ハニートラップ
前回の続き。
ある国の高級ホテルの一室で、
数人の女性が話していた。
広い部屋にはテーブルがあり、高価なお菓子とコーヒーカップが置かれている。
「どう、うまく行った?」
「泣いたときもあったけど、目的は果たしたわ」
「日本で大学院を出たエリートでも、しょせんはスケベ」
「こっちのアクションでコロっとだまされる」
「私たちがいつまでもいるわけじゃない」
「ボロい漁船に隠れて出国は大変だったけど」
「身体中が魚臭くなる」
「あれにはまいったわ」
「においが抜けるまで、しばらくかかった」
「日本のお役所では、空港から出国した人たちについて調べてるのは確かね」
「こっちはそれを見越して逃げた」
「あのメモ用紙はどうなったのかな?」
「見つかる可能性は低いし、見つかったとしても、
内容の一部は改ざんしてる」
「暗号をそのまま解読しても、『なんだこりゃ?』かもね」
「あの続きはどうなった?」
「別のハニーががんばってくれた」
「こっちの技術者なら、日本をしのぐシステムを設計できる」
「輸出すると、かなりの外貨になるわね」
「アサリなんて、いくらにもならないじゃない」
「臭いし」
「あはは・・」
「私たちのこれからは安泰ね」
「いつまでもこのホテルにいられる」
「洋服などは『おねだり』すれば、いくらでも高いものを買ってもらえる」
「日本の下層より、はるかにいい生活」
「ブスとバカはだめね」
「使い捨ての労働力」
「病気にでもなったらおしまい」
「入院できるところなんてないし」
(続く)