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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
四章 魔剣使徒編
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月光世界(影) 9

ガイム・イシュー


 年齢20歳

 身長170cm体重60kg

髪型 アイハイディングコワフ(と、本人がカッコつけて言ってるが、端的に言うと片目隠れのショートである)

髪色 アビスダークネス(黒である)

瞳の色 ブラックアポカリプス(黒である)

ニルプス王国騎士団に所属する青年。

オーディンの魔力により造られた北欧四魔剣が一刀、ティルフィングを携えている

彼の容姿紹介文が少々イタいのは、彼が王の影響を受けに受けまくった結果、そういった趣味に目覚めてしまったからである。 尚、イタい部分は表立って出す事は極めて少なく、彼がそういった部分を見せた場合は、相当な信頼を得られていると思って良いだろう。


「あ!」

「? どうしたんすか。 そんなアホの癖に頭使ったみたいな顔して」

「……ガイムさんって、友達少ないって言われません?」

「え、言われたことないっすよ。 そもそも友達いないんで」

「……なんか、ごめんなさい」

「あ、いいっすよ。 俺も、お嬢さんはウザ絡みのせいで友達少なそうだなーって思ってたんで、おあいこです」


 その説明、する必要はあったのだろうか……。


「で、どうしたんすか?」

「あ、えっと……。 ガイムさんは、さっきまで、この辺りを歩き回っていた……んですよね?」

「はい。 それがなにか?」

「えっと、それなら、アタシがさっきの会話で言っていたレヴィさんという方は、一切、見なかったのかなぁ……と」

「見てないっすね。 第一、俺達、魔剣使徒と封印した悪魔以外は、本来、この世界に入り込む事なんて不可能で、そんな世界に訪れるという事になれば、その人物は異物とみなされています。

 で、そ云う異物は、殲滅するよう団長から指示を受けてますし」

「殲滅……それって…」

「はい、ぶっ殺します」


 表情や声色を一切変えず、冷淡に言い放たれる言葉。

 当然だ。 どれほどフレンドリーな態度であっても、彼は国を守るための騎士。

 他国との戦争にでもなり、国を、王を、民を傷付ける者がいれば容赦無く殺害する。

 ニルプス王国と隣国の国境には、ミイラ化、白骨化し、いつの物かもわからない亡骸が数え切れないほどに横たわっていたし。


「…………」

「……んな暗い顔されると、言ったコッチが悪いみたいになるんですけど?」

「あっ! ごめんなさい……」

「…………。 悪魔なのにこういう話が嫌いとか…変わってますね、お嬢さん」

「そう、ですかね?」

「そうですよ。 悪魔って、もっと冷酷で、薄情で、自分の利益を最優先にするもんですよ。

 あ、いや、それは人間にもいるか……」


 冷酷で、薄情で、利益を最優先……。


「そいや、お嬢さんがニルプスを支配した理由って何なんすか?」

「…………笑いません?」

「おっと…? 内容を何も知らされる前から、そんな事を言っちゃうあたり、佳話なんですかねぇ」

「違いますよ! ただ……」

「ただ?」

「ガイムさんが思い描く悪魔像とは全く違うので、笑われちゃうんじゃないかな…って……」

「っ……なるほど……」


 手で顎を擦ったり、空を仰いだりするガイムさんは「うん」と首を振り、、、


「別に良いんじゃないですか?」


 と、答えた。


「えっ?」

「お嬢さんがニルプスを支配しようとした理由が笑えるものなら、俺みたいな捻くれ者でも『ああ、悪魔もヤな奴ばっかじゃないんだ』って思えるでしょうし」

「ガイムさん……」


 ちょっと意外だった。

「めんどくさいなぁ…」とか「あーそういうのいいんで」とか言いそうな印象だったし。


「じゃ、じゃあ、言いますよ? ホントに言っちゃいますからね?」

「どーぞ」

「えっとですね……その理由というのが……。

 ……アタシの方が、国民全員を幸せに出来る……と、思ったから……です」

「…………え、マジっすか?」

「マジです……」

「…………」


 ガイムさんは口を閉じると、呆れ顔で空を眺めながら歩く。


「国民全員を幸せ……ねぇ……」

「やっぱりバカっぽいって思ってますよね!?」

「いやぁ……バカっぽいというか、ガキっぽいというか……」

「そう!子供!子供ですよ!!

 だって、あの世界、今にも死にかけていた子供が沢山いたんですよ!?」

「っ……」

「みんなみんな苦しそうで、それなのに誰も手を差し伸べなくて……。

 アレが、アタシたち悪魔を見限った結果の世界の在り方だというのなら、アタシはあんな世界認めな…」

「じゃあ、その子供が助けを請いましたか?」

「……っ?」


 アタシから目線を逸らしながら話を聞いていたガイムさんが、まっすぐにアタシを見る。

 先程までのいい加減でありながらも穏やかな眼差しとは打って変わって、鋭く向けられた視線にたじろぐ。


「お嬢さん、あの世界には奴隷という立場の人間が一定数います。 それは俺も理解してます。

 でも、その奴隷を国側が自発的に救う行為は原則禁止されているんです」

「ど、どうして!?」

「個人の所有物だからです。

 なら、逆に、個人の所有物を国が問答無用で奪っていいなんて思っているんですか?」

「思います!! 何が所有物ですか! あの子たちは人間です!生き物なんです!

 きっと自由になりたい……きっとご両親のところに……」

「その両親の手で売られた結果が奴隷という道だったとしても?」

「え……」

「お嬢さん、ニルプス王国…並びに月光世界に存在する各国の法には、奴隷を所有する者は、その奴隷を人として扱うようにする。っていう法律が取り決められています。

 だから、奴隷の死亡事件的な話は年に数回程度……それも、事故によるものが九割です」

「で、でも……あの子たちは……恨めしそうな目で…!」

「何処で見たんですか?」

「中央広場のはずれで……」

「あぁ〜……あそこかぁ〜……」


 頭をポリポリと掻くガイムさん。


「中央広場は他国から商売や買い物でやって来る人間も多くいますからね。 そういった人たちから食い物や金品を得ようとしてたんでしょう。

 ただ、中央広場にド~ンと行っちゃうと王国騎士に見つかって、自分達の主人に渡される可能性もあるので、あえて外れの方にやって来る人をターゲットにしていた感じなんでしょう」

「そ、そんな……」

「でも、良かったですね、襲われなくて」

「襲われる…?」

「言ったでしょう、食い物や金品(・・)って。

 中央広場付近で食い物を貰おうとしている奴隷は上位の連中で、字の読み書きや計算、格闘術なんかも教わったりしているんです。

 ま、悪魔であるお嬢さんなら問題ないでしょうし、その気迫を感じ取ったから奴隷のガキ共も手を出さなかったんでしょうけど」

「ちょ、ちょっとまってください! 格闘術って……」

「奴隷を買うのは裏社会とかに精通している連中や独り身の騎士とかの跡取りとしてっていうケースが大半なんですよ。

 だから、使えるようにする。 それだけの話です」

「それじゃあ、奴隷というより養子みたいな……」

「そうっすね。 ただ、違う点があるとするなら、子供が親の懐を潤すために売られるかどうかって部分ですね」

「…………」

「どしたんすか? ちょっと落ち込んでるみたいですけど」

「……ふんっ!」


 左腕にはめた腕輪をガイムさんの肩へゴツンと当てる。


「いてっ」

「そんな強く当ててないです」

「そっすね。 図星をつかれて、憂さ晴らしにぶつけたにしてはパゥワーが入ってませんでしたよ」


 人が手加減するとこういう事言うんだもんなぁ、この人。


「でも、まあ……良い勉強になったって事で、良かったんじゃないんすか?」

「…………」


 その結果、ガイムさんや魔剣使徒?の人達は、この世界に置き去りにされたのに、どうしてこんな優しk…


「まあ、その結果? 現在進行形で俺や俺の仲間がスッゲー迷惑してますけど」

「本っ当にすみませんでした!」


 ヤケクソ気味に謝罪した。

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