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辞職と復職

今日子は職場から1ヶ月の休みをもらい、ひたすら家事に専念した。

何ら支障のない生活だった。

精神状態は安定した。

経済的にも、夫の収入だけで充分やっていける。


職場の動物病院には愛着がある。

院長は尊敬している。

スタッフも必死で今日子を理解しようとしてくれている。


それでも限界を感じてしまった今日子は、職場を辞した。

院長にも他のスタッフにも慰留されたが、強引に振り切ってしまった。


これを機に障碍者手帳も取得した。

今日子の場合、精神福祉手帳3級に該当した。

精神疾患としては、最も軽い等級になる。


新しい職は、障害を隠せば、いくらでもある。

だが、OPENにしては、まず希望の職は見つからない。


障碍者雇用で探した場合は、専門職は難しい。

獣医職は諦めなければならない可能性が高かった。


結局、他の仕事はする気にならず、何となく家で過ごしていた。

引きこもりになってはいけないと、夫の勧めでデイケアにも通ってみたが、肌に会わなかった。


それでも、辞めた動物病院の院長は、勉強会や講習会があると、その度に今日子にも声をかけた。

専門知識が錆びつけば、現場復帰は難しくなる。

それだけでなく、今日子の今の状態が気になった…というのもあるだろう。


結局、今日子は半年ほど家で専業主婦として過ごした。

しかし、半年で飽きてしまった。

自分自身の根底にある、獣医師でありたいという気持ちが抑えきれなくなってきた。


今日子は院長に頭を下げた。

「もう1度、働かせてください」と。


院長は二つ返事でOKした。

「待っていた」と。


院長は、復帰後の今日子を障碍者雇用の扱いにした。

配慮の必要性を、よりしっかりとスタッフに認識してもらうためである。

実際にこの規模の中小企業では、障碍者雇用に企業側の旨味は少なく、手続きの煩雑さだけがもたらされたが、院長は敢えて障害者雇用の形態をとった。


この職場のスタッフは、以前から今日子には大いに配慮してくれていたのだが、復帰後は更に聴覚過敏の症状や、同時作業の苦手などをスタッフ全員でフォローしてくれた。


今日子はこの職場に貢献したいと、これまで以上に感じるようになっていった。

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