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罪に願いを 新世界の先駆者  作者: 綾司木あや寧
四章 魔剣使徒編
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月光世界(影) 7

 どどどどどどどどどどどどどうしよう!?!?!?!?

 レヴィさんを落としちゃって、周りには犬や猫の虫がいて、えっとえとえとえとえとえと!!!!!!

 とりあえず落ち着けアタシィィィ〜ー〜ーィィ!!!


「青き魔宝石よ――――!」


 サファイアへと指を翳し、加護を最大まで解放する。

 落下速度とこちらの速度なら、少しだけこちらが優っている。


「……あっ!」


 建物の影へと隠れてしまい、レヴィさんの姿が見えなくなった……。

 ……いや、でも、ダイヤモンドの加護を使えば、、、


「金剛の魔宝石よ――――!」


 人差し指をサファイアに翳したまま、中指をダイヤモンドへと翳す。


 ドグゥッンッ!!


「っん……」


 激突で目を閉じそうになりつつも耐え、建物を突き破って進む。

 防御力状態は硬質化に近い能力なのだろうか? でも硬質化ならさっきの戦いで攻撃面で活かせるはずだけど、、、


「うん……?」


 考えを巡らせながらまっすぐと前方を見ていると、頭の方から赤い何かが……って。


「血ぃィィィィ!?」


 やっぱり防御力が上がるだけで硬質化じゃないじゃん!!

……誰も硬質化とは言ってないけどさぁ!


 何回か煉瓦の壁を突き破っていると、、、

 バギャンッ! と、破壊音が変わり、開けた空間へと飛び出る。


「っ! 外……でも、レヴィさんはどこに……」


 低めの位置にある家屋や建造物が視界を遮り、全体を把握出来ない。

 魔力を探ろうにも、あの聖域の建物で感じたドス黒い魔力のせいで感知能力が鈍ってしまったようだ。


「レヴィさぁぁぁぁぁん!!」


 大声で呼ぶも返答は無く、入り組んだ建物の構造により声が虚しく反響している。


 リバイアサンの眷属である犬や猫の魔獣、それにさっきのトンボ?みたいな虫がアタシを追ってこなかったのが唯一の救いだろう。

 アレに追われながらの人探しとかキツすぎる。


 地上へと降りて、徒歩でレヴィさんの捜索にあたる。

 この腕輪の力で消費した魔力は放出された後、腕輪へと返還されて再利用できるみたいだから継続して武装はするけど、それとは関係無しに消費した飛行魔法の魔力は戻ってこないみたいだし、、、


「それにしても、どこ行っちゃったんだろ、レヴィさん……」


 落としちゃった時間から十秒もない間の事だったのに、その短時間で、音も無く消えちゃうなんて……。

 もしかして……リバイアサンに拐われた!?

 いやいやいや! レヴィさんは強いし、拐うとしたら素の力が並の人間以下であるミオ状態のアタシの方が、、、


 トンッ……トン……。


「っ!」


 近くから聞こえてくる靴の音。

 入り組んだ構造により視認は出来ないけど、この足音からして二十メートルぐらいの距離……。


 足音を立てないように、周辺を警戒する。


「…………」


 ………あれ? 足音が聞こえなくなった……。

 いや、呼吸音すら聞こえてこないな……どうして――


「聖奥解放……」

「……へ?」


 正面の壁は透けるようにして妖しげな色をした魔力の光を通す。


「ティルフィング」

「ティル……フィン……?」


 言葉の意味を理解するよりも先に、その力が危険だという判断を下すことに時間はかからなかった。


 壁を破壊した光線は、アタシの左胸部へと接近する。


「ッぐ!!」


 サファイアの力で移動速度を上昇させ、寸前で回避する。

 しかし、光線はその軌道を変え、こちらへと襲いかかる。


「なら……! 聖奥解放!!」


 ダイヤモンドの加護で作り出した槍を構える。

 自分の記憶にある槍の技なんてこれしかないし、攻撃力は本物よりも遥かに弱いかもだけど、攻撃を防ぐ名目でなら…!!


「グングニル!」


 再び左胸部へと迫っていたティルフィングなる魔力の束。

 その先端に光の魔力を込めた槍を突き刺し、四散させる。


「なにッ!?」


 一驚したのは技が防がれたからか、それともこちらの技名にか……。


「急に攻撃するなんて卑怯ですよ!アタシは争うつもりはありません!」

「…………」


 光線で破られた壁の向こうから聞こえてくる声。

 爆煙で姿は見えないけど、声からして男。 それも若い。


「こっちに気付いたからって急に足音隠すもんだから、どんな馬鹿が迷い込んだのかと思ったけど……」

「……」


 煙が晴れる。

 片目隠れの髪型、髪も瞳も黒色。

 所謂、厨二病なのだろうか? 手にしている得物も見ただけで分かるほどの魔力を凝縮している。

 あれは剣の形をした魔力そのものと言っても過言ではないだろう。

 あんなモノを人間が直接手で握っているなんて信じられない……。


「まさか、俺の魔剣を受け止めるなんて……驚いたよ。

 お嬢ちゃん、名前は?」

「マノ……マノ・ランブルグです」

「マノ……。 そうか、アンタが王の言っていた大罪の悪魔か……」

「王……?」

「ハッ……一時的とはいえ玉座を奪ってたのに忘れたのか?」

「玉座…………あっ!

 王って、ルイさんの事ですか?」

「聖奥解放……」

「チョチョちょっと待って下さいよ! アタシは争うつもりは……」

「争うつもりが無いってか。

 あの時、お前が玉座を奪わなきゃ月光世界の封印は解かれなかったのに…!」

「ふ、封印?」

「とぼけるなよ。

 お前達、大罪の悪魔の目的は、六大世界の核に異常を起こす事でアザトゥスの復活させるつもりなんだろ!」

「え……」

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