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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
四章 魔剣使徒編
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認識の支配者 1

「そ、そんな……レヴィさんが……」

「レヴィアタン……やはりと言うべきか。

 だが、なぜ今まで……」

「エナさん?」

「前にヤツからの襲撃を受けた際、俺達四人の魔剣使は、ヤツの姿も、レヴィアタンという名も聞いていた。

 だというのに、今の今までその事を忘れていたんだ」

「うふふっ…。 それはね、私がアザトゥス様から戴いた認識の支配者の力によるものなんだ」

「認識の支配者だと?」

「支配権能とも呼ばれる異能力。

 私達、七つの大罪は大罪の権能意外にソレを保有していて、創生神が造り出した生命には遺憾なく発揮される特別な力。

 もっとも、マノちゃんのお友達の神様とかには通じないんだけどね。

 私の支配権能は、名前の通り対象の認識するモノを変えたり、認識していた思考を変えたりする能力。

 魔剣使徒のみんなとしばらく接触しないようにしてたのは、私の姿や名前の認識改竄をしていたから。 これ、結構時間かかるんだよね〜」

「アタシにもそれを……」

「もちろん。 そうしようと思ってたんだけど、どうしてかマノちゃんには認識の支配者…というか、私の精神干渉系能力が通じないみたいなんだよね〜。

 後でアモちゃんに聞けば良いだけだし、いざ、戦闘!ってなっても、たった今モグラを回収したから完全復活だし」

「何ッ!? どういう事だ!!」

「みんながやってた事ってね、私の眷属を私自身に集約させるための行動だったんだよ。

 あれ等眷属は討伐じゃなくて封印しなくちゃ無力化されない。 でも……」

「………あ」

「マノちゃん分かった?」

「? マノ、何か知っているんだな?」

「…………」

「マノちゃんが言わないから私が言うよ。

 団長さん、討伐っていう風に団長さんやガイムくんに言ったのは……。

 どこの誰だっけ?」

「まさか……」

「そう! 私本人がそう説明するよりも、魔剣使いのみんなが知識自体は持ち合わせているマノ・ランブルグという女の子から聞いたら信用するかなって思って利用したんだ!

 そしたら案の定!」

「案の定……俺たちは倒す事に躊躇いが無かった……」

「そういう事。

 認識の支配者の力は、ちょっと扱いづらいからね。 こうでもしないと私は力を取り戻せなかった。

 ありがとね、マノちゃん。 とってもおバカさんで」

「全部……全部ウソだったんですかっ!?

 本当に裏切ったんですかっ!?

 アナタとアタシは友達じゃなかったんですか!!」

「うん、全部ウソだよ」


 マノの悲痛な思いを一蹴するレヴィ。


「っ…!」


 膝を付き、落胆するマノ。


「私、自分よりも優秀な相手にしか好意を持たないから。

 マノちゃんみたいにアモちゃんの肉体を奪われて、本物のマモンちゃんの力を三分の一与えられた紛い物になんか興味無い決まってるよ〜!」

「……今、なんて?」


 飛び回る蜻蛉からの言葉に顔を見上げる。


「ん? 聞こえなかった?

 マノちゃんは、本当は悪魔なんかじゃないんだよ? マノちゃんはね、元は人間だったの」

「人……間……?」

「そう! でも、今から数百年前に、アモちゃんがマノちゃんの容姿を気に入っちゃって、マノちゃんは死にかけたんだ」

「待ってください……それってどういう……」

「でも、何を血迷ったのかアモちゃんは、マモンちゃんにお願いして、強欲の権能の三分の一をマノちゃんに譲渡して、この事実をマノちゃん本人には伏せるようにってお願いしてたんだ。

 あ、これは、その場に居合わせた私とアモちゃん、マモンちゃんの三人しか知らない事なんだけどね」

「じゃあ、アタシは……一体、誰なんです…?」

「さあ? 肉体を奪ったアモちゃんなら知ってるだろうけど、私はそこに居合わせただけだからね〜……」

「じゃ、じゃあ……。

 アタシが今までやってきた事は……」

「マノ……」

「マノちゃん、悲嘆する必要は無いよ。

 マノちゃんのお陰でアザトゥス様を復活させるために必要な六大世界の歪みが出来たんだから……もっと自信を持と?」

「…………」


 善意か悪意か、見当違いな慰めはマノの心を陰らせる。


「リバイアサンよ、そんなことを言うためだけに蜻蛉を用いて連絡をしてきたわけではないだろう」

「ふふ……団長さんはマノちゃんを気遣って話をそらしてるのかな? まあ、確かにそうなんだけど」

「随分と楽しそうだな」

「だって〜……。

 ようやく本来の力を取り戻せて、ガイムくんの魔剣も手に入ったんだもん…」

「……」

「……あれ? 反応無し?

 魔剣が正当継承されるには現魔剣継承者の同意。又は現継承者死亡後にその魔剣を最初に手にしていた人なのは団長さんなら知ってるよね?」

「もし、ガイムを一度殺しているなら、奴が心臓を破壊されても修復する能力を持っている事ぐらいは知っていると思っただけだ」

「あ、バレてたんだ。

 うん。 一度殺したんだけど、体の他の場所から血液やらなんやらが新しい心臓を作り出してたんだ〜。あれ、凄いね!

 だから、失血死寸前まで血液を消費させてニルプス城の地下牢に幽閉してまーす!

 ああ、ガイムくんの魔剣、ティルフィングは心臓が止まった瞬間に私が持ったら継承されちゃったみたい! 結構、緩い契約条件だよね〜」

「……ガイムがニルプス城の地下牢という事は、お前がいるのは」

「うん。 私もニルプス城、玉座の間にいるよ。

 早くおいでよ……というか」

「……!」


 違和感を覚えたエナの視線が足元へと向けられる。


「浸水している!?」

「モグラの魔獣がいた空間、あれはあの子の爪で海中を裂いた事で生じた亜空間なの。

 でも、そのモグラは死んでしまった……だから、その力は私の自由……つまりは元の海水へと戻すことも出来る。

 一気に効力を無くす事も出来るけど、それだとつまらないから少しずつ弱めるね。

 今は膝下辺りまでだろうけど、解除されたらその神殿は水浸しだよ〜?」

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