発達障害と統合失調症
今回のテーマは、‘誤診’である。
今日子が職場の動物病院で誤診したわけではない。
否、正確には何度も誤診しているのだが、周囲のフォローで大きな医療事故には発展せずに済んでいる。
こう言っては難だが、実際に今日子でなくても、獣医師の誤診はよくある事なのだ。
誤診をなくす努力も大切だが、誤診をしてしまった場合に、それを大きな事故に発展させない体制作りが、それ以上に大切だと、今日子は考えている。
だからこそ、自分が患者として、誤診されてしまう可能性も、常に頭に入れておかねばならない。
実は、今日子は発達障害と診断される前に、統合失調症と誤診されている。
発達障害が誤診で、統合失調症が正解…という可能性も無きにしも非ずだが、おそらくは発達障害が正解だろう。
統合失調症と診断され、‘リスパダール’という統合失調症の代表的な内服薬を上限ギリギリ量まで処方されたが、さっぱり良くはならず、薬の副作用で全く動けなくなった。
後で聞いた話だが、この薬を上限量で使用する際は、入院するのが一般的らしい。
ここら辺はまた聞きの知識なので、精神医学に詳しい方がいたら、ご助言願う。
リスパダールは眠気の副作用は少ないとされていたが、今日子はこれが特に辛かった。
ハッキリ言って、何もできない。
仕事どころではない。
また手が震え、月経が停止し、妊娠してもいないのに母乳が出た。
これに堪りかねて、セカンドオピニオンを求めたのだが、そこでの診断は統合失調症ではなく、発達障害とそれによる二次障害のうつ病だった。
薬は大幅に見直され、上記の副作用は消えていった。
現在の処方は抗うつ剤が中心で、それ以外にカウンセリングも受けている。
それにより、現在では信じられない程、落ち着いた生活を送っている。
まず、今日子は何故、統合失調症と誤診されたのか、理由を考えていきたいと思う。
統合失調症の代表的な症状は、幻覚・幻聴・妄想である。
それに似た症状は、確かに今日子にあった。
誰かに追いかけられているような錯覚。
周りを気にせず、突然、声をあげる。
また、亡くなったはずの祖母の声が聴こえ、よくイライラしていた。
同居していた父方の祖母と今日子は、ずっと折り合いが悪かった。
その祖母は今日子が22歳の時に亡くなったが、それでも尚、祖母の声を聴いたり、祖母の気配を感じたりした。
カウンセリングで、幼少期からの祖母との関係を話すと、カウンセラーに「それは虐待だね」と言われた。
また、今日子の父が実の母親から受けていた行為の数々も、虐待であった可能性が高いらしい。
嫁姑問題も深刻で、今日子の母は常に罵倒されていた。
それでも別居に至らなかったのは、虐待されていたはずの父が、実母と共依存の関係になっていたからだろうと、分析された。
突然、何の前触れもなく、祖母との出来事を思い出し、叫んでしまう。
しかし、今日子の‘困った特性’そのものは、子供の頃からあったものだ。
忘れ物が多い。
身の回りの片付けが出来ない。
興味の偏り。
などなど。
就職してから、同時作業も苦手である事に気付いたが、これは飽くまでも‘気付いた’のが、この時であって、思い返せば、昔から苦手であった。
学生時代にはどうにかなっていた‘特性’が、社会に出てからはどうにもならなくなり、その激しいストレスによる行動が統合失調症と誤診させた…という流れではないかと、今日子と現在の主治医は考えている。
特に統合失調症は、進学・就職・結婚などの人生の転機で発症する例が多いようなので、その点でも見誤られたのかもしれない。
今の診断が100%正しいと言い切れるものではないかもしれないが、今日子はこのような観点から今の診断を信じ、治療に取り組んでいる。




