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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
四章 魔剣使徒編
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認識の支配者 9

 ドンッッッ!!!


 それは両者が扱う得物てでは見合わないほどの大きな衝撃音だった。

 柄の部分から魔力で生成した剣を振るうエナ、柄の部分含め全てが魔力で生成された剣を手にする志遠。

 二人はとても細くとても長い蒼色の鞭のような一本の髪に苦戦を強いられていた。


「聖奥解……」


 ズドォォン!! 蒼い鞭はエナの聖奥をさせまいと彼に隙を与えず。


「切り裂け、白銀の刃!」


 パリパしゃァァン!! エナへの聖奥妨害から翻った鞭は、続く志遠の聖奥を玉砕する。


「くっ……!」

「ふふ……」


 更にその攻撃展開は十回に一回出来るかどうかであり、それ以外は全て、志遠達は防御に徹するばかり……。

 どれほど攻めようとしても、それを凌駕するレヴィアタンの鞭捌きと攻撃力が彼等の活路を奪った。


「二人ともヘトヘトだね?」

「聖奥解放……」

「聖奥解放……」

「……そういうの、バカの一つ覚えって言うんだよ?」

「バカかどうかは……!」

「やってみなければ……!」


 二人同時に近接型の聖奥を仕掛ける。

 先制したのは志遠だった。


「ナイトオブ……」


 閃光と共に志遠の背後には巨大な銀色の騎士を象った化身が顕現し、彼と同一の動きでレヴィアタンへ迫る。


「っ……」(騎士の護剣……メジャーとはいえ、マノちゃんが使ったのも見た事あるし、少し傷を負ってでも団長さんの攻撃に警戒する方が…って、あれ……?)


 途中までは志遠と共に聖奥発動からの接近攻撃を仕掛けていたはずのエナは視界から消失。


(一体どこに……それに守護者くんの技……)


 即座に視界に広がる光景を見渡すレヴィアタン。


「どこを見ている!」

「!」


 ガギンッ! ギギギギギン!


 ハッ!とした表情で振り放たれる聖奥を鞭で往なし、そこから生じた畝りで薙ぎ払う。


(これは……!)「うわぁぁぁっ!!!」


 凄まじい吹き飛ばされる志遠。

 騎士の化身はパラパラと銀の紙吹雪のように外皮から崩れていく。

 彼女が手にしていた鞭は常時最奥の力が発動しているため、力を込めた聖奥には劣るとしても、なんの力も込められていない武器であれば簡単に砕かれてしまう。

 そのため志遠は、力ずくで受け止める事を諦め、力の流れに身を任せる事で威力を弱めようとした。

 結果、彼の体は壁に直撃はしたものの、ダメージはそれほどには至らなかった。

 しかし、レヴィアタンにとってはそんな事よりも気になる事がある。


「ねぇ、守護者くん。 団長さんはどこに行っちゃったのかな?」

「……。

 ……。

 ……聖奥解放」


 再び銀色の騎士を背後に顕現させる志遠。


「またそれ?

 せめて、もう少し代わり映え――――」

「レーバテイン――――!!!」

「ッ!!?」


 眼前だった。

 鍍金のように外側が剥がれ落ちる化身は、光の魔力の塊である中身が、更に内にある人影が腰に納めた剣に集約される。


(鞭じゃ間に合わない……!)「邪奥解放!」

「うぉぉぉぉぉぉぉッッ!!」


 音も無く放たれた抜刀術の一閃は、魔力により強固なものとなっていた城の壁を絹を破るように容易く切り裂く。


「やったか!?」

「いや……まだだ……」


 エナの剣戟は城への破壊を伴った事で爆風と砂ぼこりが発生する。


「そっかそっか、そういうことか〜」

「っ!」(今の技を食らって、生きているのか!?)

「……」


 が、攻撃の影響で生じた砂塵が消える頃、その渦中におり、最も聖奥の影響を受けていたであろうレヴィアタンは飄々とした態度で無傷の状態で姿を現す。


「不死身か、貴様は」

「ふふ……。

 守護者くんの聖奥、どうして化身があんなに大きいのかと不思議に思ってたけど……。 あれって団長さんを隠すためだったんだね?」

「!……」


 球体状の蒼い水を纏う黒髪のレヴィアタンの問いかけ2動揺する志遠。


「正解かな?

 守護者くんがレーバテインの刀身を持っていなかったから、団長さんが何かしてくるとは思ってたけど、あれは予想外だったよ。

 そして、騎士の護剣の魔力量が多かったのにも違和感があった。

 団長さんの攻撃に繋げるためとはいえ、牽制するためなら、あそこまでの威力にする必要があるのか? そう思ったから、この邪奥をすぐ使えるようにしておいたんだよ?

 この技、下準備が必要だから。

 どうかな? 私の推察、どこか違う?」

「……正解だ。 まさか、こちらの考えを全て見抜いていたとはな」

「流石に聖奥と一体化した時は、ベリアルくんが言ってた別根世界の武装型異能力かと思って驚いちゃったけどね……」


 あはは…と笑みを浮かべるレヴィアタン。

 彼女を包んでいた球体状の水は髪へと溶け込み、黒色だった髪に蒼色が取り戻される。


「っ……」(あれは……)

「? シオン殿、どうかしたのか?」

「エナ、レヴィアタンの髪の色素が変わる仕組みがどういうものかは分かるか?」

「ああ。 仕組み自体なら……。

 この世界の生命体には稀に髪の色素に魔力を宿す者が存在する。

 一人につき一種類のみ力があるらしく、色合いによって系統も異なるらしい」

「……」


 自らの金髪に手をかざし、何かを考える志遠。


「それで、次は何をするのかな?」

「っ! シオン殿、会話をしている暇はもう与えてくれないようだ……」

「エナ、最後に一つ」

「?」

「その力を持つやつは……」

「お喋りしちゃうなんて余裕だね。

 じゃ、これを使っちゃおっかな……」


 レヴィアタンは先程まで使っていた蒼い鞭を亜空間へしまい、別の得物を取り出す。


「ああ。 皆、決まってそうだと、以前に王が仰っていた」

「そうか……そういう事なのか」

「シオン殿? 先程からどうしたのだ――――」

「聖奥解放……」

「「!!」」


 膨大な魔力を帯びた剣で突きの構えを取るレヴィアタン。


「あの剣は……ガイムのティルフィング……!」

「マズイのか?」

「あの剣は必中の剣でな、何があっても避ける事は不可能なのだ。

 レーバテインなら相殺できるかもしれない……が、レヴィアタンの魔力が乗算されれば、こちらは糸も容易く打ち負かされるだろう」

「……」(次こそ俺とこの男の聖奥を同時に放てば……。

 いや、それよりもアレを試すべきか)

「っ……?」


 エナの左肩に手を乗せ、目を閉じる志遠。


「今度はどうしたのだ?」

「エナ、レーバテインを……」

「……分かった。 聖奥解放」


 剣を鞘に収め、抜刀術の構えを取るエナ。


「!……」(へぇ〜……そっちも魔剣聖奥か……)

「エナ、これから言う事をただ黙って聞いてくれ」

「……」

「レヴィアタンは楽しむという目的だけで俺達との戦いをしている。 おそらくマノが来るまでの暇潰しとしでだろう。

 でも俺は、次のアンタと俺の一撃で終わらせてもらうために、少しだけこの力をアンタに渡す」

「?」(力……)

「攻撃は防がれても良いから、一秒でもヤツの動きを止めてくれ」

「…………わかった」


「ヒソヒソ話ばっかり。 私も混ぜてほしいな」

「混ぜるどころか、その中心人物にしてやるさ」

「ふふ……守護者くんが私と面と向かって会話するの、これが初めてじゃない? ……ま、これが最初で最後だけど。

 充填完了……ティルフィングの名の下に全てを終に」


 レヴィアタンの槍のような剣戟が轟音を従えてエナへと穿たれる。


「レーバテインよ、今一度その力を見せよ!!」


 無音から切り開かれる抜刀。 しかし、今度の一閃は何かが違った。


(これは、まさか!?)


 グュィィィィン!

 酷く耳障りな衝撃音、闇の魔力が秘められた魔剣が交わされているというのに、そこに淡く輝く金色の粒子にレヴィアタンがおののく。


「聖奥解放!!」

「!?」


 エナとレヴィアタンの上空に移動した志遠が騎士の化身を顕現させる。


「懲りないなぁ! そんな攻げ……!?」


 黒髪となった志遠が背に従えていた騎士の化身は黄金色に染まっていた。


「これで終わりだ……ナイト・オブ・セイバー!!」


 縦一回転から薙ぐように放たれた一撃は、レヴィアタンの背を海老反りにへし折られ、城の階層を一纏めにする程の威力で叩きつけられた。

魔髪(まはつ)

毛髪に魔力が宿る現象。

色合いによって属性や性質が異なり、魔髪の魔力使用中は毛髪の色素が奪われ黒髪になる。

故に魔髪は地毛の色が黒髪以外で一色の生命体が極稀に得られる。

偶発的な現象のため、魔髪を持つ者はとても限られている。

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