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自殺旅  作者: 怜刻
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死に旅行

それは突然に現れた。

とりあえず別れたくなかった彼女と別れて、そして、ちょーっと色々あってとうとう嫌われた。その前には部活でゴタゴタし、危うく辞めるところまでもってかれた。家庭はお金が無く、両親も仲が悪い、話をしたかと思うと、金銭問題で喧嘩をする。ココ最近、喧嘩以外の会話を聞いたことがあっただろうか。陸上競技部でありながら中々結果を残せず、苦悩する。嫌われた彼女は習い事が同じ場でそこは居心地悪すぎて苦痛である。勉強もできず、成績は悪い。なんなら見た目も悪いか。いや、それは止めておこう傷つく。

さて、こんなにも恵まれないこの男、(すぎ) 怜斗(れいと)が、生きる氣力がありましょうか?まだ人生長いんだから。とか、死んだ人に申し訳ない。とか、はたまた弱い。とか、そう思うだろう。そりゃ、世界は広い。こんなしょうもない事よりももっともっと大変で、辛くても生きてる奴なんて沢山いる。が、俺はそこまでメンタルが強くない。この程度でも耐えられないのだ。すまない、許して。どうとでも思え、どうとでも言え、もう限界です。


「俺はこう思う。」

と、長々に書き連ねた文章に言った。文章に何を言ってるんだ、と思うかもしれない。これが死にたくなった人の末路です。いや、末路って死ぬってことかな。

「俺何やってんだろ…。」

怜斗は根に持つタイプだ。振られてから数ヶ月経った今でも忘れられないという。そいつを傷つけてしまった挙句に嫌われる。男としては最低。2度とお近付きにはなれない状況だ。

とりあえずもう彼女は作れないな、と。

「クレア、おーいで。」

怜斗は、素晴らしい落ちこぼれだが、そんな怜斗でも心を許す友がいる。

怜斗が手招きして呼ぶと、真っ黒で金色の目をした黒猫がゆっくりこちらに歩いてきた。

うにゃーお。

そう言って怜斗に抱かれ、モフモフされるがままにされた。

「さて、こうなった今、怜斗ちゃんに与えられた事は一つ。」

それは、「死」である。人生の逃げだ。と思う人も多々居るだろう。だが、豆腐メンタルの怜斗にはもう生きる氣力など無いのだ。そういえば、前の友人から聞いた話だが、豆腐の原料は大豆と言うと、しゃっくりが止まるだとか。ほんとかなあ。

「さて、まずは方法だな。」

そう言うと、スマホを取り出し、検索にかけた。

「自殺 手段」

自殺する氣満々かよ。自分でそう思った。

出てくるものはみな、どこかで聞いたことのあるようなものばかり。

怜斗は死後の遺族に迷惑を掛けたくないので、とりあえずは静かに死にたいと思っていた。

「んー、家で手軽に出来るものって、迷惑掛けちゃうもんなー。」

死体の処理、部屋の掃除、金銭。挙げたらキリがない。

「とりあえず首吊り?」

首吊り。と、検索ワードにかけ、信用できそうなページをタップ。が、デメリットだの何だので、中々バカには伝わりにくい。

「知ってるかクレア、首吊りって死体すごいらしいで。」

糞尿垂れ流し、目が飛び出て舌が出るとか。ともかく酷い状態で見つかるらしい。死んだら関係ないけどさ。

「だめだな、これ、検索は無能だな。」

そう思う。

ふと、部屋を見渡した。目に入ったのは旅行雑誌。何故これから死ぬ自分がそれに目がいったのか。決して旅行に行きたくなった訳ではない。

「家の外は?静かに居なくなるには最適。それにその場所に行けば自殺方法がいくつも浮かぶか?」

そう思った。旅費はあまりないが、死のうと思っていた前は、1人旅が好きだったので、そこはなんとかしようと思うし、孤独とか思わず、そこは氣が乗る。

「我ながら良い考えだな、なるほどなるほど。」

そう言って即座に準備を始めた。クレアも連れていこう。クレアをカゴに入れ、準備ができた。

これから何が待ち受けているだろうか?良い死に場所は見つかるだろうか?まさか、人との出会いがあるだろうか?

こーんなに楽しそうにしつつも、怜斗は思う。

早く死にたい。と。


始まる。死に旅行が。



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