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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
四章 魔剣使徒編
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アメジスト 2

 数十メートルに渡り、一直線に緋色の道を描いた紅宝聖剣。

 その果てにレヴィアタンが倒れ伏していた。


「ったぁ……。

 緑の魔宝石よ、我が身を癒やす輝きを」


 体を起こしたマノは、傷口にエメラルドの治癒効果を使いつつ、レヴィアタンの様子を覗う。


(頭に当てたけど、急所は外したつもりだから、気を失っているだけ……のはず)


 意識の有無を確認するため、じりじりと近付く。


「ふふっ……」

「!……」


 聞こえた笑い声に臨戦態勢を取るマノ。


「すごいなぁ、マノちゃん……。

 私の絶対防御を破ったのはマノちゃんが初めてだよ?」

「そのお世辞は余裕からですか?」

「う〜ん、どうだろう……。

 半分はそうかもだけど、もう半分は負けるかもしれない恐怖かも?」


 レヴィアタンは何事も無かったように立ち上がる。


「ふふっ……でも、当たる直前に硬化魔法を使っておいて良かった!

 おかげでほら! この通り無き……ず…………」

「?」


 突如、フラフラとした足取りになるレヴィアタン。


「あれ……頭が痛いな……?」


 頭痛を和らげようと左のこめかみに当てていた手を見ると赤い液体がべっとりと付いている。


「…………あれ、おかしいな? 私、ケガしてる……。

 ううん。 それ以前に私は、私の絶対防御は人も天使も悪魔も神にだって早々に破れるわけない……なのにッ!

 どうして、マノちゃんは破れるのかな?!

 どうして……どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして……!」

「レ、レヴィさん?」

「……………………あ、そっか。 ふふっ……そうなんだ。

 アモちゃんが特別気に入ったのも、私の認識改竄が通じなかったのも、私の絶対防御が突破されたのも全部……マノちゃんが善性だけで出来た存在だったからなんだね……」

「善性だけの存在?」

「ねえ、マノちゃん。

 マノちゃんはこの世界に来てからさ、神様にお祈りした事ある?」

「急に何を……」

「ある?」

「っ…………」


 マノには心当たりがあった。

 神に願った直後、魔宝石の力が限界を超え、解放された事。


「…………」

「あるんだね。 ふふっ……。

 まさか、大罪の悪魔として私たちと数百年一緒にいた人間の正体が、大罪の天敵だったなんて……とんだ皮肉だね。 ふふっ……。

 うん……時期を照らし合わせたりしても間違いないかも」

「どういう意味ですか」

「その様子だと、アモちゃんに肉体を奪われた時に記憶も失くなっちゃったみたいだね。

 まあ、覚えていれば、私を見た時にすぐ殺しにかかってただろうし僥倖ってやつかな?」

「アタシの正体って、なんなんですか!」

「う〜ん……端的に言えば、創造神の娘……かな?」

「えっ……」(アタシが……神様の、子供……)


 突然明かされた自分の出生に驚きを隠せずにいるマノ。


「邪奥解放……」

「っ――――!」


 戸惑う中、邪奥で襲いかかるレヴィアタン。


「ティルフィング」

紅宝聖剣(セイバーオブルビー)!」


 間一髪のところでマノも聖奥を発動しこれを往なす。 が……。


「く……っ!」

「防ぐのがちょっと遅かったね?」


 無理に振るった右手の指先は反り返っていた。


「緑の魔宝石――――」

「させないッ!」

「っ!」


 魔宝石の使わせまいと続けざまに魔剣を振るうレヴィアタン。


(指を治す余裕が無い……。 なら今は、レヴィさんから攻撃を少しでも受けないために……)「青の魔宝石よ!」


 サファイアの力を発動し、敏捷性を高めて距離を取るも……。


「逃がさないよ……!」


 レヴィアタンも蒼と黒のオーラを放出し、その衝撃で加速する。


「っ…………」(速い……! サファイアの力を最大限使っているのに全然離せないなんて……)

「それで限界? なら、終わりに――――」

「紫の魔宝石よ!」

「!?」


 新たな魔宝石の発動に警戒した事でレヴィアタンの動きが止まる。



(今だ……!)


 右手を左手で包むように支え、魔力で生成した剣を構える。


「聖奥解放!」

「っ! 邪奥解――――」

「紅宝聖剣!!」


 赤い騎士の化身は発動途中の邪奥を粉砕し、レヴィアタンを押し飛ばす。

 しかし、レヴィアタンもタダで打たれる筈はなく、ダメージをを最小限に留めようと被弾寸前に絶対防御と硬化魔法を重ねていた。


 物体が音を超える速さでぶつかる衝撃音。


 中央広場付近にある石造りの見張り台にレヴィアタンは激突し、その衝撃で崩壊した見張り台の下敷きになっていた。


「よし、今のうちに……」


 青の魔宝石を再度発動し、ニルプス城へと飛行するマノ。


(こういう時にハッタリが言えてよかったぁ……)「っ…………」


 後ろを振り返り、レヴィアタンの動向を探る。


(追いかけてこない? アタシの聖奥は絶対防御を破る事は出来ても硬化魔法を破れない。 それに、威力は最初に使った時の三分の一ぐらいだったのに……あ、いや、むしろ加減したのにあそこまで威力が出たのがおかしいぐらいだけど……。

 そういえば、レヴィさんが言ってたっけ。 アタシが神様にお祈りしたかどうか……って。

 それに……)

「アタシが……創造神の子供……」

ご覧いただきありがとうございました!次回投稿日は12月13日12時です。

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