


 サタンに促され、家屋の屋根から地上へと降りる。


「で、どうするの?

 ベルフェゴールは飯島璃空ってガキにゾッコンみたいだけど」

「ガキ……。 っ……!」


 サタンの発言に慌てて顔を背けるバアル。


「……何が面白いわけ?」

「あっ、いえっ!なんでもないですっ! ぷふっ……!」

「大罪魔法……」

「ああっ! ごめんなさい!ほんっとごめんなさいっ!

 サン様の体も(おっぱい以外は)中学生ぐらいなのに同じぐらいの男の子をガキ呼ばわりしてるのが面白いなと思って笑っちゃいました、ホントごめんなさい!」

「……正直でよろしい」

「…………」


 ふぅ〜……と、安堵の息を溢すバアル。 だが、顔を上げた瞬間。


 バチン!


「いゥ……!? くぁ〜〜っ……!!」


 サタンの中指が額へとクリーンヒットし、バアルは尻もちをつく。


「酷いですよ、サン様ぁ……。 素直に答えたのにぃ……」

「笑った事は許したけど、サンの容姿を侮辱した事は許してないから」

「それ、逃げ道無いじゃないですかぁ……」

「で、どうするの? ベルフェゴールはまともに世界崩壊の任務を遂行できないし、アンタがパンデモニウムに連れ帰るの?」

「いえ! ベルフェゴール様にはもう少しだけこの世界を掻き乱してもらおうと思ってますっ!」

「ふ〜ん……じゃ、はい」


 意識を失ったベルフェゴールをバアルへ明け渡す。


「え」

「え、じゃないでしょ。 掻き乱すにしろ、サンの邪魔になるからアンタが管理してよね」

「えぇ〜っ!! 三人でこの世界滅ぼすよう頑張りましょうよぉ……」

「却下。 ベルフェゴールは裏切り者だし、アンタは信用出来ない。

 世界崩壊はサンだけで……」

「相手は第一世代の女神、ティアマトですよ? いくらルシファーと同質の力を持ったサン様でもちょっと難しいと思いますけどぉ……」

「支配者の権能、極彩色の翼、魔転化。

 この三つの力を併用すれば、全盛期の創神やオーディン、ゼウスでもない限り、サンは負けない」

「サン様……」

「何? その物悲しそうな目は」

「じゃあ……せめて、この世界の鍵を開けるまでの期間、アルハさん達の介入が無いようにベルフェゴールさんを暴れさせますから……」

「……勝手にすれば」

「はいっ、勝手にしますっ!

 だから、サン様はティアマトを見つけて、思う存分蹴散らしちゃってくださいねっ!」

「…………」


 バアルの言葉に何を返すわけでもなく、サタンはその場から去った。


「……あはっ☆

 憤怒の悪魔は管理神ティアマトと戦い、その果てに死亡……。 ベリさんにはそう伝えておけば、後はどうなろうと問題無いはずっ!

 あとは……」

「ん…………うん……? バ……アル?」


 抱えていたベルフェゴールが意識を取り戻し、バアルと目が合う。

 バアルの瞳は普段と違い、銀色に染まっている。


「わた……し……」

「命令です。

 アルハ・アドザムとそのお仲間さん、そして……飯島璃空くんを全力で殺しちゃってくださいっ☆

 おねがいしますね、ルキさん?」

「…………。

 …………。

 …………は、い」

「あはっ……」(絆は一度引き裂かれてこそ、より強くなる)

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