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「違う……」

「フフ……いきなり酷いじゃないか……」

壁に叩きつけられたのにかかわらず、男は余裕の笑みを浮かべている


「アズ、行こう!」

カナがアズの手を引っ張って男の反対方向へ駆け出した


ズパッッ


「おっ、やりすぎたかな……フフ……

ダメダメ……行かす訳ないじゃないか」


「痛っ」

駆け出したカナがうずくまった、右足に切り傷ができ出血している


「この吹き飛ばす能力が黒髪のお嬢ちゃんの選ばれた人って奴の力なのかい? もしかして君達も1ヶ月くらい前の大きな音を聞いたの?」


「うう……」


カナは右足を抑えてる、かなりの出血だ


「カナ大丈夫だからね……」

アズはカナの傷口に手を触れた

するとみるみる傷が塞がっていった


「そんな能力もあるのか……面白いねぇ」


アズは男を睨みつけ立ち上がった

「カナがアンタに最初に手を出したのは謝るわ! でもわからない! アンタは何がしたいの?」

「…フフ…君達も力を手に入れたんだろ? メチャクチャにしたくないのかい? この力で全てを自分のものにしたいと思うだろ?」


男の敵意はより強くなっているように感じる


「誰も俺を止められないんだ、俺の邪魔をする奴は殺してやる……フフフ」


こいつヤバイ……



「えっなんで?」


カナが目を丸くした


「はっ? なんでアイツが?」


「やっぱり合ってた……俺が感じたのはさっきの2人だったんだ」

路地からカクミが現れた


「ちょっ、ちょっとお兄さん! 逃げて!」


「ん? なんだ?」

男が振り返った

「あぁ、電車のところにいた奴か、何しに来たんだ……」


男が目を見開いた


ボゴォ


カクミの目の前の地面が砕け散った


「……」

何も言わずにカクミは直径30センチほどに砕けた地面を覗き込んだ


「邪魔しないでくれよ、お、俺は2人と話したかったんだ」

男は冷たい目でカクミを見た


「逃げて! そいつ電車の犯人だよ!」

アズが叫んだ


「フフフ……そうだよ、君も電車と同じようになりたくないだろ、このまま帰ってくれないかい?」

「……嫌です」

カクミはボソッと言った


男は苛立った表情を浮かべた


「あのお兄さんバカなの? この状態で何相手を煽ってるのよ」


カクミは少し身構えた、目を凝らして男を見ていると、男の右肩後方から鎌のような形のエネルギー体が放物線状にカクミに向かってきた


「違う……」


ボシュッ


鎌のようなものはカクミに当たって消えたように見えた


「効いてない?」

男は理解できていない


「当たったよね? 何が起きたの?」


「あのお兄さんが何がやったのか?」


カナとアズも唖然としていた


「この人は電車の犯人じゃない」

カクミがボソッと言うと男の顔が変わった


「お前は何者なんだよ! 俺は、俺はなんだってできるんだ! 電車だって俺がっ!!」


「……この力じゃ電車は壊せない」


「なにがわかるんだ! キサマっ!」


突然の剣幕にアズとカナは呆然とするしかなかった…


「そうか、あたし達がこの人から感じてたのは殺気や敵意じゃなかった」


アズは少しずつ理解してきた


「虚栄心なのかな、あたし達はこの人の見栄に怯えてたんだ」



男は大きく深呼吸して弓を引くような姿勢をとった

「お、俺を苛立たせることができたご褒美に一瞬であの世に連れてってやる!」

すごい形相でカクミを睨みつけている


それを見てもカクミは冷静だった


「こうだったかな」


右手を男に突き出した



男はカクミにむけて先ほどの3倍のサイズはあるであろうエネルギー体を放った


その直後だった


ドッ……


重たく響く衝撃波の音がした


壁に突き抜けた跡を残し、男は彼方に吹き飛んでいった


アズとカナはしばらく声が出なかった


「ウソでしょ……何この人……」


「これ私の能力に似てるのかな、凄すぎてわからないけど」


「アイツは死んじゃったのかな、どこまで行っちゃったんだろ」


「能力は凄かったし、同じ選ばれた人なんだし話はしてみたかったね……」


(そうか、あの人から色々聞き出すことはできるのかもしれないか)

カクミは右手を伸ばして、グッと手前に引いた


アズとカナは再び言葉を失った


吹き飛んだはずの男が戻ってきてカクミに支えられている


「お兄さん本当に何者? もしかして手品師?」


「その男の人ケガは大丈夫なんですか?」


「治したよ、骨が10ヶ所くらい折れてたみたいだけど」

カクミは当たり前のように答えた


唖然とするしかなかった……


「なんであたし達の能力が使えるのよ、昼間あった時はウソついてたってこと?」


「見てマネしただけだよ」


マネしただけ? アズとカナは理解を超えてしまい、お互い顔を見合わせた


「見てたって、お兄さんが来たのあたし達の能力使った後だったよね確か……ってなんでここがわかったの?」


「えっ?2人が光を感じるだろって言うから……」


「それを頼りにここまで来れたってことですか?」


「そもそもお兄さんどこにいたの?」


「となり駅にある職場だよ」


「……信じられない……あたしが言ったのは間近で見てボンヤリ体からオーラがでてるのが見えないかってことだったのに……」


アズはゆらゆら頭を揺らしだした……


「その男どうしようか? 聞きたいことは色々あるんだけど……」




カクミは突然の出会いから能力を使えるようになった、なぜカクミがいきなりすごい力が使えたのかそれはカクミ自身にもわからなかった


そして気付いていなかった、強い力を使う時、強いオーラを放っていたこと、そのオーラに気付いているもの達がいたことに


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